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【第一部完結】異世界ブシロード ~チートはいらないから剣をくれ!~  作者: 日之影ソラ
第六章 王女様の秘密

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 ふと、魔王アスタロトの言葉を思い出す。

 人間の国王も、争う気のない魔王の考えに気付いている。

 今も続いている戦争は、人々の心の平穏を維持するためのポーズでしかない。

 この百年、大きな争いは起きていない。

 王族である彼女は知っている。

 人間と悪魔の敵対が、形ある憎悪ではなく歴史上のものであることを。


「私は悪魔を敵だなんて思っていないわ。私に敵があるとすれば、この国や人々に害をなす者たちのことを指す。あなたやそのお仲間は違うでしょう?」

「……」

「お前らそっくりだな」


 そう言ったのはグリムだった。

 

「お前らって?」

「リインとそっちの王女だよ。考え方がまんま一緒じゃんか」

「そ、そうだね。リインも昔、同じようなことを言っていたと思います」


 ヴィルまでそう言いだす。

 俺と王女様の考え方が同じだと。

 あながち間違っていない。

 俺も悪魔を敵だとは思っていない。

 そして人間のことも。


「確かに同じだな」

「ふふっ、似た者同士ね。気が合いそうでよかったわ」

「どうだか」


 考え方は同じでも、気が合うかは別の話だ。

 でもとりあえず、争う意思がないことはわかってホッとする。

 

 話をしながら多少打ち解けたところで、俺は改めて王女様に質問する。


「なんで護衛がいる? ここは学園の敷地内だ。外より安全だろ?」

「悪魔を二人も連れているあなたが言っても説得力はないわね」

「そういうのはいいから。あんたの目があれば、敵意があるかどうかわかるだろ?」

「私の術式を知っているのは肉親だけよ。一般には知られていないわ。だからこの眼を理由に裁けない。それにここは人が多すぎるのよ。人混みは嫌い、くらくらするわ」


 話しながら彼女は頭に手を当てる。

 他人の感情が見える眼は便利そうだが、見え過ぎるのも苦労があるようだ。

 

「それでも対策はとれるだろ?」

「ええ、だからあなたにお願いしているのよ。入学式であなたのオーラを見た時に確信したわ。私を守れるナイトはあなたしかいないって」

「王女様にそう言われるなんて光栄だな」

「微塵も思っていない癖に」


 どうせ何を思ってもバレてしまう。

 テキトーが一番だと開き直る。

 今さら無礼だとは思われないだろう。


「私、誰かに襲われるの」

「唐突だな。そういう相談はもっと相応しい相手に……ん? 襲われる?」

「お父様たちには頼れないのよ。それに今じゃないわ。いつか……近い未来に私は襲われる」

「……なんだそれ。まるで未来が見えてるみたいだな」

「ええ」


 彼女は頷く。

 あっさりと、さも当たり前のように。

 さすがの俺も驚く。


「私の術式は、私自身にも使える。自分の奥底、隅々まで見ることができる。感情、過去……少し先の未来もわかるわ」

「凄い術式だな」


 こういう能力をチートと呼ぶのだろう。

 生まれ変わる時、俺も女神様に頼んでいたら、彼女に負けない術式を持っていたのかもしれないな。

 もちろん、後悔なんて微塵もしていないけど。


 彼女は自分の術式について語りながら、どこか悲し気だった。

 自慢している素振りはまったくない。

 むしろ、嘆いているようにすら見える。


「未来がわかるといっても断片的よ。数日以内に私は学園の中で襲撃され、攫われてしまう。それだけじゃない。学園にも多くの犠牲者を出す」

「一大事だな。尚更もっと大勢に相談すべきだと思うが……」


 未来が断片的でも見えるということは、その方向性は失敗するのか?

 学園には十傑、教員も含めれば一万人近い術師がいる。

 そこに侵入し、王女を襲って攫う。

 彼女の話が事実なら、襲撃者は相当な腕の持ち主だろう。


 自然と顔がニヤケる。


「わかった。協力してもいい」

「やっとその気になってくれたのね」

「ああ、断るつもりだったけど気が変わった。あんたの話を信じてやる」


 学園を脅かすほどの敵がくる。

 その相手をできるなら望むところだ。

 魔王城とは違って不自由な学園生活……。

 少しでも強者と戦える機会は見逃せない。


「それじゃよろしくね? 私の素敵なナイト様」


 そう言いながら彼女は俺の腕に抱き着く。

 イヤリングが大きく揺れる。


「おいこら! 何くっついてるんだ!」

「は、はは離れてください」

「あら? ナイトはこうやって姫をエスコートするものよ?」

「いや……それだと刀が抜けないんだが……」


 どんな相手が来るのか楽しみではあるが、それまで彼女とずっと一緒なのは正直面倒だ。

 じらさずさっさと襲ってきてくれ。

 俺が内心そう思っていることも、この姫様には見抜かれているだろうな。

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