表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/41

分からない

「……最悪」


 昨日、家に帰ったあとすぐにシャワーを浴びて寝たにも関わらず私は朝から気分が全く優れないのだ。昨日の夜のことを考えるだけで吐き気がするのだ。それも当然と言えば当然なのかもしれない。それに今日も学校はあるのだが、学校に行く気にはなれない。


「はぁ……」


 それでも学校には行かなければならない。こういった変なところで真面目なのは私のいい所であり悪いところな気もする。自分に融通を利かせられないのは中々に生きづらいものがあるのだ。


 私は嫌々ながらもシャワーを浴びて制服に着替える。普段ならば朝食も食べてから行くのだが、食欲なんてものはあるはずもないのでコーヒーだけ飲んで家を出る。


「あっ」


「「ん?」」


 学校のすぐ近くまで来ると私が1番会いたくない人達がそこにはいた。思わず声が出てしまったので、前の2人も私に気づいて振り返る。もちろん、私が会いたくないのは蒼空とあの女だ。


「「「…………」」」


 居心地の悪い沈黙が続く。蒼空は昨日の夜のことがあったからか、余所余所しい感じがしている。その事にあの女も気付いたのか不思議そうに私と蒼空を見ていた。


「えっと……おはよ?」


「……おはよ」


「「!?」」


 私は挨拶だけ返して2人を追い抜かして先に学校へと到着する。私が挨拶を返したのが衝撃的だったのか、2人はありえないものを見るような目で私を見てきた。それも当然なのかもしれない。なぜなら、私自身も挨拶を返したことに驚いているのだから。


「……どうして?」


 私は復讐がしたい。そのために生きている。だが、最近はそのことに関しても疑問を抱くようになってしまったのだ。私は復讐がしたい。今までならば、それが私の生きる理由だった。それは今も変わらない……そのはずなのに。


「……私は何がしたいんだろ」


 復讐した先には何があるのだろうか? ……分からない。私は生きているのだろうか? そんな風にまで考えてしまう復讐に意味なんてあるのだろうか? そもそも、本当にあの女が全て悪いのだろうか? 


 分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない。


「……大丈夫か?」


「!? ……なにが?」


「いや……その、泣いてるから」


 泣いている? 誰が? 私が? そう言われて目に人差し指を当てるとそこには確かに涙らしき水滴がついていた。なんで? どうして私は泣いているの?


「宮崎さん大丈夫?」


「……大丈夫よ」


 あの女にまで心配されるなんて……。私はこの居心地の悪い空間が嫌で席を立って教室の外に出ようとするも……


「あっ」


「宮崎さん!?」


 あの女の叫び声とも言えるような大きな声を聞きながらも私の意識が遠のいていく。倒れ込む直前に誰かに支えられたような気もするが、それが誰かも分からぬまま私の意識は暗転いく。



「あぁ……このまままもう……起きなければいいのに……」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 優吾くんに対価で身体差し出してたし気分が全く優れない、吐き気、情緒不安定からの涙、倒れたのが貧血とかなら妊娠とかありそう
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ