僕とオスカル 1-2
僕がいつも冷たい目をして笑わないことを心配した母が、友達をつくってあげるよう父に頼んだこと、それがオスカルと出会ったパーティーが開かれた理由だったと後になって知った。
初めて僕が笑うのを見た父は、母と相談して僕がオスカルとこれからたくさん会えるようオスカルの父に協力を仰いだ。いや権力を使って強制したというのが正しいだろう。厳しいと思っていた父はかなりの親バカだったらしい。
両親は、多分このままでは僕が問題ある人格を形成してしまうと判断したらしい。語学や数学、地理、歴史の家庭教師が来る日はオスカルも一緒に勉強することになった。オスカルは外交官の父の教育のせいか語学の授業が飛び抜けて優れていた。遊び過ぎて夜遅くなった時は城に泊まって二人で遅くまでいろいろな話をした。
オスカルは城の料理を気に入り、料理人にあれこれ質問したり、いつの間にか僕を巻きこんで一緒に厨房で料理を作ったりした。今まで関わろうともしなかった人や事、オスカルといると僕の世界がどんどん広がっていった。
いつの間にかオスカルは城のみんなに好かれるようになっていた。僕の両親も例外でなくオスカルが来る日は家族全員でご飯を食べるようになった。
母やきょうだいとも以前よりずっと会えるようになったけど、僕はオスカルと二人でいる時が一番楽しかった。妹までオスカルにしょっちゅう会いにくるようになったから鬱陶しかった。
明るくてちょっと抜けてて、好奇心旺盛なオスカル。
彼といると自分まで明るくなれる気がした。
いつの間にか僕たちはお互いを親友と呼びあう仲になっていた。
彼にはリネア・エステルという双子の妹がいた。彼女は生まれつき病弱で一年の半分くらいを郊外の別邸で過ごしていた。オスカルは彼女を何よりも大切にしていたから正直彼女が妬ましいとさえ思っていた。
僕はオスカルに頼まれて何度か彼女のいる場所を訪れた。リネア・エステルは僕に憧れていたらしく、僕はオスカルが喜ぶ為に彼女に会ったけど、双子で見た目がよく似ていても、身体の弱さに同情をすることはあれ、彼女自身に興味をもつことはなかった。
13歳の秋になったらパブリックスクールに入学して、14歳になったら寮に入る。親元を離れ貴族の一員として大人になるための準備が始まるのだ。オスカルと同室にしてもらえば朝から晩まで毎日一緒にいられる。うるさい教師もいない。楽しみで仕方なかった。
ところが、その日は永遠にくることはなかった。
オスカルが亡くなった日-
あの日は城で国賓を迎えた後、カールソン家に国賓が泊まるということで国中バタバタしていた。
二人が帰ってくるはずの時間はとっくに過ぎていた。気になった僕は父に頼んで護衛と共にオスカルの別邸に向かった。
街を抜け、郊外にさしかかったところの茂みに見慣れた馬車が横たわっているのが見えた。馬はいなかった。
「様子がおかしい!!殿下は、馬車の中から決してて出ないでください。」
護衛の一人が僕にそう叫び馬車を降りた。
その時突然、
横たわった馬車の背後からオスカルとリネアが姿を現した。
二人の体は透けていて
溢れんばかりの光を纏い手をとり抱きしめあっていた。
何が起こっているのか全く理解できなかった。
その瞬間
オスカルの体から浮き出た何ががリネアの身体に入ったように見えた。
不思議なことに、その光景をみたのは僕だけだった。
それから後のことはあまり覚えていない。
オスカルを亡くし、僕の孤独の日々が再びはじまった。




