僕と両親 1
買い物から帰宅すると、両親の部屋に呼ばれた。
スクールに通うようになってから、両親の部屋にいくのは初めてかもしれない。
「来ました。」
「入りなさい。」
父はまだ仕事から帰宅したばかりのようで、仕事着のままだ。母がコーヒーを入れてくれる。僕は今はコーヒーをほぼブラックで飲むけど、母が用意するとミルクがたっぷり入っている。
「座りなさい…。」
「はい。」
両親は側使えをすべて下がらせた。
「このように三人だけで集まるのは久しぶりだな、誕生日以来か?」
「そうですね」
オスカルが死んだ最初の誕生日以来…。
「今日は話があってここに呼んだ。」
「はい」
「…学校は楽しいか?成績は大変よいと聞いているが。」
「…はい。ただ、授業は簡単なので来学期から飛び級させてもらう予定です。」
「うん、大したものだ。」
「…あなた…。」
母が父の肩に手を添えた。
「…うん。フリードリヒ殿下はおまえの優秀さを大変評価してくださってな、これからは女性が活躍する時代になるから、女性の社会的地位が高いフレーデル王国に留学させたらどうか?とご提案くださったんだ。」
「留学…フレーデル王国に?」
「ああ。私たちは、あんな事件もあったから心配で正直行かせて良いのか不安だ。お前が近くにいないのも寂しい。」
「父上…」
「オスカル。」
母がはっきりと僕の名を呼んだ。
「事件の日から、本当の名前を呼んであげれなくてごめんなさいね。本当は前から気づいていたの。…でも信じられなくて、こんなこと…。受け入れるのにこんなにも時間がかかってしまった。」
母が震えている。
「私も、すまない。この屋敷にずっと私たちといたのはお前だ。私がお前に外国語を教え、あちこち旅につれていったんだ。分からないはずがないんだ。気づいた時、大事な跡取りを失わなかったという安堵の気持ちと、リネアを失ってしまった悲しみ、そしてお前の現状を思うと、…今日まで言えなかった…。」
父の目が赤い…。
「父上、母上…僕は…。」
二人が僕を抱き締めた。
信じられない、二人が気づいてくれていたなんて。
何て言ったらいいか分からない。
「フリードリヒ殿下は素晴らしい青年だ。まだ15歳だと言うのに、すでに国王になる素質を十分備えていらっしゃる。私は、お前が望むならあの方の側で学ぶことができるのはまたとない機会だと思う。」
「私もそう思うわ。どのみち、あなたの姿がリネアだとしても、普通にどこかに嫁いで大人しくできるようには思えないの。だったら、やりたいようにやらせてみようか、と思ってね。あなた次第だけど。」
僕も二人を抱き締めた。
「僕は父上のような外交官になりたいってずっと思ってた。この姿になっても目指せるってフリッツが教えてくれたんだ。だから、僕は留学したい。留学させてください。」
「うん、良いだろう、行ってこい。」
「体に気を付けるのよ、それからあまりご迷惑をお掛けしないようにね。」
三人とも泣いてる。
「それは…自信ない。」
「困った子ね…。」
それから両親と昔の話をいろいろした。4人で過ごした思い出、僕と父でした旅の話、スクールの話、とても楽しかった。
2人がこんなに笑った顔を見るのは久しぶりだった。
フリッツにお礼を言わなきゃ。
僕が…フレーデル王国に留学できる。
ドキドキしてきた…。




