表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/41

俺の確信

 和真は何を言っているんだ? いや、言っている言葉の意味は分かる。けど、意味が分からない。いのりと柚希は確かに俺と柚希が別れたあとくらいに2回ほど喧嘩とまでは言わないまでもギスギスするようなことはあったけど.......それだけでここまでするだろうか?


「いのりって柚希とこれまでに関わりとかってあったのか?」

「無い.......と思うけど.......」

「だそうだぞ和真?」

「うん。直接の関わりは無いのかも知れないけど、その事は俺の考えている仮説通りならどうでもいいんだよ」

「? まどろっこしいな。その仮説とやらをさっさと言ってくれ」

「あくまで仮説だけど.......事故で亡くなった春野さんと宮崎さんって何かしらの関係のある間柄だったんじゃないかな」

「「「!?」」」


 確かにそれなら柚希がいのりを恨んでいたとしてもおかしくない。黒板にも書いてあった通り春野さんのことをいのりが殺したのだと柚希が考えていたのなら.......。そう考えると噂の件に関しても今日の朝の件にしてもいのりを陥れるという点では共通している。けど、それだと1つ不可解な点がある。


「なぁ、それなら何で柚希は俺と付き合ったりしたんだ? それも向こうから俺に告白してまで」

「それはまぁ.......」

「夕凪くん.......可哀想に.......」

「.......蒼空.......本当にごめんね.......」

「おい、俺を憐れむな。意味がわからん」

「いやまぁ、それも宮崎さんの思惑の1つだったんだと思うよ.......」

「は?」


 本来の目的はいのりを陥れることだったのに対して俺と付き合ってその挙句に浮気してまで俺をフルのも柚希の思惑だった? なんで? 意味が分からん。俺が憐れまれているのも本当に意味が分からん。


「はっきり言ってやるよ蒼空。お前は.......涼風さんを陥れるための道具にされたってことだよ」

「道具.......あっ、俺がいのりと浮気したとかいう噂を流すためか。俺としたことが.......こんな単純な事に気づけなかった」

「まぁ、確かにそれもあるんだけど.......恐らくだけど涼風さんが大切にしている人を絶望させることで間接的に涼風さんを揺さぶってやろうって意図もあったと思うぞ。あくまで俺が考えているだけで実際にそんな意図があったかは分からないけど」

「.......要するに俺は当て馬にされたのか?」


 俺がそう聞くと3人は俺から視線を外して気まずそうな顔をする。ふむ.......なるほど.......いのりを陥れるために俺の純情を弄んだとそういうことでいいんだな? 別に噂を流すためだけであったとしても俺の純情を弄んだのは変わらないんだけど。いやまぁ、和真が勝手に言っているだけで実際はそうでないのかもしれないし、俺としては是非そうあって欲しいのだが.......


「.......なんか腹立ってきたぞ」

「本当にごめんね蒼空.......私のせいで.......」

「あくまで俺の仮説だから。春野さんと宮崎さんの関係があるのではないかって話から今の蒼空の話まであくまで俺の仮説だから落ち着け? なっ?」

「そうだよ夕凪くん! 今はこれからどうするかを考えよ! ねっ?」


 ただでさえ腹が立っていたのに余計にイライラしてしまったが、確かにこれはあくまで和真の仮説の話だし瑠川さんの言う通り今考えるべきはこれからどう動くかってことだ。大丈夫だ.......落ち着け俺.......よし。


「ふぅ.......。それで、これからどうしていくかだが.......これに関してはもうほとんど決まったな?」

「うん。本当に宮崎さんとみはるが関係があるのかってことだよね」

「そうだ。要するに情報収集しなくてならないのだけど.......知っての通りだと思うが俺の交友関係は狭い。何なら今ここにいる3人くらいと言っても過言ではない」

「なんで夕凪くんはそんなに堂々とそれを言えるの.......」

「まぁ、蒼空だからな.......」

「あはは.......」


 こればっかりはどうしようもない。今から俺が交友関係を広げようと躍起になれば柚希に俺が何か企んでいることはすぐにバレてしまう。そして人は何かを1人で全てやりきることなんて基本的には出来ないと俺は思っている。人という字は人と人とが支え合っているように俺達はお互いを支え合い協力し合うべきなのだ。要するに俺が何が言いたいのかと言うと、


「適材適所だ。情報集めは瑠川さんと和真にお願いしたい」

「まぁ、そうなるよねぇ」

「だなぁ。まっ、やるしかないよな」

「あれ? 私は? この2人程では無いにしても私も蒼空とは違って交友関係はそこそこあるよ?」

「さりげなく言葉のトゲを織り交ぜなくていいからな? あと、いのりがこそこそと何かする動きがあれば速攻で怪しまれるに決まってるだろ? その点、瑠川さんと和真なら俺達が動くよりはマシだ。それでも怪しまれるのは間違いない。だから2人にはできるだけ早く柚希と春野さんの関係を調べて欲しい」


 調べていった方がいいとは言ったものの本当に柚希と春野さんに何かしらの接点があるかは分からない。けど、俺は心のどこかであの2人には接点があることを確信していた。なにか根拠があるわけではないけど、和真の仮説が考えば考えるほど的を射ているのだ。

 それから俺達はこれ以上は今のところ話し合えることも無いので瑠川さんと和真が情報収集してくれた結果次第でということで今日は解散となる。

 そして、俺の確信が正しかったことを示すかのように今日の夜には2人からの情報収集の結果が俺のLINEへと送られてきていた。




 ゛ 宮崎柚希と春野みはるは従姉妹であった ゛

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ