ユーラに会う
白いシンプルなシャツに、黒いパンツ、僕が好きなタイプの服装だ。今日はちゃんと男性に見える雰囲気をしている。髪の毛は今日は結ばれてなくて、長い髪が朝の光に反射してキラキラしている。
「おはよう、ちゃんと起きれたみたいだね。」
「僕は早起きだから」
「朝御飯は?」
「まだ」
「じゃあ、そこのカフェで食べる?」
「うん」
店員の人たちや他のお客さんがユーラを見ている。
僕もやっぱり見てしまう。
一人だけ、異質な存在。綺麗すぎて別の世界から来たみたいな。
「来てくれてうれしいよ。こないだろ、普通」
「ちゃんと誰にも言わないでひとりできたよ。…約束守ってくれるんだよね?」
「そうだね、まずは朝ご飯を食べたらね。私はサラダにする、君は?」
「サンドイッチにしようかな」
ユーラはサラダとコーヒーを頼んだ。僕は玉子とハムたっぷりのサンドイッチにした。ユーラは食べ方がとても上品だ。
「君はよく食べるね」
「うん、食べるの好きだし。」
「令嬢がそんなに大きく口を開けて食べるの見たことないよ。フォークとナイフがあるでしょ?」
「でもこの方がおいしいと思わない?」
「私は見た目に美しくないのは好きじゃない。ほら、玉子口についてる。」
ユーラが僕の玉子をとって食べた。…なんとなく恥ずかしい。
「犬みたいだね、君は。」
「よく言われる。」
「フリッツに?」
「え…」
「お気に入りなんだってね、フリッツの。」
「…どうだろ。フリッツはみんなに優しいから。」
「優しい?あいつが?」
「うん。」
「…そう。」
朝食を食べ終えた僕たちは、街に散歩に出かけた。
なるべく、何かが起らないよう一目につく場所を歩くようにした。
「ユーラ」
「何?」
「…ユーラは、どうしてここに来たの?」
「普通に勉強しにきたっていったらおかしい?」
「おかしくないよ」
思わず目を反らしてしまう。
「警戒しまくりだね、リネア」
ユーラが僕の手をとって握った。僕たちはそのまま歩き続ける。
「大丈夫、私からは何もしない。ただ、会って話してみたかっただけ。私の父が殺そうとした娘に。」
「ユーラ…」
「君だけでも死ななくてよかったね。」
「…。」
真意がよくつかめない。少し怖くなった。
「君が襲われた理由だけど…」
繋がれた手はとても冷たかった。僕たちはベンチに座った。
「フェルセンはね、自分の息子の命と引き換えに君たちを襲ったんだよ、計画を邪魔する君の父と国王に警告するよう私の父に命令されて。まさか、殺すなんて思ってなかっただろうけどね。」
ああ、カールの思った通りだった。
鼓動が早くなる。この人の父親が…僕を殺した。
「これは私からの忠告だよ、うちの父に関わってはいけない、死にたくなかったら。」
ユーラがまっすぐ僕の目を見て言った。なんて、哀しい目をしているんだ。
「僕は…」
「リネアから離れろ、ミハイル」
フリッツがミハイルの手を振り払った。
「フリッツ…久しぶりだね。」
「フリッツ…なんでここに?」
「それはこっちのセリフだ。あれほど昨日忠告したのに。」
ミハイルはフリッツの首に腕をまわすとそのまま頬にキスをした。
「会いたかった」
「俺は会いたくなかった」
「…相変わらず冷たいね。」
「お前も相変わらず気持ち悪いな。」
「え…まさか二人はそういう関係だったの?」
「リネア、そんな訳…」
「私はそれを望んでる、ずっと前から。いい男でしょ?フリッツは…。ぽっと出の君になんか渡さないよ。」
ユーラが僕を睨んだ。
「…渡すも渡さないも僕のじゃないし。」
「そっか、君はあの美少年の彼女なのか?」
「…?誰のこと?僕は男に興味なんてないよ。」
ユーラが目を丸くする
フリッツが頭をおさえて項垂れた。
「…面白い。道理で私のことをそういう視線で見ていたわけだ。」
「リネア…」
フリッツが僕を睨む。
「だって、ユーラすごく綺麗なんだもん、仕方ないじゃないか」
僕は赤くなった。
「そういえば…ヴィルも僕を探してる?」
「…当たり前だ、別の街区でお前を探している。お前は本当に困ったやつだ。」
「ね、ヴィルも見つかったらみんなで博物館いかない?みたい展示があって。」
「リネア、お前なー。どっちが探されてると思ってんだ。」
「ユーラもどう?」
「…何見たいわけ?」
「建築博物館、有名な建築家の特設展やってるみたい。」
「ミハスの」
「うん」
「じゃあ、行く。」
「お前は来るなっ!リネア、おかしいだろ?!」
「だって、ユーラ芸術に明るいし、解説が楽しいから…。」
「はー…。もう、知らん。」
僕を必死で探していたヴィルは僕たちメンバーを見て今にも気絶しそうだった。
ユーラはヴィルが可愛いと言ってハグをした。
「フリッツ…どういうことです?」
「俺にも全く理解できん。リネアは…めちゃくちゃだ。見ろ、あのミハイルが全然作り笑いしていない。やばいぞ。」
「あの人フリッツが好きなんでしょう?」
「知らん。…ヴィル、…気を緩めるなよ、あいつは本当に危険な奴だからな。」
「はい…。」




