僕の疑問
「ねぇ、セルゲイ。あなたのお兄さんて普段どんな方なの?」
私はカフェテリアでクラスメートのミーシャと食後お茶を飲んでいた。兄は同じクラスメートのリネアのことを気に入ったらしく、食事が終わると彼女をどこかへ連れていなくなってしまった。
私たちのクラスは四人しかいないから二人がいないと私とミーシャだけになってしまう。
講習当初、ミーシャはいつも国で兄につきまとう他の令嬢と同じかと思っていたが、適度な距離感で接している為、兄に嫌われることなく普通にクラスメートとして一緒に行動している。フレーデル語が得意なだけでなく、リスラ語も少し話せるし、意外と話しやすい。
「どうって…、あのままですよ。特定の人を気に入ったのを見たのは初めて見ましたが。私もあの兄のことをよく知らないので。」
「へぇ、そうなんだ。本当に綺麗な人よね。同じ生き物じゃないみたい。リネア、あんな綺麗な人に近づかれてときめいたりしないのかしら?」
「さぁ…。ミーシャは兄上のこと気になってるんですか?」
「綺麗だと思うし、もう少し仲良くなってみたいとは思うけど、私なんか相手にしてもらえるはずないもの。リネアは男の子みたいだし、もっと対象外だと思ってたんだけど…。」
「私も不思議なんです。あの兄上が…。」
「ユーラ、もう少し離れてくれない?」
「なんで?」
「なんでって…、近すぎない?」
さっきからユーラがやたらくっついてくる。
「友達でしょ?」
スクール図書館の学習室の隅で何度もユーラが僕にもたれかかったり顔に触れてくる。本が読みたいというから来たのに…。
「友達とはこういうことしないだろ」
僕はユーラを押し返した。
「だって君の幼なじみが私にわざと君との仲の良さを見せつけてきたから、面白くない。」
「…。何度も言うけど僕はヴィルとそういう関係じゃないし、ユーラともならないから。」
「ふうん?」
ユーラが僕の頬に触れる。
「リネア、キス…してみない?」
「なんで?」
何を言ってるんだ、いきなり…。
「変わるかもしれないよ?性的対象」
え?僕が男を好きになるってこと?いや、だけど…。
「…ユーラはフリッツが好きなんだよね?」
「…そうだね。多分私はどちらもいける。」
「ユーラ、女の人と付き合ったことある?」
「付き合ったことはないけど」
「けど…?」
「そういう関係になったことはある。」
「そういう関係って何?」
「だから…男女の関係…?」
「男女の関係って何?」
「何って…。」
「何?」
「リネア…私をからかっているわけ?それとも挑発してる?」
「いや、僕は真面目だよ。教えてよ。」
「…リネア…君は…。」
今後は僕がユーラに近づく。
「こらリネア、昼間っからこんな場所で何してるの!」
「ヴィッキー、…ゲオルグ侯爵も。」
「あら、誰かといるかと思ったら…、こんにちは、ミハイル。」
「やあ」
「あなたが女の子をおそっているかと思ったわ。」
二人が僕たちの前に座る。
「おそう?」
「そうよ」
「おそうって何?」
「え?」
「…ヴィクトリア、リネアは著しくそのあたりの知識が欠如しているみたいだよ。」
「あなた…14歳にもなって…?」
「だから何なんだよ、さっきから…。ヴィッキー、男女の関係って何か知ってる?ユーラが教えてくれない。」
「リネア…あなた…。」
ゲオルグ侯爵が下を向いて震えだした。
「とりあえず、もうすぐ授業が始まるからそろそろ教室にもどりなさい。…それから、あなたは今日私の部屋にいらっしゃい。」
「男女の関係を教えてくれるの?」
「教えないわよっ!!」
ゲオルグ侯爵が床に倒れた。
「みんなして何なんだ?」
「聞きたいのは私の方だよ、君は不思議すぎる。」
ユーラが呆れた顔で僕を見た。




