皇太子たちのお説教
「ひとりで黙って出かけちゃ行けないって親に言われなかった?」
「言われました。」
「知らない人についていかないって先生に教えてもらわなかった?」
「教えてもらいました。」
「君は…、だから駄目なんだ。」
「ごめんなさい。」
帰宅後、ヴィルの部屋でこのようなやりとりをかれこれ30分ほどやっている。
「もういいじゃん、普通に帰ってきたんだから。」
「危機感がなさすぎる。護衛もなく出かける馬鹿がどこにいる?」
「ここに…。ヴィルは過保護すぎるよ。」
「殺されかけたことがあるくせに、そんな呑気な事よく言えるね!次は絶対こんなことしないように。」
「はいはい、自分だって朝帰りしたくせに。」
「…何もないから」
「ふうん?きれいなお姉さんたちだっただろ?」
「ないから!」
ヴィルが不貞腐れてソファーに座った。僕も隣に座る。
「…ごめん、心配させて。」
「もうしないで。」
「うん…気を付けるよ。」
「それがあてにならないんだ。」
僕たちは、昨日出かけたことを話し合った。
「僕もサッカー行きたかったな。」
「今度行く?ユニフォーム2つ買っておいた。」
ヴィルがユニフォームを僕にくれた。
「うわっ!嬉しい!かっこいい!」
僕たちがユニフォームに着替えているとフリッツが部屋に入ってきた。
「リネア?!」
「あ、フリッツ…」
僕は下着姿だった。
フリッツは一旦部屋の外にでてしばらくしてから入ってきた。
「お前ら…、なんなんだ。」
「ユニフォームだよ、いいでしょ!」
「…そういうことじゃなくて。ヴィル、お前なんとも思わないのか?」
「別に、お風呂も入ったことあるし。今さら…。」
「リネアと?」
「リネアとはまだだっけ?」
「多分。サウナくらいかな?」
「お前ら…おかしい。」
フリッツが顔を真っ赤にしていた。
「で?お忙しい殿下がどのような要件で?」
「ヴィル、そなた…。まぁ、いい。」
「何かあった?」
フリッツは急に真剣な表情になった。
「リスラ共和国のきょうだいがこの国に入ったと報告があった。スクールは始まっていないが気を付けるように。」
「気を付けろって言われてもどんな人か知らないのに。」
「兄のミハイル・ユーリ・ロマノが年齢は16。妹のアリーナ・マイヤ・ロマノは年齢14だ。」
「それじゃまったくわからないし…。見た目とか知らないの?」
「兄は、見た目完全に女か男か分からない奴だ。ブロンドの長髪、長身、緑の目をしていて、服装も中性的だ。」
え…。それって…。
「僕…、会ったよにその人。多分。めちゃくちゃ綺麗な人じゃない?」
「一見な。…ってどこで?!」
「今朝、街で。」
「街って…どこの?」
「第三街区にあるカフェで。隣の席にめちゃくちゃ綺麗な女性がいて。」
「それで?」
フリッツの顔がこわい。あ、ヴィルもすごい笑顔だ。
「それで一緒に美術館に言ってきた。」
「なんで!!?」
ヴィルとフリッツが二人同時に叫んだ。
「いや、一緒にいかない?って言われたから。僕も行きたかったし。すごく博学だったよ。しかもデューイの作品を集めてるらしく普通の金持ちじゃなかった。」
「…ミハイルだ」
「ユーラって言ってたよ。」
「セカンドネームはユーリ、ユーラは愛称だ。」
「フリッツ、リネアはね、朝から一人で出かけたんだ。護衛もつけず、側使いにも内緒で。この馬鹿の為に申し訳ないけど、警備を強化して貰えるとありがたい。脱走しないように。」
「承知した。馬鹿か、おまえは…。」
「もう説教はたくさんだよ、よかったじゃないか、僕も目撃者の一人になったんだから。だいたい、全然危険な感じなんかなかったよ。めちゃくちゃ綺麗で、優しくて、賢くてさ…。あの人スクールに来るの?」
僕がはしゃいでいるとヴィルが僕の頬をつねった。
「君は自分のおかれている立場や状況をまったく把握していない。オスカルは何故殺された?カールの父は何をしている?その男が事件の中心にいるかもしれないって考えないのか?君は今日殺されていても不思議じゃなかったんだよ?!」
「ヴィル…。そなたがリネアの側を離れられないのはこういう事があるからだと理解した。」
「フリッツも注意してください。この馬鹿はまったく懲りないんです。」
「分かった。エリザベスより馬鹿だな。」
「さっきからなんだよ!人のこと馬鹿馬鹿って!」
「リネア、俺とヴィルを怒らせたくなかったら少しは自重しろ。この国はお前の国より自由に見えるかもしれんがその分犯罪や闇の組織も多い。次は絶対に一人で行くな。ミハイルと二人になるな、分かったか。」
フリッツが物凄く怒ってる。
「はい…ごめんなさい。」
「はぁ…。ヴィルの苦労を知った。」
「理解してもらえたようで何よりです。」
「次こんなことしたら飯は抜きだからな!」
「それだけは…。」
僕は犬か!!




