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僕が妹に転生したら皇太子の婚約者にされました  作者: とらまる
フレーデル王国編
98/350

俺とヴィル 2-1

「それで…そのよく分からないメンバーでクルーズに行ってきたのか?」

「うん、ブドウ畑が綺麗だったよ。」


約束通り、夕方フリッツが僕の部屋を訪ねてきてくれた。

僕はコーヒーを入れた。

フリッツはものすごく疲れているみたいで部屋に来てスーツのままベッドに寝転んだ。


「何が何だか分からんが、あのヴィルがミハイルの妹と付き合うとか、急展開すぎてついていけん。裏がありそうで怖い。」

「アリーナは普通に良い子だよ。」

「お前の良い子はあてにならんだろ。」


「ヴィルは他の人にも目を向けてみるって…」

「寂しいんだろ、お前」

「うん、すごく。」

フリッツがベッドをポンポンとたたく。僕がベッドに座ると僕の腕を引っ張った。

「あーあ、泣いちゃって」

僕の頬をフリッツが触る。

「だって…」

「ヴィルの狙い通りの反応だ」

「どういう事?」

「なんでもない」


フリッツが僕にキスをして抱き締めた。

フリッツの匂いだ…。

「会いたかった…。パーティーの時のお前、すごく可愛かった。」

「私も会いたかった。軍服、格好良かったよ。」

「…また服だけほめられたな。」


僕たちがしばらくそのままの体勢でいるといつの間にかフリッツから寝息が聞こえてきた。本当にすごく疲れているみたい。




朝、目を覚ますとフリッツが横で僕の髪をいじっていた。

「お早う」

「お早う。悪い…つい寝てしまって。」

「どうして謝るの?」

「だってせっかく会えたのに」


「今日は仕事?」

「いや、でも約束があるから昼前には出る。」

「そっか…。本当に忙しいんだね、フリッツは。」


「…最近国内でいろいろ怪しい動きがあってな、あまり詳細は言えんが。それで、忙しい。」

「そっか。私にできることあったら言ってよ?」


「十分してもらってる。」

「え?何もしてないけど。」

「ここにこれるだけで励みになる。」

「えー?それだけ?つまんない…。」

フリッツが笑う。


「リネア」

「ん?」

「好きだよ」

「何それいきなり?!」


「以前の俺は仕事がすべてだったんだ。それでいいと思ってた。だけど今は仕事の後にこんな嬉しい時間が待ってる。お前と会える楽しみがあるからもっと仕事が頑張れる。すごく幸せだ。」

「…私も何か見つけたいなぁ…」


「クラブとか入ってみたらどうだ?」

「クラブ?」

「ああ、授業後にスポーツとか、研究とか。俺はなかなかやる時間がないが、楽しそうだぞ。知り合いも増えるし。」

「やってみようかな?」

「ああ。問題を起こさない程度にやってくれよ。」

「…」





◇◇◇


「お久しぶりです。」

「ああ、久しぶりだな。ヴィル。」


俺はパーティーでヴィルに会った際に今日の予定を組んだ。

その時に会った時よりも少し顔色が良くなったように見える。

今日は場所を城の執務室に指定した。

いろいろ話さなければならないことがある。


「最初に言わなければならない事がある。」

「リネアの事ですね」


「ああ。そなたの不在時であったことに関しては後ろめたく感じるが、俺は謝らないぞ。」

「…謝る必要はありません。正直腹が立っていますが。」


「…結果的にそなた達の関係を崩したことにはなるな。」

「僕はそう思いません。」

「と言うと?」


「僕は元々リネアに関心があった訳じゃないので。僕が一緒にいたいのはオスカルですから。リネアはこれからも僕といるときはオスカルとして会ってくれると約束してくれました。」

「…」


「フリッツ、僕はあなたに腹が立っている理由が分かりますか?」

「なんだ?」


「あなたは…僕のオスカルをリネアにしようとしている。僕の大切な思い出やこれから僕が彼と過ごしていくはずの時間を…あなたが消そうとしているんです。」

「…」

「あなたにとってあの人はリネアでも、僕にとって彼はオスカルなんです。僕のオスカルを奪わないでください。」


「ヴィル…リネアが、彼女が何を望んでいるか考えた事はあるか?」

「外交官になりたいと言っていました。」

「じゃあ、それを叶える為、どのように応援してやる?男のまま活躍できると思うか?俺はあいつのあの話し方も態度も気に入っているが、あれでは国際社会では活躍できないぞ。そなたが無理やり婚約して、結婚したとしても皇太子妃としてあのままではまずい。」


「それは…」


「俺はあいつに幸せになって欲しいと思う。別に人格を変えて欲しいなんて思っていない。状況に合わせて使い分けれるようになればいいと思っているだけだ。彼女もそれを理解して努力している。そなたは自分わがままで彼女の未来を潰す気か?」


「…。あなたは…」

「俺だってあのギャップが好きだったんだ。」


「…あなたは、ズルい。」

「何で?」

「いつも格好良すぎる。今回の事で僕はあなたの事を嫌いになろうと思ったし、ミハイル側について、あなたを困らせてやろうかとさえ思ってた。」


「それは…嫌だな。」


「だけど、やっぱりあなたは凄い。僕はあなたを嫌いになれないし、やっぱりあなたの側にいたい…。」


ヴィルが泣いてる…。なんなんだ、この可愛い少年は。

俺はヴィルの頭をポンポンと撫でた。


「ヴィル、後で飲みに行くぞ」

「昼間からですか?」

「ここはフレーデル王国だ。その前に、もう一つ話がある。」




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