初めての呼び出し
「…すみません、よく聞こえなくて。」
僕は今、いわゆる呼び出しというやつをされている。
「身体が虚弱な上、耳まで悪いってこと?ついでに目も見えなくなったら完璧なんじゃなくて?」
「まぁ…」
「クスクス。怯えてますわよ。」
まーじーで怖えー!!何っ?!女子って普段ニコニコしていて裏でこういうことするの?!
「虚弱なことを利用してあのお優しい殿下の同情心を煽ったのかしら?いやだわ、これだから田舎者は。」
ん?優しいって誰が?しかも僕は街の一等地に住んでいるはずだぞ!?
「えっとその…どちらさまでしたっけ?」
「この方をご存じないとは言わせませんよ。王室の血をひく殿下の再従兄弟にあたるカタリーナ・マリア・クラウスさまですわ!」
「あぁ!ヴィルに聞いたことあった気がする!ものすごい巻き毛のはとこがいるって!…確かに凄いね!セットにどれくらい時間かけてるの?!」
巻き毛少女は扇子で口許を隠し、さっきから僕を睨んだままだ。
自分の手は汚さないタイプか。
「ふざけないでっ!!この方が殿下の婚約者だと知っていてあのようにいつも側にいるわけ?!」
「そうよ、こどもをつくることもできない虚弱な人なんて、殿下に相応しくないわ!」
ひどい言われ放題だな。もはや突っ込みどころが多くてどうしたらいいかわからない。困ったな…。
「君たち!…そこで何してる?!」
あ、カールだ。
「フ、フェルセンさま…。なんでもありませんわ。」
「カールソンさまが転んだから助けようとしただけですわ。」
「嘘をつくな。俺はさっきから見ていたぞ。リネアに君たちが問い詰めていたのを。」
「みなさま、行きますわよ。時間の無駄です。」
ついに巻き毛が口を開いた。
「殿下だけでは飽き足らず、フェルセンさままでこの短期間に誘惑したのかしら。いやだわ、見境のない恥知らずは…。」
捨てぜりふを吐いて令嬢三人が去っていった。
「…大丈夫か、リネア。」
「大丈夫です。…巻き毛がすごくてびっくりしました。」
「そこ?!…ぶはっ!!」
カールの笑いのつぼにはいったようで大笑いしている。
そうそう、昔からこいつは困っている奴をほっとけない優しい奴なんだよな。明るいし面白いし、ヴィルはこいつのこと毛嫌いしているけど、僕は好きだったな。
「リネア」
「な、何ですか?」
「俺さ、ずっとオスカルのこと大事な友人だって思ってたんだ。リネアともそうなりたいって思ってる。
だから…これから何があっても、俺のこと信じてくれよな。」
どういう事…?!
カールは少し悲しそうに笑って、去っていった。




