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僕が妹に転生したら皇太子の婚約者にされました  作者: とらまる
フレーデル王国編
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ライバル登場?

城での生活も今日が最後。

ヴィッキ-と国王夫妻も夕食に参加してくれた。


僕は今日は少し令嬢らしく、シャツにシンプルなキュロットスカートを合わせた。


「大変お世話になりました。ありがとうございます。」


「うん、君との食事楽しかったぞ。」

「いなくなると寂しいわ、また遊びにいらっしゃい。」

「ありがとうございます。」


「そういえば…、遅いわね」

ヴィッキ-が時計を見る。

「どうしたの?」

「私たちのいとこのメアリーがここに来るはずなの」

「へぇ」

「メアリーは体が弱くてね、今年の夏は隣国シュバイツァーに行って静養していたの。」



「遅くなりました」



白に近い髪の色。

フリッツと同じグレーの大きな瞳

真っ白な肌

細くて、小さくて、可愛らしい。



「フリッツ…会いたかった」

そう言ってメアリーはフリッツに駆け寄るとフリッツにキスをして抱き締めた。



部屋になんとも言えない気まずい空気が流れる。


「メアリー、紹介するわ、スモーランド王国から来たリネアよ。夏にここに滞在していたの。」

「…初めまして。あなたが噂の。フリッツから聞いていたわ。」

「リネア・エステル・カールソンです。初めてまして。」


「へぇ、聞いていたほど男っぽくないわ」

メアリーは僕を繁々見る。

「先に言っておくけど、フリッツは私の婚約者なの。」

「えっ!?そうなの?」

僕はフリッツを見た。



「メアリー…、何度も言ったはずだがあれは五歳の時の口約束だろ?そんなものにいつまでもとらわれるな。」

フリッツがため息をつく

「フリッツの初めても私なんだから。」

メアリーはフリッツに抱きついたまま、僕を睨んでそう言った。




静寂に包まれる…誰もが言葉を失った。

なんて言っていいか分からないけど、物凄く個性の強い人だ。

胸のあたりがチクチクする。嫌な感じだ。

この可愛い人がフリッツの…。


「メアリー、食事の席ではしたないわ。」

フリッツのお母さんが注意した。


「お久しぶりです、おば様、おじ様。」

「あぁ…。君は相変わらずだな。」

国王も少し呆れているようだ。


メアリーはフリッツの隣に座りシュバイツァーでの生活を語った。湖の見えるとても静かな山の中で過ごしたらしい。

僕は行ったことはないけど、自然の景観がとても美しく、世界中の富豪が夏に訪れる有名な場所だ。


「フリッツ…、今日は口数が少ないのね。…ねぇ、今日はそちらに泊まってもいいかしら?久しぶりにゆっくり話がしたいわ。」

メアリーがフリッツにもたれかかった。

「駄目だ」

「どうして?前はよく泊めてくれたじゃない。」


大胆な令嬢だな。こういうはっきり愛情表現してくれる令嬢が好みだったんだろうか…。いや、考えるのは止めよう。せっかくの食事が進まなくなる。



「前にも言ったはずだがこの際はっきりしておく。俺はもう他の女性とはそういう事はしない。例えお前でも。」

メアリーの目から涙がこぼれる。

「認めないわ、こんな王族でもない男みたいな子。見た目もまだ子どもじゃない。おかしいわ、フリッツ。」


「はぁ…。メアリー、俺は前から言っているはずだ。お前は可愛い妹みたいなもんだって。」

「妹ならどうしてあんなことしたのよ?優しくしてくれたじゃない。私の事、愛してくれていたわ。」



「メアリー、いい加減にして」

今度はヴィッキ-がそう言った。


「せっかくの食事が不味くなるわ。そういう話は他でして頂戴。不愉快よ。」

「ヴィッキ-までひどいわ、みんなこんな子をかばって…。私のほうがずっと好きだったのよ!」

メアリーはそう言って部屋を出ていってしまった。


「フリッツ…追いかけないの?」

僕はどうしていいか分からない。

「放って置け。あれは甘やかされて育ったからワガママなんだ。手に追えん。」

「…あんたが撒いた種じゃないの?」

「姉上…昔の話だ。」

「あんたにとってわね。」




食事の後、僕とフリッツはエリザベスの散歩に出かけた。

8月の終わりは随分陽が短くなってきて夜風が涼しい。


「…すごく個性的ないとこだね。」

「…」

「君の事が凄く好きなんだね。」


「…あいつは幼少の頃より体が弱くてな、あまり友達もいなかったから俺がよく面倒をみていたんだ。」

「…そっか。」

リネアみたいだな。


「フリッツは好きだったの?メアリーの事」

「あれは妹みたいなもんだ…」

「ふぅん。妹…。」

「…リネア、怒ってるか?…その…」

「男女の関係の話?」

「あ…うん、まぁ…。」


「怒ってないよ、僕と会う前の事だし。」

怒っても仕方ない…だけど…


「面倒くさい」

「面倒くさい?」

「うん、こういう事で悩んだり嫌な気持ちになったりする事が今まで、なかったから。」

「…それは分かる…な。」


「フリッツは、僕のものじゃない。フリッツはフリッツの好きにしていいはずだろ?僕がとやかく言うのは筋違いだ。」

「まぁ…」


「ヴィルも帰ってくるし、僕、そろそろ気持ちを切り替えるよ。学生の本業に専念しないと。せっかく留学させてもらったんだ。あ、あとちゃんと令嬢らしい振る舞いも努力しないとな。」

僕はフリッツの目が見れない。なんだろう、さっきからモヤモヤがとまらない。こんな自分がすごく嫌だ。


「リネア」

「何」


フリッツが僕の腕を掴む。

「好きだ」



フリッツが僕の目を見て真っ直ぐそう言った。

喉のあたりがあつくなる。

抑えている感情が込み上げてくるのが分かる。



「好きだよ、リネア」



涙がこぼれた。

もう、自分でも分かってる。

この感情の名前を。


「バカ…フリッツのバカ。…なんで言うんだよ。」

「言いたくなったから。今言わないとお前が逃げると思ったから。リネア…俺に言うことは?」





「僕も好きだよ、フリッツ」


フリッツが僕を抱き締めた。




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