パーティー会場にて 1-1
冷たい料理が用意されたテーブルには、サーモン、ハム、チーズを中心に摘まみやすいオードブルが並んでいる。
暖かい料理のテーブルには、ミートボールやソーセージの他、いろいろな肉とソース、コケモモのジャムが添えてあった。
スモーランドの典型的なビュッフェメニューだ。
フレーデル王国も基本似た食文化だけど、スモーランドはさらに北の厳しい気候条件に位置する為、正直食文化がそれほど豊かだとは言い難い。
諸外国の食べ物が輸入されるようになっていろいろなレパートリーが増えたのはここ最近の話だ。
「ふむ、やはりソーセージはうちの国の方がうまいな。リネアはうちの国のを食べたことあるか?」
「フレーデル王国のソーセージ?話には聞いているけど食べたことないんです。」
「地域によって材料も製法、調理法まで違うから面白いぞ。今度こっちに来たら食わしてやる」
「行く行くー!!ビールもそれぞれ違うんだよね?!」
「まだお前は子どもだから無理だ…、俺もだけどな。」
「はー、早く大きくなりたいなぁ。」
「あ、ヴィルだ。ユリアも、国王夫妻も…」
「ここからは切り替えろリネア、公式の場だ。」
「はいっ」
「食いすぎるなよ、…口にソースがついている。」
フリッツが僕をみてため息をついた。
「ようこそ、我が国にお越しくださいました、マグヌス・アドルフ・ヴェルナドッテです。お目にかかるのは二回目ですね。こちらは妻のマルガレータ・アンナ・ヴェルナドッテです。」
「初めてまして、殿下。」
「初めまして、国王陛下、皇后様。フリードリヒ・アウグスト・フォン・フレーデルです。この度は、私の急な申し出を快く受け入れてくださり大変感謝しております。お世話おかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。」
この俺様殿下、ちゃんとした挨拶もできるらしい。
「リネアが今回通訳をするとか?」
「はい、陛下。がんばります!」
「うむ、大事なお客様だ。粗相のないように」
…すでにヨダレたらしちゃったけどね。
「リネアと陛下は面識があるようですね。」
「リネアのことはあまり知らないのだが、彼女の父は私の重臣でね。双子の息子のオスカルは小さい頃からうちのヴィルフリートと仲がよくて、よくうちに来ていたんだ。」
「…そのオスカルとやらは?」
「…不幸な事故で亡くしてしまってね…あぁ、失礼。今日は湿っぽい話は止めよう。せっかくの歓迎会が台無しだ。」
フリッツ、何を聞き出そうとしている?
やっぱり…、何かある。
フリッツはいろいろな人に話しかけられた。僕は通訳をこなすのに必死だった。特にフリッツにアプローチをかける令嬢たちの話があまりに長いからうんざりしてきた。
「…おぃ、訳すなよ。リネアお前、面倒臭いって気持ちが思いっきり表情にでてる。」
「だって…ケーキ食べてきていい、ですか?ここのアップルパイは絶品なんです。」
「俺もいこう、もう飽き飽きしてきた。」
「あ…、フリードリヒ殿下。…」
「…なんだ」
「今、テラスからでてきた方が、フェルセン侯爵です。」
心臓がドキドキしてきた。
少し離れた所にいるヴィルが僕に小さく頷いた。




