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僕が妹に転生したら皇太子の婚約者にされました  作者: とらまる
スモーランド王国編
34/350

フェルセン侯爵の屋敷にて 1-2

「…なぜだ?今から自慢しに行こうと思っていたのだが。」

「あの二人はこの事業のことをあまり良く思っていないのです。」


「…どういうことだ?」

「彼らは、物の価値が分からないといいますか、私が取引していることに反対しているのです。」

「…王室許可証があるのに?」

「…はい。」

「では、誰が許可をしているのだ?お主、まさか、許可証を偽装している訳ではあるまいな?」

「まさか、王室からの許可はとっています。国王ではないと言うだけで」


「…誰の許可だ。」

「…国王の従兄弟にあたる方でクラウス様と言う方です。私と一緒にこの取引を行っております。」

「なるほど。品質は確か、王室許可も本物だと言う事なら問題ない。分かった、カールソン公爵たちには言わないでおこう。俺もこれから取引できないのは困るからな。」


「ご理解ありがとうございます。…もうひとつよろしいでしょうか」

「なんだ?」

「そちらのリリアナ様はまだしばらくこちらにいらっしゃるのでしょうか?」

「なぜだ」

「うちの息子がさっきから見とれておりまして…、またお会いできないかと。親心です。」

「なっ…父上!私はそんなっ…」


「リリアナ、どうだ?」

「…」

「良いそうだ。俺も同席するなら、と言っている。では、次はスクールに用意された俺の部屋に招待しよう。」

「よかったな、カール。」

「フェルセン侯爵、そなたとも、帰国前にまた会おう。」

「お待ちしております。」


大きなコネクションをつくった父は満足そうな顔で三人を送り出した。この人は良心の呵責というものをいつの間にか失ってしまったらしい。欲にまみれ、保身だけの父。

昔はこんな人じゃなかった、いつからこんな人になってしまったんだろう、俺の憧れだった父は…。


何もできない俺だって同じだ。今のこの状況を失うことが怖くて、ずっと歯がゆいままでいる。

オスカルを奪った事件に加担し、尚もこのようなことを続けているとは…。

脳裏にあの美しい令嬢の顔が浮かぶ。心がざわつく。これが一目惚れというやつだろうか?あんな素敵な方に後ろめたい気持ちを抱かなければならないなんて…。




◇◇◇


僕はようやくスクールにある自分の部屋にたどり着いた。

早く着替えたい。


「う…、頭がベタつく、早く部屋で着替えたい。」

「ヴィル、せっかく可愛かったんだ。このままでいたらどうだ?」

「いやですよ。こんなとこ、リネアにみられたら…」


部屋に入るとオスカルがソファーでくつろいでいた。

こちらを見ている。

目が真ん丸だ。…顔まで赤くなってきた。


「フリッツ…、この方は、誰?」

「誰ってお前…。」

フリッツは僕の耳元でひそひそと話をした。


「俺のいとこのリリアナだ。先ほどこちらにきてな。」

「…はっ、初めまして、リネア・エステル・カールソンです!」

「…リリアナは極度の人見知りでな、初対面の者には話さないから許してくれ。」

「分かった!あ…、な、何か食べますか?作りますよ!」


オスカル…さっきから顔が真っ赤だ。

僕にそんな顔したことも、可愛らしい態度をとったことも一度も見たことがないのに。あのお気に入りの侍女といる時だってこれほどの反応はない。


「お前…何緊張してるんだ?」

「緊張っ?!だって…!!」

「顔が真っ赤だぞ。」

「だって、こんな綺麗な人に会ったの初めてで、私、どうしたらいか…。」

「おいリネア、俺の後ろに隠れるな。何なんだお前?」

オスカルはキッチンへ行って何か作り始めてしまった。


「おぃ…なんだあれは?」

「…」

「あれは、令嬢が俺に初めてあった時にみせる反応とそっくりだ。あいつ、どうなってんだ?話し方や態度が小僧みたいだとは思っていたが、まさか性癖までそっちなのか?!…道理で俺に何も反応しなかった訳だ。」

オスカル…僕もなんて言ったらいいか分からない。


オスカルは自分が一番得意なカニエルブッラを作ってだしてくれた。

「うん、うまいな。」


「あの…リリアナ様はどうですか?」

オスカルがリリアナを上目遣いで見つめる。フリッツのことはまったく視界に入っていないらしい。僕はフリッツに耳打ちした。

「…美味しいと言っている。」


ヴィルヘルム侯爵は耐えきれなくて部屋をでた。

オスカルは今度はお茶をいれるといって、またキッチンへ行ってしまった。


「ヴィルヘルムは笑い上戸でな。落ちついたら戻ってくるだろう。うん、ここまでくると種明かしをするのが楽しみなような、残念なような気がするな。」

「…」


嫌だ、オスカルが僕じゃない僕にこんな顔をしているなんて。

僕はちゃんと君を見ているのに。


いつか君は僕以外の人にこんな可愛いところをみせるんだろうか。…想像するだけで嫉妬で狂いそうだ。

それだけはいやだ。



僕はリリアナの姿のまま、オスカルを後ろから抱き締めた。

「君が望むなら、こういう格好でプレイしようか?」


オスカルは持っていたカップを床に落とした。

「…ヴィル…」


振り返ったオスカルは目に涙を浮かべて僕を睨んでいた。

「…ひどいよ」


傷ついた顔…

「ごめん…」



オスカルはそのまま帰ってしまった。

僕は割れたカップを片付けるしかなかった。



「…なんつーか、悪かった。俺がふざけなかったら…。」

フリッツもカップの破片を拾ってくれる。

「…フリッツのせいじゃないんです。僕たちは、普通じゃないから…。」


フリッツは何度もあやまってくれた。

フリッツは悪くない。


最初に傷ついたのは僕なのに。

君があんな顔をするなんて。

僕は…彼を傷つけてしまった…。




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