リネアと僕 1-2
リネアが僕を追いかける。どこまでも、どこまでも。
「オスカル、待って!走るのが早すぎるわ。」
「リネアこそ、こんなに早く走れるなんて知らなかったよ。」
「これからはいっぱい出かけるの。外国にだって行くんだから。」
「どういうこと?病気が治るの?」
「そうね、私…正確には私じゃないけど。だけどいつも一緒よ。これだけは忘れないで。私はずっとあなたと共にいる。幸せになってね、私の中のオスカル。
私ね、あなたが世界一大好きだった。
だけど世界一、ずるいと思っていた。
どうしてか分かる?同じ双子の片割れとして生まれてきたのに私はほとんどベッドの上、あなたは健康でなんでもできた。妬ましかった。私はいつもあなたになりたいと思っていた。
だからね、次は私の番よ。
私があなたになって、あなたが私になるの。わたしのやりたかったこと、全部叶えてね。約束よ。
愛しているわ、私のオスカル。」
…遠くで誰かが呼ぶ声がする。
父上の声だろうか。母上の声も聞こえる。
ここはどこだろう?あぁ、屋敷に帰ってきたんだ。
あれ、でも僕は確か暴漢に襲われて…。
それでリネアは…
「リネア?リネア?」
はっきり母の声が聞こえた。
そうか。リネアもいるか?僕たち助かったのか。…よかった。
なにか夢をみていた気がする。嬉しいのに、悲しくて切ない夢を。
「母上、僕…」
「リネア!!よかった!!気がついたのね!」
「リネア!!リネア!!よくぞ無事だった!」
「リネア?僕はオスカルだよ。やだなぁ。」
「あなた…リネアが…。」
母上の顔がひきつる。
「リネア、辛いかもしれないが聞いてくれ。
オスカルは…、君の兄のオスカルは昨日亡くなったんだ。
暴漢に襲われて。だから…もう会えないんだよ。」
「うぅっ…」
泣き崩れる両親の前で僕は言葉を失った。
夢のなかで言ったリネアの言葉。
あれは、夢じゃなかったのか。




