皇太子の部屋にて 2-2
「あの…、私、お兄様にこの書類をお渡しするようお父様から頼まれて…。」
床にユリアが頼まれた書類が散らばっている。
「お邪魔でしたか?」
「あっ邪魔じゃないっ…です!」
僕は急いでヴィルから離れた。
ユリアは2つ年下で僕にとっては妹のような存在だった。ヴィルと同じプラチナブロンドの髪、目の色は紫に近い青。利発で可愛らしく城でもみんなに可愛がられている。
リネアとユリアは僕を通じて何度も顔を合わせ、名前で呼ぶことを許しあう間柄だ。リネアじゃないと気づかれないよう注意しなきゃいけないけど…うまくやれるかな。
「…部屋はノックしてから入るようにと何度も伝えたはずだよ。」
「すみません、リネアが来ていると聞いてつい嬉しくて…。」
まずい…、絶対に誤解されたよな。
僕が今オスカルの姿じゃなくてよかったようなよくなかったような。
「ユリア。誤解しないでくださいね。抱き合っていたとかじゃなくて…。えっと…その…私が殿下の上につまづいて転んだだけなんです。」
「…そ、そうでしたの。お二人とも何だかよい雰囲気だから私てっきりそういうご関係になったのかと…。」
「まさかっ!先ほど殿下には好きな方ができたと聞いたばかりなんです。…っ!あっ…ごめんヴィル!言っちゃ駄目だった?!」
僕はヴィルに謝った。
「…君は本当に、いろいろ残念な子だよね。」
「え?」
「話し方…。」
ヴィルが顔に手をあてて俯いた。
「あっ…。」
やっちゃった…。
「…いつの間にお二人はこのように親しくなられたのですか?お兄様にこのような話し方をされるリネアを私初めてみました。」
「こ、ここ最近です。私を心配して何度か来てくれたんですよ。」
「…そうでしたか、知りませんでしたわ。私も行けばよかった。ずっと臥せっていると聞いていたので…あら、ケーキ?」
ユリアはカウンターの上にあるチーズケーキに目をむけた。
「そうっ!食べますか?チーズケーキ。殿下が作ってくれたんです!美味しいですよ。」
「お兄様が?」
ヴィルは俯いたまま、僕を睨んでいる。
なんかまずいこと言った?
「…リネア、僕は書類の整理を済ませてから帰るから、申し訳ないけど先に帰ってくれる?」
「あっ、うん…、それじゃあ。ユリア、会えてうれしかった。」
「ごきげんようリネア、また会いたいわ。」
僕は逃げるように部屋を後にした。
やっぱり僕にはリネアの振りなんか無理だ…。
次会った時はどうしたらいいんだろう…。




