新入生歓迎パーティーにて 1-2
フリッツが僕をダンスに誘う。
僕たちは再びホールへ向かった。
「うん、だいぶ様になったな。最初はひどかったが…」
「頑張りました」
「この調子で続けるように。…セルゲイとだけ目立つのは面白くないから俺も仕掛けていい?」
「え?」
フリッツがいきなり高度な技をかけてきた。
「いきなり?」
「ついてこれるかな?」
「もちろん…」
何これ?フリッツもめちゃくちゃ上手い。
それに、…楽しい!ワクワクする。
気づいたら再び僕たちのまわりにたくさんの人が集まってきた。
「…名残惜しいけどそろそろ俺は戻らないと。」
「うん、ありがとう。楽しかった。」
「明日の夜は…部屋に行くつもりだから。」
フリッツが耳元でそう言った。
ユーラが僕にデザートを持ってきてくれた。
「物凄く目立っていたよ。私たちに注意しておきながら。」
「私が目立とうとした訳じゃないし…。あ、これ美味しいよ。」
「どれ?」
「このオレンジの」
僕はユーラの口にオレンジのケーキを入れる。
「うん…、確かに。コーヒーが欲しくなるけど。」
「取ってこようか?」
「一緒に行こう。」
僕とユーラがバルコニーで話しているとアリーナが声をかけてきた。
「お兄様」
「アリーナ」
「リネア、見ていましたわ。セルゲイや殿下と踊っているところ。とてもダンスが上手なのね。」
「私の相手が上手なだけだよ。」
「お兄様をお借りしても?」
「もちろん」
「お兄様、私とも踊ってください」
「もちろんだよ、じゃあ、少し行ってくるね」
ヴィルと僕が二人になる。ヴィルは僕と目を合わそうとしない。
「ヴィル…少し話せる?」
僕は緊張しながら声をかけた。
「うん…」
僕たちはテラスの椅子に座った。
しばらく無言が続いた後ヴィルが僕の肩に頭を乗せた。
「ごめん…君を怖がらせた。」
「…うん」
「自分でもどうかしてた。」
「そうだね」
「君と今日は一緒にここにいるはずだったのに、どうしてこんなふうになっちゃったんだろうってずっと思ってた。」
「うん、僕もそう思ってたよ。」
「もうしないから、許して貰える?」
「うん、分かったよ…。」
ヴィルはそのまま僕を抱き締めた。
体が震えてる。
「嫌われたと思って話しかけれなかった。」
「僕もだよ」
「僕の事、嫌わないで」
「嫌うはずないだろ?親友なんだから」
ヴィルが泣いてる。僕も涙がこぼれた。
「また普通に話かけてくれる?」
「当たり前だろ」
「部屋にも行っていい?」
「…ああいう事しないなら」
「しない。」
「ならいいよ。」
僕もヴィルを抱き締めて頭を撫でた。
「彼氏じゃなくていいから…君の一番近くにいる人はこの先も僕でいたい。」
「それは変わらないよ」
「約束?」
「約束するよ。」
「オスカル…好きだよ」
「僕も好きだよ、ヴィル…」
抱き締め合う僕たちをユーラとアリーナが見ていた。
「お兄様、ヴィルは…」
「リネアのことが好きだからね」
「私…ヴィルと一緒にいたいの。初めてなの、お兄様以外の男性でそう思えた人。」
「リネアはフリッツと付き合っているからね、チャンスはあるんじゃない?」
「そう思います?私なんかが?」
「協力してあげるよ、可愛い妹のためだ。」
「嬉しい。」
テラスにユーラとアリーナが戻る。
ユーラが明日4人で出かけないかと誘ってくれた。
僕もヴィルと話したかったし、二人で出かけるより気まずくない気がしたから行くことにした。
歓迎パーティーの最中僕は次々にダンスの上手い男性に声をかけられた。ルイーズもその一人だった。
「みんな私を試してる?」
「分かった?ロマノ君と君が踊っている時、ダンスに自信のある奴らが興味深々で見ていたんだよ。まさか殿下とまで仲がよかったなんて驚きだ。」
「ルイーズはフリッツの事を知ってるの?」
「まぁ、王族同士顔を合わす機会もあるしね。」
「そう言えば…ミーシャと今日きたんだね。」
「あぁ。あのメガネに振られて落ち込んでいたからさ。」
「私はほっとしてる、ミーシャが彼と離れてくれて。」
「僕もだよ、あの少年は危険だからね。」
「え…?」
「あ、いや、それにしても上手だね、リネア。」
ルイーズと僕は二曲一緒に踊って、ミーシャの場所に二人で行った。
「リネア。相変わらず目立ちまくってるわね。」
「違うよ…」
「今日のドレス、素敵ね。よく、似合っているわ。…少し話せる?」
「うん」
僕たちは飲み物のある近くの椅子に座った。
「セルゲイにふられたの、突然」
「ルイーズに聞いたよ」
「あなた、セルゲイを避けていたわよね?」
「…セルゲイにもう関わっちゃいけない」
「リネア?」
「私は君を心配していた。お願いだから、もう関わらないで。」
「セルゲイと何かあったの?」
「…ミーシャとは友達になりたいから言うね。私は話があるとセルゲイに誘われてクラブにでかけた。」
「…それで?」
「おかしな薬をのまされて危うく意識を失くすところだった。間一髪、フリッツに助けられたけど、あのまま意識を失ったら今頃どうなっていたかわからない。」
「嘘…」
「それからだよ、私がセルゲイを避けるようになったのは。ミーシャにも早く言えたらよかったけど、君はセルゲイに熱を上げていたし、信じてもらえるかわからなかったから…。」
「そんな事があったの。…信じられないわ。あんな優しい人が。」
「私だって信じられないよ。でもミーシャ、私を信じて。君はもうセルゲイと関わっちゃいけない。私から見たらルイーズの方がよっぽどまともだし、彼も君を心配していたみたいだ。」
「ルイが…?」
「元気だして。明日みんな出かけるんだけど、よかったら一緒にいかない?ルイーズも誘ってさ。」




