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僕が妹に転生したら皇太子の婚約者にされました  作者: とらまる
エンゲル王国編
142/350

プロジェクト始動 1-2

「旨いな…!これ、リネアが作ったのか?」

「うん、気に入って貰えたら嬉しいよ。」

「ああ、気に入った。すごいなお前、こんなこともできるのか。」

「大袈裟だね、イーチェンは。」





「さて、本題に入るか。父親から話を聞いた時は驚いた。まさかそなたらがビジネスを始めようとしていて、俺がそれに関わるなんて…。」

「リネアからの頼みでして。」


「どうしてもあのバォズのお店をやってみたかったんだ。安くてみんなが食べられる価格で。」

「確かにあれは旨い。ただ、価格を抑えて、となると味は少し落ちるぞ。」

「許容範囲なら。バォズかライスにチキンか魚、野菜を添えてワンプレートにして1000リオン以下でできないかな?」

「材料をシアナから入れれば可能だな。当面うちの系列の食材屋から仕入れよう。」

「嬉しい!」


「お前、どの辺りの立地を考えている?」

「まずは人気のエリアで知ってもらいたいと思う。高級街よりファミリーが集まるエリアで。」

「じゃああのリネアの連れていってくれたハンバーガーのある店の辺りはどうだ?」

「いいと思う!」

「あの辺りなら家賃もそこまで高くないだろうし、客層も悪くない。ただ、空きがあるかが問題だな。無理やり空けてもらうか…。」

「いやいやっ。…ちょっと探してみようよ!店は小さくてもいい。テイクアウトをメインにする事も可能だから。」


「今から見に行ってみるか?」

「うん!あ、セルも…。」

「リネア、二人で行くぞ。」

「え…。」

「…いいよ。リネア、気にしないで二人で行ってきて。」

「セル…。じゃあとりあえず行ってくるね。ごめんね。」

僕は後ろ髪を引かれる思いでアパートを出た。




「兄上…。何なんですか、あの男は…。私がリネアのパートナーなのに…。」

「まぁ、候補が決まったら見に行けばいい。君はそれなりに忙しいし。」

「そうですけど…。何か嫌だ。あのイーチェンて好きになれない。」

「…私も同感だよ。ただ、将来的にも避けられない人物だ。嫌でも機嫌を損ねぬよう巧く付き合っていくしかない。」

「嫌だな…。」

「利用できるものは利用すればいい。」

「まぁそうですけど…。」




僕たちはイーチェンの所有する馬車で目的地まで連れていってもらった。

「…セル、二人だけで来ちゃって怒ってるかも…。」

「なんでだ?」

「だって、このプロジェクトは私とセルが一緒に始めたんだよ。どうして一緒に行っちゃ行けなかったの?」

「俺はよく知らない奴と一緒にいるなんて嫌だ。」

「私の事だってよく知らないけど一緒に出かけてくれたじゃない…。」


「あの兄弟は好きになれん。澄ました顔をして裏で何をしているかお前は知らないからあんな奴らと一緒にいれるんだ。」

「…イーチェンは何か知ってるの?」

「希少生物を盗ってきたり、貧しいこどもを誘拐して売りさばいているどうしようもない奴らだぞ。…まあ、俺の父親も加担しているから俺もそうなるんだけどな。」


イーチェンは知ってるんだ…。

「…二人はそれを変えたいと思って今頑張ってる。だから私も協力してる。イーチェンも協力してもらえたら嬉しい。」

「なんでお前がそんな事を…。あぁ、お前の国にも関係あったな…。」

「私は自分の大切な国を利用されるのが許せないんだ。だからこのビジネスをあの違法取引に代わる規模に拡大させてなんとかやめる方向に持っていけたらって…。」



「甘いな」


「え…?」


「あの兄弟もおそらく無理だと思っているはずだ。」

「なんで…?」

「綺麗事だけでは難しい。お前はリスラ共和国やシアナ共和国を知らない。今回の出店は言わばロマノ家とリー家の遊びだ。こどものままごとがどこまで続くか、親たちは暇潰しくらいしか考えていないだろう。」


「…やってみなきゃ分からない。今より倍の利益が出れば考え直してくれるかもしれない。」

「倍…?!」


「フランチャイズだよ。世界中につくってみせる!」


イーチェンが信じられないという顔をした。

「リネア…。お前、とんでもない馬鹿だな。」

「よく言われる。」




僕はお気に入りのハンバーガー屋の近くに閉まっている小さな店を見つけた。店は閉じられて時間が経っているようで看板やドアも傷んでいた。

「イーチェン、ここ、どうだろう?」

「…小さすぎないか?場所は悪くないが。」

「中を見れないかな?」

「調べてみる、分かったら連絡してやるよ。」

「ありがとう!」



「お前は変な奴だな…。国の為とはいえこんな所まで来て他人とビジネスを始めてみたり、他人を助けようとしたり…。俺は自分の家族がしている事にうんざりして今まで逃げてきたが、変えようなんて思ったこともなかった。」

「…甘いかもしれないけど、やってみなきゃ何も変わらない。だからさ、自分にできることはやってみようって…。」


イーチェンが僕を見て笑う。

「いいな、お前。」

「そう?」


「ああ。…分かった。俺もダメ元で協力してやる。ただし俺が協力するのはお前だからな。あの兄弟じゃないぞ。」

「ありがとう、イーチェン!!」



僕は喜びのあまりイーチェンに抱きついた。

イーチェンの顔が少し赤くなった気がした。



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