いざパーティーへ
「何か言えよ。…仕方ないじゃないか、僕だって知らなかったんだから。」
フリッツもユリアもパーティーの支度があると帰宅した。
僕は反省会に強制参加だ。
「…怒ってるんじゃない。あの男、いきなり確信をついてきた。」
「カールの父親のこと?」
「…やはり何か目的があってここへ来たってことだよ。君の家に滞在することにしたのも、多分偶然じゃない。」
「…だけど、カールの父親に会ったことがないって敢えて僕たちに言ったってこと?」
「それは分からない。だから気をつけてよ…って、無理な話だよね。で、…ガゲナーって何?」
「食洗機だよ。」
「は?」
「キッチンにつける食洗機。フレーデル王国は工業製品が有名だろ?通訳したら欲しいもんくれるっていうからさ。これで二人とも皿洗いから解放だ。」
「…僕たちは、身分的に食器を洗って貰うことも可能なんだって知ってた?」
「…あのキッチンに似合うと思ってさ。」
ヴィルが大きくため息をついた。
「…それはそうと、君、踊れるの?今夜のパーティー。」
「へ?」
「だから、歓迎パーティーだよ、来るんだろ?通訳者として」
「行くけど、踊らないよ、女のパートなんて踊れないし。」
「断れるのか?」
「…どうだろ?」
「あとパーティーまで4時間か。準備を考えると2時間が限度ってとこだな。」
「無理だって」
「リネアとは少しだけ練習に付き合ったことがある。体調が良い時はたまに習っていたそうだ。体が覚えているかどうか今から確認する。早くして、時間がない。特待生が踊れないとか、恥ずかしすぎるからね。」
ヴィルの個人特訓がはじまってかれこれ一時間、すでにバテてきた。
「なんで僕がお前とダンスなんか!恥ずかしくて死にそうだ。」
「そんな余裕ないはずだろ。ほら、ターン!」
「厳しいっ!!」
「授業で何してたんだよ、ほら、また間違った、真面目にやれ」
「授業は毎回見学してたんだよ。ほら、…女子の日?」
「…君は…」
ヴィルの顔が少し赤くなったような気がした。
その後も制限時間ギリギリまでスパルタ鬼コーチにしごかれた。僕は、帰宅後そのまま寝てしまいそうだった。
パーティーの支度を終え、僕とフリッツは同じ馬車に乗り込んだ。城まで僕の家からは馬車で15分もかからない距離にある。
「ふうん、まぁ見れなくもないな。一応娘に見えるぞ。」
僕の服装を繁々みながらフリッツは言った。
「重ね重ね失礼な奴だ。…そう言うフリッツは…。」
黒髪に黒い軍服が似合いすぎる。ヤバい…、カッコいい。
「着てみたかったなぁ、そういうの。」
僕も繁々服のデザインをみた。フレーデル王国らしい質実剛健な印象を感じる。
「これを?おまえが?…やっぱり変な奴だな、お前。」
「だって格好いいんだもん。私はこういうヒラヒラは全然趣味じゃない。」
「服だけ誉められたのは初めてだ。」
うぅ…眠気が襲ってきた。
馬車の揺れが眠気を誘う。
「…おい、ついたぞ。」
気づいたらフリッツの顔が目の前にあった。
「あれ?」
「お前、いきなりもたれかかってきて何かと思えばイビキかいて寝てたぞ。」
「うわっ!!本当?!ごめんなさいっ!!…ヨダレとかつけなかった?」
「…つきそうにはなったけどな。おまえ、このままだと絶対嫁の貰い手ないぞ。」
「…だろうね。」




