ライナー川クルーズへ 1-1
次の日の朝、僕は早起きして支度をした。
ミーシャ以外同じ寮にいるから朝、みんなと食堂で顔をあわせた。
「お早うリネア」
「ルイーズ、お早う」
「楽しみだなぁ、この国にきて一年以上経つけどまだ一度も行ったことなかったんだ。ライナー川のクルーズ」
「リネア…君はどうしてそうやってすぐに仲間を増やしていくんだ?」
「この前のスシについてきたのはユーラの方でしょ?」
「スシって何の話?」
「リネアたちとスシを食べに行ったんだよ」
「まぁみんなで行った方が楽しいからね!」
「お早う」
「お早うヴィルフリート。」
「お早うヴィル。ヴィル、この人はクラスメートのルイーズ。ランク王国の王族だよ。今日一緒に出かけることになったんだ。ルイーズ、こっちはスモーランド王国の皇太子のヴィルフリート。」
「初めまして。ヴィルフリート・グスタフ・ヴィルナドッテです。」
「ルイーズ・ド・リオンヌだ。よろしく。…綺麗な顔立ちだね。そちらのお二人も。リネア、美形を集めているの?」
「まぁ私は普通なんだけどね、たまたま集まっちゃったんだ。」
「リネアも可愛いよ」
「ユーラ、そういう気遣いはいらないから。」
「…」
みんなが僕を可哀想な目で見てため息をついた。
「何なの?」
「いや…そろそろ行こうか。」
ライナー川は、シュバイツァーから始まりフレーデル王国を南北に横断し、隣国を越え海に流れる国際河川だ。
昔から水運に利用され川の両側で農業や工業が営まれてきた。
今日は観光で有名なクルーズに来た。
「綺麗ね!」
「本当ですね!」
「みんなー、お菓子食べる?」
「君は…本当にぶれない。」
「そういえば、ヴィル、スモーランドのお土産は?」
「あったけど、渡し損ねて大半捨てたよ。痛んだし。」
「ヴィルのバカー!」
「仕方ないじゃないか…。ほら、これ。」
「ラクリッツだ!」
「何、その黒いの。」
「スモーランドでは普通に食べるお菓子だよ。甘草から作ってるんだ。食べる?」
僕はユーラの口にラクリッツのキャンディーを入れる。
「…ごめん、せっかくくれたけど捨てていい?…苦手だ。」
ユーラの口に合わなかったらしい。
「あ、ラクリッツ?罰ゲーム的な不味さだよね。」
「ルイーズ、失礼だな!」
ラクリッツはスモーランド周辺の国で食べられる甘味だけど、万人受けする味ではないらしい。僕たちには慣れしんだ味だ。
「ヴィルフリート、あちらの景色が綺麗なの。一緒に見に行きましょ。」
「あぁ。」
ヴィルがアリーナと歩いていってしまった。
「あの可愛い美少女は君の幼なじみを気に入っているみたいだね。」
「そうみたい。」
「気になる?」
「んー、どうかな?」
「ルイ、リネアは殿下の彼女なのよ。気になる訳ないわ。」
「え!?そうなの?」
「そう…みたいデス。」
僕は恥ずかしくなる。
「僕はてっきり、ロマノさんとそういう仲なのかと思ってたよ。」
「ユーラとはそういうのじゃ…」
ユーラが後ろから僕の首に腕をまわす。
「私はそうなりたいと思っているんだけどね、フリッツに先をこされちゃった。」
「ユーラ…。もう、みんな本気にするからそういうのやめてよ…。」
僕はユーラを引っ張って別の場所へ移った。
「ミーシャ、なんかロマノさんが気の毒に思えるよ。」
「あの子本当に鈍いのよ。…ねぇ、ルイ。」
「何?」
「私の事、心配してくれてた?」
「まぁね…。相手が悪い」
「悪いって…。」
「知らない?他の人にはいっちゃ駄目だよ。」
「何よ」
「あいつ、ブローカーなんだよ。薬物の。」
「え…」
「僕、わりかし遊んでるでしょ?あ、でも絶対越えちゃいけないラインの内側で遊んでるんだけど、中にはラインの外にでちゃう奴もいてさ…。」
「それで?」
「そういう奴をカモにするわけ。違法ドラッグを売り付けて。」
「どういう事…?彼が取引に関わってるの?」
「知り合いの中にたまに買う奴いるんだよ、で売り子をたどって入手経路を聞いたらあいつの名前が出てきた。あいつあんな見た目だけど相当裏ではヤバい事してるらしい。しかもここへ来てそれほど経っていないはずなのに。おかしいだろ?」
「リネアの言った事は本当だったのね。…ロマノ様はどうなの?」
「正直僕も警戒していたけど、彼や彼の妹からそういった話しは聞かないな。」
「そう…。リネアが心配だから、何かあったら教えてくれる?」
「うん、分かったよ。」




