フリッツ滞在 3日目の夜
今日のうちの夕食のメニューはポテトグラタンとハム、サラダだった。ポテトグラタンはたっぷりのクリームとニンニクを入れるのがポイントだ。
フリッツは、付け合わせのクネッケブレッドという硬いパンが気に入ったらしい。スモーランドの特産品だ。
僕は今日のヴィルの態度が気になってあまり食事が進まなかった。最近のあいつ、なんなんだ?オスカルが死ぬ前はあんな…あんな変なスキンシップなかったのに。
食事の後、フリッツの部屋に呼ばれた。僕も渡したいものがあったから二人きりにしてもらった。
「あれだな」
「何?」
「毎回二人きりで会うとか、あまり長く続くと他の者に誤解されかれないな。」
「…楽しそうだね。」
「まあな。噂ってのは、全く無責任に好き勝手に広まるからな。俺がこの小僧と噂になるとか…面白すぎるだろ。」
ついに、男女から小僧扱いか。まぁ間違ってはいない。
僕は来客用のソファーに腰をおろした。
「フリッツ…変なこと聞いていい?」
「何だ」
「フリッツは…好きな人いたりする?」
「なんだ?お前、俺に気があるのか?」
「そんな訳ないだろ!」
「お前、話し方…。」
「わ、私は…そういう感情をもったことがなくて。他の人の事、素敵だなとか一緒にいれたら嬉しいな、とか思うことはあっても、それが恋愛かどうかわかも分からないし…。」
「素敵って、ヴィルフリートのことか?」
「まさか!」
「ふうん?…それで?」
僕は何故だか、このもやもやした気持ちをフリッツに話しはじめた。
「だから、フリッツは、そういう恋愛とか詳しそうだから、聞いてみたくて…年も上だし。」
「…ない。」
「俺は今だかつて、女に興味をもったことがない。」
「えっ?!まさか君も…?!」
「俺もなんだ?」
「あ…いや、なんでもないっ。」
あやうく、フリッツも男に興味あるのか、と聞くとこだった。
「勘違いするな。俺も15歳だし、皇太子だし、加えてこのルックスだ。女が近づいて来ないわけじゃないし、遊んだりすることもある。」
「…遊ぶって、ゲームしたり?」
「お前の知識は5歳時並だな。」
「…」
また言われた。
「男と女が遊ぶって、何するか知らないのか?」
「知らない。」
「お前…。」
フリッツが僕の腕を引き寄せた瞬間、ソファーに押し倒される体勢になった。今日は一体なんなんだ?!
「フ…フリッツ?」
「こういうやつだよ。」
「冗談きついよ…。こんな遊び全然楽しくない。」
「楽しいかどうかより、気持ちいいかどうかの方が俺には重要だけどな。」
「思いっきり気持ち悪いよ。君までこういうことするなんて。」
「俺に向かってそんな失礼なこと言うやつおまえくらいだぞ。うん?…あぁ、そうか。なるほどな。」
フリッツは僕を起こすと頭をポンポンとなでた。
「お前が俺に何を聞きたいのか、どんな答えを期待していたか知らんが、人それぞれ人格も生き方も違う。いちいち他人の意見や世間一般の感覚と比べていたらきりがないぞ。お前はお前のしたいようにすれば良い。そもそもお前は規格外だ。」
「規格外…。」
言われ放題だ。…だけど、確かに自分の気持ちは自分で見つけるしかないんだよな。ヴィルが僕とどうなりたいのかなんて、ヴィルだって分かってないかもしれない。僕も…うん、無理に考えるのはやめよう。
「リネア」
フリッツが真面目な顔で僕を見た。
「うん?」
「お前は内面5歳時だが、見た目は歳相応だ。見栄えも悪くないし、身分も高い。だから、変な輩に気を付けろよ。…この話しはこれでいいか?お前とこんな話していても時間の無駄だからな。」
「うん、ありがと、フリッツ。」
「まったく…ヴィルフリートも大変だ。」
「え?」
「なんでもない、本題にはいるぞ。」




