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僕が妹に転生したら皇太子の婚約者にされました  作者: とらまる
スモーランド王国編
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カールの決意 1-2

「…食うか?旨いぞ、俺が作ったんだ」


殿下は俺の前にカニエルブッラを差し出した。

「このシナモンと、カルダモンがうまいんだ。」



すごく嬉しそうだ。…なんかいきなり拍子抜けした。


「いてっ!おいリリアナ、お前また足を踏んだな!」

…なんなんだ?


「あの…話していいですか?」

「あぁ、好きにしろ。」

帰りたくなってきた…


「殿下、フェルセン君に失礼ですよ。」

「手短に話せ。俺は忙しいんだ、この後リネアと買い物に行きたいし…いって!!リリアナ!!お前いい加減にしろっ。」

殿下がリリアナ様の頬をつねる。


「リリアナ様、次は私が殿下をひっぱたいて差し上げます。フェルセン君、すみません。続けてください。」

リネア…君はこの人のどこらへんに憧れたんだ?本当にこの人に相談する意味があるのか不安になってきた。しかし…。



「殿下、侯爵、今日は恥を偲んで、また、覚悟を決めてこの場に参りました。」


「…聞こう。」


「担当直入に申します。私の父は、リスラ共和国の者と違法取引を行っております。」

「違法取引…」


「大変申し訳ないのですが殿下や侯爵が買ってくださった品々は国際条約により本来扱ってはいけない希少な生き物ばかり、つまり違法な商品なんです…。」

「違法な商品…。」

「はい、アフラル大陸で密猟されたものです。」


「…そなた、リスラ共和国の誰が関わっているかは分かるか?」

「…はっきりとはわかりません、しかし、父がクラウス大公と話をしている際聞こえたのです。リスラ共和国のロマノ家と繋がりができた、と。」

「いつの話だ?」


「今から約2年前です。」

「2年前…」


「はい…。」



殿下の顔を見る。殿下も侯爵も特に驚いていないようだ。

「あの…驚かないのですか?」

「何に?」

「商品の事…」

「驚かん、知っていたからな」

「知っていた…。」

「あぁ。」



知っていた…、その上で取引を望んだ?



「そなた…、どうしてこの話をした?」

「…」

「我々にどうして欲しい?何故ここに来た?」


「私は…これ以上、父が、この国が、不正に関わって欲しくないんです。それに、これ以上、誰も犠牲を出したくない。」

「リネアの兄か?」

…そこまで…知っていたのか?

この方は、一体…。


「あの事件を起こしたのはそなたの父か?」

「父が関わったことは確かです。でも、計画したのは父ではないと思っています。」

「何故そう言いきれる?」



「父が…事件の会った日、泣いていたのを見ました。執務室で、泣きながら母に話していました。

仕方なかった、ああするよりなかった、…ああしなければ…カールが殺されていた、と。…次の日、オスカルが何者かに殺されたと知りました。」


「…」

「オスカルの父、カールソン公爵は、違法取引に反対していて何度かうちに直接説得に来られていました、だから…。」

目から涙がこぼれる。


「…よく、言ってくれた。」

「殿下」

殿下は俺の目を見て頭をポンポンと触った。


「そなたは、この取引をやめさせたいんだな?」

「はい」

「…では、我々に協力しろ。」

「協力?」

「そうだ。今そなたが我々に話した内容は、我々がほぼ知っていた内容と同じ。これだけではまだ我々は動けない。お前の父を問い詰めたところで、取引が無くなることはないだろう。こちらも国際問題とあれば簡単に公にはできない。」


「…」

「お前は、取引の情報に一番近い位置にいる。何か分かり次第ヴィルフリートに伝えろ。」

「ヴェルナドッテ殿下に?」

「そうだ、あの者もこの事件を解明すること、国の為に違法取引を終わらせる事を望んでいる。そなたらの最終処分を下すのは国王だ、ヴィルフリートに恩を売っておいて損はない、少なくともそなたの減刑を考慮してくれるはずだ。」

「…分かりました」


「そなたの父がしている事は、許される事ではない、すべてが明らかになったら重い刑が下されることも覚悟しろ。」

「…承知しました。」


「…そなたが今日ここに来た事は無駄にしない。ヴィルフリートが何もしてくれないような男なら、フレーデルに亡命してこい。俺が力を貸そう。」

「…ご配慮ありがとうございます…。」

涙が止まらない。


あぁ、リネアの言った通り、殿下はすごい人だった。

これからどうなるか分からない、

外交官の道も絶たれた、

だけど、俺は前へ進もう。

もう迷わない。


「カール、だったな。これからもよろしく頼む。そなたの父の前ではこれまで通り、知らぬ振りをするように。」

「はい」


「俺がここにいる間はこちらにも訪ねてくるがよい。ヴィルフリートとやっている菓子作りに参加してもよいぞ。」

「はぁ…」

殿下はまた俺の頭をポンポンと触った。


「さっ、今日はここまでだ。リネアを待たせているからな。」

「殿下…不躾ながら質問しても宜しいですか?」

「なんだ?」

「リネア、様のことを…?」


「もっと親しくなったら教えてやる、な?」

殿下はにやっと笑ってリリアナ様を見た。

リリアナ様は笑顔で殿下の頬をつねった。




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