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有能なお店

「いやぁ、さすがに人が多いね」

「そりゃ土曜日だしな」

「これじゃ、お昼ご飯を食べるの何時になっちゃうんだろうね.......」


 俺といのりは今、大型ショッピングモールに来ていた。どうせ服も買いに行くのならお昼ご飯もこの施設内にあるところで食べてしまおうということになったのだが土曜日ということもあり、どこを見ても人、人、人なのだ。


「それで、どの店にするんだ?」

「う~ん.......蒼空は何か食べたいものとかないの?」

「特に無いな。というか、ここに来るのが久しぶりだから何の店があるとか覚えてない」

「久しぶりって.......私達の住む地域だと遊ぶってなったらここが定番だと思うんだけど?」

「つまり、そういうことだ」


 別に友達がいないとかそういったことは無いのだが、人より友達の数が少ないというのは否めないというわけでありまして、その数少ない友達は部活をしているのでいかんせん一緒に遊ぶことが少ないのだ。遊びに行ったとしてもカラオケとかボウリングと言った体を使う系の方が多いのもここにはあまり来ない理由の一つでもある。


「.......私がまたこれからはいっぱい遊んであげるからね?」

「いや、別にいい」

「なんで!?」

「俺、家好きだし」

「仮にも彼女である私にその言い草はないと思うな!」


 あっ.......そういえばそうだった。今のいのりは一応は俺の彼女ということになっているんだった。幼馴染としての付き合いが長すぎたせいでついつい忘れてしまう.......。


「俺もいのりといっぱい遊びたいな」

「露骨すぎるよ! あと、なんでそんな棒読みなの!」

「.......難しいな」

「そんなに難しいなら無理しなくていいからね!」

「そうか。とりあえず、何食べる?」

「随分あっさりだね! 食べたいものが決まらない時はバイキングがいいと思うよ!」


 なるほどな。確かにバイキングなら何でもあるのだから何かを食べたいと決める必要も無いし自分が食べたいものを直接見てから決めることが出来る。そう考えるとバイキングってすごいな。もう、バイキングだけあれば他の飲食店いらなくね? バイキングさえあれば何でも食べられるし。

 そんなこんなでバイキングに行くことを決めた俺達はバイキングの店の前に置いてあるボードに名前を記入してから20分ほど待っていると名前を呼ばれ店内に入っていく。

 それから席に案内され、バイキングでの説明を受けるとお待ちかねの料理を皿に盛っていく作業のお時間だ。皿を片手に数々の料理を前にした列に並ぶ。たまにバイキングとかで逆走しながら料理を皿に盛っていく輩がいるがあれはやめて欲しい。やっぱり日本人たるもの協調性を重んじるべきだ。


「おぉ、思ったより色々あるな」

「バイキングに来るの久しぶりなの?」

「そうだなぁ.......3年振りとかか?」

「ねぇ、蒼空」

「なんだ?」

「言いたくなかったらいいんだけどさ、宮崎さんと付き合ってた頃は何してたの?」


 柚希と付き合ってた頃かぁ.......何してたっけなぁ.......。デートに行くとしたら電車に乗って少し遠出することがほとんどだったから地元で遊んだりはあんまりしなかったんだよなって.......あれ? 今考えるとこれっておかしくないか? 


「なぁ、いのり」

「なに?」

「恋人同士になったら近場でデートとかしないものなのか?」

「う~ん.......私、彼氏とかいたことないから分かんないけどそんなことも無いんじゃない? 今いる大型ショッピングモールだってデートとかするにはもってこいだと思うしね」


 だよなぁ。ということはもしかしなくてもそういう事だよな? .......なんか腹立ってきたぞ。恐らくだが俺は最初から二股をかけられていたのだろう。確証は無いが柚希ならやりかねないという確信もある。


「.............って、え? いのりって彼氏とかいたことないの?」

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