二人の皇太子 1-2
フレーデル殿下は彼の持つ情報を開示してくれた。
僕らが調べていたこと、推測していたことは半分あたっていて半分間違っていた。
まさか父上たちがそこまで分かっていてこれまでうまく隠していたとは…。やるじゃないか。
しかし…たった数日でここまで調べられるとは、やはりこの男、只者じゃない。敵に回したくないタイプだ。色んな意味で…。
「ヴィルフリート」
「はい」
「お前、もてるだろ?」
「…どうでしょう。」
「隠さなくていい。この見た目、落ち着いた雰囲気、もてないはずがない。」
「僕はあまり関心がないので。」
「いいか?見た目が良いってのは重要だ。俺たちは国の顔、お前の印象一つで国の印象が決まることもある、もう少し意識しろ。」
「分かりました。」
この人…、面白いな。ずけずけ物を言うくせに、嫌みがない。
人の心に入り込むのに長けている。
「俺はな、自分が信頼したいと思える仲間同士でネットワークをつくりたいと考えている。近隣諸国の王族を中心にな。」
「ネットワーク…」
「そうだ、自分たちの世代で自分たちの未来を切り開いていくためには国内だけではどうしようもないこともあるだろう?先程伝えた違法取引の件にしろ、人身売買の件にしろ、他国と連携しなければ解決しようもない。」
なんてスケールの大きい人なんだ…。これで僕よりたった2つ年上とは。
この人はもうすでに国王になるべく動いている。外国まできて、自分の足で動いて、自分の目でものをみて、いつも先を見据えている。
「…僕は恥ずかしいです。」
「ん?」
「僕は…あなたがこうして国の為にいろいろしている間に、やきもちを妬いているだけでした。」
「リネアのことか?」
「…。」
「俺は逆にうらやましいけどな」
「え?」
「俺は女をそういう目でみたことがないからな。…俺はこの通りの見た目だし、身分も高いから言い寄って来る女はたくさんいる。だけどすぐ裏を見抜いてしまうし、女のゴタゴタに巻き込まれるとか考えるだけでうんざりする。言ってる意味お前なら分かるな。」
「はい」
「結婚は国王としての責務だからそういう年になればするだろう。子もつくらなくてはいけないし。…だからな、それまでは自由にするって決めたんだ。親ももう諦めてくれた。」
殿下が笑った。
「お前はもう、一緒にいたいと思う女ができたんだ。いいことじゃないか…。ただなぁ…相手があれだ。」
「また何かしましたか?」
「一緒に寝た。」
僕は思わず殿下の胸ぐらをつかんだ。
「落ち着け、何もしてない」
「どういうことですか?」
「俺が泣かせて…わぁっ、殴るなよ?!」
殿下が僕の振り上げた拳をつかんだ。
「…殿下?」
笑ってる…?
「ははっ!悪い!少しからかってみただけだ。いや、俺は本当に何もしてない、安心しろ。…期待通りの反応だ!」
「僕をからかったんですか?」
「そなた、普段冷静沈着なくせに、あの娘のこととなると見境なくなるのは弱点になるぞ。気を付けろ。先程やきもちを妬いて恥ずかしいといったばかりだろう。」
「…努力します。」
うぅっ。恥ずかしい。僕がこんなに振り回されるなんて…。
「俺からみたらお前たちはまだまだこどもだ。俺がそういう気をおこすことはないから安心しろ。…ただ。」
「ただ?」
「あれはな…。お前苦労するぞ。結婚までつかまえておけるかどうか。」
「…首に縄でもつけて繋いでおきたいくらいです。」
「そうだな、あれは俺の愛犬にそっくりなんだ!あぁ、無理だぞ、すぐ縄を食い違って脱走するんだ!」
「ぶっ…!!」
僕たちはお腹を抱えて笑った。オスカルが以外でこんなに僕が楽しいと感じた人、初めてだ。この人の話がもっと聞きたい。どんなことを考えているか知りたい。
「…フリッツ、コーヒーのおかわりはいかがですか?」
「貰おう、パイももう一切れ頼めるか?」
「もちろんです。」
それから、僕とフリッツは色々な皇太子あるある話でもりあがった。
そして、将来のネットワークづくりについて話を進めた。




