夜のカフェにて 2
「ついに観念したな」
フリッツが笑う。
僕とフリッツはカフェに来た。
お気に入りのバームクーヘンを口に入れる。
「…少し前に頼んたばかりじゃないか。言わないでって。」
「仕方ないだろう?気づいたら言ってたんだから。不可抗力だ。」
「…」
「リネア、これからの話をしよう。」
フリッツはコーヒーの追加を頼んだ。僕はアップルパイを頼む。
「お前は本当に甘い物が好きだな」
「だって、おいしいんだもん、ここのスイーツ。」
「…本題だが、俺はお前の留学の延長を希望したい。」
「延長…」
「半年では短すぎる。スモーランドのスクールに行ったから分かるが、こちらの方が講師陣も生徒も多いし国際的なことについて学びたいならフレーデル王国の方が向いている。」
「うん」
「リネア」
「はい」
「お前はお前の人生を生きろ。ヴィルとは離れることになるかもしれない、俺とも…。だが、お前は自分の進みたい道へ行くべきだ。職業の選択は恋愛感情や長年の友情に左右されるべきじゃない。」
「フリッツ…」
「リネア、お前ならきっと国際的に活躍することも可能だ。だからその為に最大限の努力をしろ。」
「分かった…。僕やってみる」
「私、私と言え。二人の時以外は言葉使いも意識するように。」
「はい」
「あと…」
「はい」
「俺はヴィルには本当のことを言うつもりだ。隠せることじゃないし、悪いことをしている訳でもないからな。」
「…」
「どのみちすぐばれる。だったら筋は通すべきだ。」
「…」
フリッツは正しい。だけど僕は怖くなる。ヴィルがどう思うのか、僕たちはどうなるのだろう。
「お前たちの関係は俺がどうこうできるものでもないから二人で話し合うしかないな。俺が変えてしまったという後ろめたさはあるが、こればかりはどうしようもない。」
「フリッツのせいじゃないよ。誰のせいでもない。…ただなぁ、気が重い。君はまだヴィルを知らない。」
「…何かあったら俺に相談しろ」
「うん…。」
城への帰り道僕たちは手を繋いで歩いた。
「フリッツ…、僕…じゃなくて、私にもライバル登場かな?」
「メアリーのことか?あれは…違うだろ。」
「もう…しない?」
「しないって。お前だって他の男にキスとかさせるなよ、分かっただろ?俺の気持ち。」
「うん、嫌だった…。私もなるべく回避するよ。君に嫌な思いをさせたくないし。」
「それから、始業式が始まるとすぐ新入生歓迎パーティーでダンスがある。時間はあまりないから猛特訓が必要だな。」
「早速逃げたくなってきたよ。」
「バカ、ちゃんとやらないと国へ返すぞ。」
「すみません」
いよいよフレーデル王国でのスクール生活が始まるんだ。
フリッツのいう通り頑張ってみよう。
歓迎パーティーの準備の為に、フリッツはダンスをはじめ令嬢の礼儀作法、話し方、服の着こなし、すべて専任の講師をつけてくれた。ここへ来た時はベリーショートだった髪の毛が肩まで伸びた。フリッツがくれたピアスをつけた。フリッツとお揃いのデザインらしい。
それから、寮室にベッドが届いた。スモーランドの有名なブランドのすごく高いベッドだった。フリッツはインテリアに合うデザインを選んでいてくれた。
「いよいよ始まるわね。」
ヴィッキ-が部屋を見に来た。
「うん、楽しい夏休みだったよ。ありがとう、いろいろしてくれて。」
「こちらこそ楽しかったわ。秋もキャンプに行きましょう。」
「うん、行きたい!」
「リネア…少しの間に可愛くなったわね。」
「へ…?」
「なんか女の色気が出てきたというか…あなた、まさかフリッツと男女の関係に…」
「なってないから!」
「そう?何かあったらお姉さんに言うのよ、それから部屋の鍵なんか渡しちゃ駄目よ。男は狼なんだから。」
「…」
「渡しちゃったの…」




