二次会へ 1
「さぁ、二次会へ行くわよ!リネア、行くよね?」
「リネアは強制参加でしょ。」
お姉さま三人衆が僕を誘う。誘ってくれるのが嬉しい。
「うん、じゃあ行こうかな。」
「私もご一緒させていただけますか?」
「もちろんいいわよ。」
「フリッツ、今日は女だけで行ってくるわ。私が責任をもってリネアと帰るから。」
「…まぁ、それなら。…リネア」
「うん?」
フリッツが耳元で囁いた。
「…帰ったら俺の部屋にこい。姉上に気づかれずに。」
「…」
心臓がドキドキする。
フリッツがミハイルに声をかける。
「ミハイル、久しぶりに二人で話でも?」
「喜んで」
「えっ、じゃあセルゲイがわいそう。お姉さま方、セルゲイを誘ってもいいかしら?」
「仕方ないわね」
「いや、私は帰りますのでお気遣いなく…」
「いいからいらっしゃい。」
ミーシャは面倒見のよいお姉さんタイプらしい。エマとフリーダに肩を組まれセルゲイは強制的にクラブに連行された。
2回目のクラブだ。
僕たちは、今、目の前で起こっていることが信じられずにいる。
「…ミーシャ、あの人だれ?」
「うーん、私も誰か…分かりたくないわ。」
目の前でお姉様方と踊るもの凄く美しいな少年がいる…。
これがさっきまでメガネで髪が目の下まであった大人しいセルゲイ…??
「どういうことかしら?初めてきた訳じゃなさそうね。」
「僕、この場所で彼に会ったら気づかないよ、きっと。」
「私もよ。…リスラ共和国は美男が多いのかしら?かわいいわ、彼。」
「確かに…。」
ユーラとは違うタイプだけど、透き通る肌と髪色に赤色の瞳。華奢な体、手足が物凄く長い。
セルゲイはダンスがとても上手でクラブの中でとても目立っていた。
「上手いというか…。」
「プロ?」
「バレーで有名な国だし…いや、でもまさか…。」
「ミーシャ、踊ろう。」
セルゲイが来てミーシャの手をとった。
ミーシャが赤くなる。
「うん…。」
ミーシャが可愛い。
僕はミーシャとセルゲイのダンスを見ていた。ミーシャも結構上手だった。お姉さんたちは、すっかり酒が入っていて大はしゃぎしている。
この自由な空気感が楽しい…。
そういえば、フリッツが後で部屋にこいって行ってたよな。
行くべきなんだろうか?いや、でもまた昨日みたいなことがあるとまずいし…。
僕はフリッツのキスを思い出した。嫌じゃなかった。むしろ、ずっとそうしていたいと思ったんだ。だから…部屋に行ったら駄目だ。行ったら…。
うん、行かない、それが一番いい。
「リネア!私、凄くドキドキしちゃったわ!」
ミーシャが飲み物を持って僕の所へ来た。
「ミーシャ、僕と踊ろう!」僕はミーシャの手をつかんだ。
「えっ!?」
僕は男のパートでミーシャと踊る。
「リネア、あなたって不思議ね。」
「そう?」
「二人のいい男に好かれてズルいと思っていたけど、あなたの事嫌いになれないわ。」
「ずるくないよ、僕なんかよりミーシャの方が魅力的だから。」
「リネア…あなた、女の子なのに何か危険だわ。」
ミーシャが赤くなった。
「リネア、私とも踊ってくれる?」
セルゲイが僕を呼んだ。
「いいよ、あまり上手くないけどいい?」
「男のパートは上手かったのに?」
「…女のパートは苦手なんだ」
「じゃあ、私がそちらを踊るから。」
周りの人たちが僕らを見る。
女の僕が男のパートを踊って男のセルゲイが女のパートを踊る。
どちらも中性的だから不思議な感じがするんだろう。
それに、セルゲイのダンスの技量…
上手いなんてもんじゃない、絶対普通じゃない。
難しい技を連続でかけてみると、それ以上に技で返してくる。
なんだこいつ?!
「あの兄があなたを面白がるのが少し分かりました。」
「セルゲイ…。」
なんだ?この表情。
「また来ましょう、今日は楽しかったです。」
そう言ってセルゲイはミーシャを誘って先に帰った。
「リネア…、あの子、危険よ。」
「え?」
「ミーシャ、多分お持ち帰りされるわ。」
「弁当の話?」
「男女の関係の話よ。」
「えっ!?誰と誰が?」
「だから、あのミハイルの弟。あれは絶対遊び慣れてるわ。13歳でよ。ミハイルよりもやばいんじゃない?」
…嘘だろ?あのセルゲイが?
ミーシャ、大丈夫だろうか?
「あなたとこんな関係になるなんて…信じられない。」
「私もです。こんな素敵な人に出会えるなんて…。夢みたいだ。」
「セルゲイ…。あなた、ダンスが凄く上手いのね。プロのダンサーみたいだったわ。」
「目指していたんです、親に許してもらえなかったけど。」
「そうだったの…」
「でも、だからここであなたに会えた」
「大袈裟ね…。」




