ややこしい関係
フリッツにはまだ他の人に話すなと言われた。
ヴィルに話したいことがいっぱいあるのに言えない。
「…」
「何か隠してる顔だね。」
「いや、隠してないって。それで、き、聞きたいことって?」
「…君の正体、ばれた?」
「え?」
「君がオスカルだとばれてないかって聞いてるんだよ。あの人、ダンスの時わざと女のパート踊ったよね?」
「気づいてたの?!」
「ある程度踊れる人なら気づくと思う。わざと他の人に分かりにくくする為に、色んなアレンジや他のジャンルを混ぜてくるから大抵の人は気づかなかっただろうけど。」
「ヴィルはすごいなー!フリッツはもっとすごいけどさ。」
「…何が?」
ん?何かちょっとイラついた?
「だってとっさに女のパートに切り替えるとか、アレンジ効かせるとか、すごくない?あ、そういえば昨日の夜…」
「昨日の夜?…何?」
…あれ?話し続けるべき?
「あ、昨日夜寝ようとしたらフリッツが部屋に来てさ、僕オスカルの寝間着を着たまま部屋に入れたんだけどドン引きされて。僕のこと、オスカルが死んでおかしくなった残念な女だって思ってるみたい。しかも誰も嫁にもらってくれなかったら仕方なく引き取ってもいい、とかさぁ。失礼だと思わないか?だから、僕の正体はバレてないから心配するなよって…あれ?ヴィル?」
ヴィルに肩をつかまれた瞬間ソファーに押し倒された。
「ヴィル?何…?」
近い…近すぎる…。なんだこの体勢、こんなとこ誰かに見られたら男同士愛しあってると思われるじゃないか…。
あ、端からみたらそうは見えないのか。
「…僕も何て言っていいか、君が残念すぎて言葉がでない。君は男だから、女だから、どうこうっていう性別を語る以前に、常識とか品性とかいうものが完全に欠落してるってことだけは分かったよ。もうすぐ14歳になるんだよ?!いつまでも5歳時レベルでいたら駄目だってそんなことも分からないのか?」
「…男物の寝間着は駄目だったって言いたいのか?」
「…頭痛がしてきた」
「リネア…」
リネア呼び?
「君はオスカルに似て見た目も悪くないし、口を開かなかったら性的な目でみてくる男がいても不思議じゃない。」
「…今なんかいろいろ気になる発言が…、えっと、性的って?」
「君とつきあたいとか、関係を持ちたいとか…やっぱり分かんないよね?」
ヴィルが大きなため息ついた。
「…よく分からないけどヴィルが僕を性的に見てるってこと?」
「…意味分かってていってる?」
「よく分からないけど言ってみた。」
体勢はいまだ押し倒されたままだ。
「僕はリネアには興味ない。」
今さらっとリネアにはって言いました?
「お…男同士でいやだぞ、そういうのは。」
「でも君は女じゃないか。」
「ややこしいな。」
「ややこしいのは君だろう?僕はいたってシンプルだ。」
「顔、近いって、もう離れてくれない?」
ヴィルの手が僕の頬に触れた。
「…僕は、オスカルにしか興味がない。だからね、リネアを利用することに決めたんだ。」
「どういうこと?」
「そうそう事」
ヴィルはそう言って僕の頬に口付けをした。
ヴィル…?
「君を性的に見てるかって?僕の君への思いをそんなつまらない言葉で表現しないでほしい。僕はね、君を誰にも渡したくないだけなんだ。二度と部屋に他の男を入れたりなんかしないって約束してよ。」
ヴィルの言っている意味が全く理解できなかった。
確か気になる人ができたとか言ってなかったっけ?
「…僕、これから君にどう接したらいいか分からなくなってきたよ。」
「そのままでいいから。それで?…約束は?」
ヴィルは子猫のようにうるうるした瞳で見つめてきた。
「わ、わかった。親友だからな。」
「そう、親友だからね」




