服だけを溶かすスライムの正しい活用法
外は雪が降っている、そんな朝のこと。
俺は目覚ましに起こされる。
俺は17歳、学生。兼、特撮ヒーロー。実際に怪人と戦うのである。
ん? 机に何か箱が置いてある。
「服だけを溶かすスライムです。どうぞお納めください」
なんだこれ。誰かのいたずらか?
箱を開けると本当にスライムが入っている。
指ですくって服に一部をつけると服がじゅわっと溶けた。
でも、指は溶けていない。
まさか、薄い本展開が可能なのか......?
俺は学校にスライムを持って行くことにした。まぁ、少しくらいそういうご褒美があっても悪くないよな。
冬は寒い。厚着をして、学校に向かう。
学校に到着した。いや、マジで寒い。
「おはよーう!」
クラスで一番人気の女子だ。
カバンに忍ばせたスライムに手を伸ばす。
本当にいいのか? 俺は17歳。そういう展開は薄い本で十分摂取しているはずだ。もっと正しい活用法があるはずだ。
俺は理性と戦いながら、スライムから手を離す。
「ハッハッハッ。我がこの学校は支配する。文句のあるやつは諦めろ」
怪人が現れる。よくいる恐竜型だ。
そうだ。今こそスライムの使い時だ。冬は装備の中がごわごわして戦いにくかったのだ。
「変身!」
そう言いながら、スライムを俺の体にぶちまける。
すっきりと変身できた。これなら倒すのは楽勝だ。
「エクストラデリシャスヒーローパンチ!」
正拳で怪人を一撃にして葬り去る。
「ふう」
変身解除っと。
あれ? なんか寒いぞ?
あ。
人生終了のお知らせ。
スライム、しっかり処分、大事。