旧市街に買い物へ
スモーランド王都の旧市街は過去に戦争の影響をあまり受けなかった為とてもよい状態で残されている。何百年を越える石造りの建物や石畳の街路でできた街並みは世界でも有数の美しさだと言われている。
まだ夕方3時だけど辺りは真っ暗だ。スモーランドの冬は長い。冬至の頃は一日ずっと暗く、人々は暗い冬を少しでも明るくするためたくさんの灯りやキャンドルを灯す。
「何か興味のあるもの見つかった?」
ショーウィンドーには土産物や生活品がセンスよく飾られていた。
「姉に何か買いたいと思うのだが、お前のお勧めはなんだ?」
「フリッツ、リネアに女性用の土産を聞くこと事態間違っています。まだユリアに聞いた方が…。」
「ヴィル、失礼だな!あ、…あのアウトドア専門店にいいテントがあるよ。全天候対応型の。」
「ふむ、見に行ってみるか。」
僕はフリッツにお気に入りの店を案内した。
「…お兄様、何故ついてきたのですか、誘われてもいないのに。絶対お邪魔でしたよ。」
「二人で仕事でもなく出掛けるなんて許せると思う?」
「…二人とも店に入ってしまいましたよ。あの店に欲しいものがあるかもしれないなんて、あの殿下のお姉様も変わっていらっしゃるのかしら。」
店には所狭しとアウトドアに関する商品が並んでいた。スモーランドのアウトドア製品はデザインと品質が良い。
「うん、デザインもいい。姉が好きそうだ。」
「ちょっと高いけどね、その分保証も長いから。」
「…よしこれにする、他にも何かあったら教えろ。」
「うん」
フリッツは自分にもジャケットやブーツを購入した。高価なものを次々買えてしまうのが羨ましい…。
「何か欲しいものはあるか?俺が買ってやるぞ。」
「いい。自分で働いたら買うって決めてるから。」
「そうか、…えらいな。」
フリッツが僕の頭をポンポンした。
「最近さ」
「ん?」
「なんか、やたら頭触ってこない?」
「嫌か?」
「そうじゃないけどさ、犬じゃないんだから…。」
「エリザベスの変わりだ。」
「…まぁ、いいけど。僕からは、これ。」
「馬か?」
僕はこの国で人気の馬の木彫りの人形をプレゼントした。
「うん、この国の土産の定番、お姉さんに。」
「ありがとう」
街を4人で散策した後レストランで食事をした。
寒いので護衛の人達にも同じように店に入ってもらった。
「…うん、旨いな。」
「フレーデル殿下のお姉さまはおいくつなんですか?」
ユリアの質問を僕が通訳した。
「17だ。」
「そうですか、きっとお綺麗なんでしょうね。」
「…まぁそうらしいな。きょうだい似てるとよく言われる。」
うん、フリッツに似ていたら綺麗だろうな。
ユリアはフリッツと話すとき少し緊張しながらも嬉しそうにしていた。これが普通の令嬢の反応なんだろう。
「…ところで、俺はあと一週間ほどで帰国することになった。」
「えっ?!最初3ヶ月の予定じゃなかった?まだ1ヶ月も経ってないじゃないか!」
「あぁ、大体俺の当初の予定通りだけどな。滞在先に迷惑を掛かぬよう長めに伝えるが、毎回半分程度でおわる。今回の滞在目的はほぼ果たせたからな、帰国して仕事を再開する。」
「…」
「どうした?」
「寂しくなるね、ヴィル。」
「はい…もう少しいるとばかり…。」
「俺も寂しいよ。今回そなたたちと会えて本当によかった。目的は果たせなかったが、来てよかった。」
「僕もフリッツに会えて良かったよ…。」
寂しくて涙が出てきた。
フリッツはまた泣き止むまでよしよしと頭をなでた。
「まぁ、そう寂しがるな。また、きっとすぐ会える、そなたら次第だがな。」
フリッツはそう言ってニヤっと笑った。




