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僕が妹に転生したら皇太子の婚約者にされました  作者: とらまる
スモーランド王国編
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リネアと俺

「申し訳ありません、リネア様は本日も体調が優れないとのことで…。」

リネアの側使えが昨日からずっと同じことを言う。


「昨日からずっとだろう、いい加減出てこいと言え。フレーデル王国の珍しい菓子を持ってきたと伝えろ。」


「…お入りください。」


リネアは男性用シャツにトラウザ-ズを着た服装で、ソファーに座って窓の外を眺めていた。元々短めの髪をさらに結っている。こうして見ると、かもしだす雰囲気が本当に少年のようだ。


「…おかしいと思った?」

「昨日のことか?…まぁな。」


「…そうだよね。」

リネアは外を眺めたままだった。

「あんなに綺麗な人初めてみたと思ったよ。理想そのものっていうか…、一目惚れって初めて体験した。…まさか、親友だったとか。恥ずかし過ぎて。」


「お前…男に興味ないのか?」

「ない…というか、興味がもてない。」

「そうか。驚いたが批判もしないぞ。人それぞれだからな。」


「私…、いや、僕さ」

「うん?」

「僕、実は男だったんだ。」


リネアは俺の目を見てはっきりとそう言った。


「信じてくれなくてもいい。だけどフリッツには隠したくない。僕は数日間一緒にいただけで君のことが好きになったし、信頼している。だから聞いて欲しい。」

「…聞こう。」




それからリネアは、自分が元々オスカルという双子の片割れだったこと、ヴィルの親友だったこと、あの事件の日におこった不思議な体験について話してくれた。


「みんなはリネアがいつもベッドの上にいてオスカルの話を聞いて育ったから、事件の後ショックで記憶が混同していると思っているし、僕も都合がいいからそのように振る舞っている。だけど、僕には僕の記憶しかないし、僕は見た目が女でも心は男なんだ。」


「…あまりに現実離れしてて、何て言っていいか分からんが…。」

「だよね」

「でもヴィルは理解してる、お前の侍女と、ヴィルの妹も、か?」

「うん」


「一番近くにいた奴らがそう思うならそれは本当ってことだ。特にあのきょうだいを欺くことはできないだろうからな。俺は信じるぞ。」

「ありがとう。」



「しかしなぁ…俺は昔のお前を知らないし、男として扱うのも難しいがな。」

「そのままでいい。」

「ヴィルのことはどうする?」

「…ヴィルは僕にとって特別すぎて分からない。無理に答えをだすこともやめた。」


なんか羨ましいな。そんな特別な関係とか。

しかし…ヴィルが複雑な想いを抱えていた訳だ。


「僕はもう将来なりたかった外交官になることも難しいし、今のままならどこかに嫁ぐくらいの将来しか待ってないんだよ…。ある日起きたら女になっていて、男と結婚する将来を迎えるなんてありえない。」


「…なんで外交官になれないんだ?」

「今のうちの国では…」

「国外に出ればいいじゃないか。もしくはヴィルフリートと国を変えればいい。あの男ならできるだろう?」


リネアが目を丸くしてこちらを見る。

「…できると思う?」

「なんでできないと思う?何もしていないくせに。」


「…そっかぁ。そうだよね。…やっぱりフリッツはすごいや。」

「それくらいの気概のない奴は、どのみち男でも外交官にはなれんぞ。そもそもお前はバカ正直だし駆け引きが苦手だから向いているかも分からんが。」

「うっ…厳しいっ。…」




リネアは落ち着きを取り戻したのか、ようやく土産を口にした。

「バームクーヘンだね、まわりの甘いところが美味しい」

食べながら嬉しそうに笑った。リネアの癖に妙に可愛い…。




え…?俺…?





「なんか今一瞬お前が可愛く見えたんだが…。」

「…やめてよ、フリッツまで。」

だよな、こんな小僧に…。もう一度確認の為に見てみたが大丈夫そうだ。

…だよな、さっき元男って分かったばっかりだもんな。


「何?じろじろ見て。ケーキ食べたいの?」

リネアがフォークで一口分のケーキを取り分けて俺の口元に運ぶ。

「ほら…」

「ち…近い」

「じゃないと食べれないだろ?ほら、食べろって。」


なんだ?!この見た目と話し方のギャップ?!

心臓がドキドキする。

こんな感じ今までなったことない!


「ほら、あーん」

すごく恥ずかしいっ…!


「…おいしかった?あ、口の横にクリームがついてるよ。」

リネアは俺の口元についたクリームを指で取ると、それをそのまま食べた。

なんていうか…




「おまえ…さぁ。」

「顔赤いよ?熱あるんじゃない?」

リネアが俺の額に自分の額を当てた。

「だから近いって!」



駄目だ…こいつは、天然の無自覚タラシだ。

ヴィル…苦労するぞ。


普段時間や効率重視の俺が、ただ一緒にいるだけで楽しくてもっと一緒にいたいと思える相手に出会えるなんて…。

しかも他の男から予約済みの元男で、女にしか興味ないのがその相手とか…。

女運なさすぎるだろ、俺。



「…昨日から寝てないんだ、またこのまま寝てもいい?」

リネアはそう言って俺の肩に寄りかかるとそのまま寝てしまった。

俺がベッドに寝かせると、リネアが無意識に俺の手を握った。小さくて可愛らしい手。



駄目だ…、堕ちる。



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