入学式の日
スクール入学式の日、国王陛下が来賓代表として挨拶をした。
式の後ヴィルはたくさんの人に囲まれていた。ものすごい作り笑いをしている。
僕の知っている友人知人がいたけど、ボロがでるといけないから自分からは話かけず大人しくしてるようアンにもヴィルにも釘を刺されていた。
それにしてもこの服…
ブレザーの下に膝丈のスカート、ストッキング。ヒラヒラして未だにスカートってやつに慣れない。
本当は僕は他の男友達と同じようにあちら側にいたのに。
あ、あれは…、あ、こっちに来る。
「リネア・エステル・カールソン」
「あ…えっと…。」
「久しぶりだな。俺のこと覚えているか?小さい頃近所に住んでいて何回か君の家にも遊びにいったこともあるんだが。」
「カール・アクセル・フェルセンさまかと。」
カールは幼なじみの友人だ。近所に住んでいた時よく2人で木登りしたり、森でベリーを食べたり、近所のりんごの木からりんごをとって怒られたりしたな。
「よかった!覚えていてくれたんだな。あの…オスカルのこと、その、本当に…。今だ信じられないよ。」
「…お気遣いありがとうございます。あの、私は大丈夫ですから。」
「随分元気になったようだな。君は体が弱くて学校には入学できないんじゃないかとオスカルに聞いていたから。」
「はい、すっかり元気に、ほら!」
カールが笑う。
「なんだ?!令嬢が力こぶをつくって見せるとか!おもしろすぎだろ!やっぱりお前、オスカルの妹だな!」
僕の見せた力こぶにカールが触れようとした瞬間、ヴィルがカールの手を払いのけた。
「リネア、父上が呼んでいる。君は確か…なんとかフェルセンだったかな?」
カールのこと知っててわざとそういう言い方…。こいつ、本当に性格悪い。
「これはこれは…。オスカルの次はリネアですか?殿下はカールソン家の人間によほどの執着があるようですね。」
うわっ!?カール?!
「フェルセン君、君はリネアの名前を呼ぶことを許されているのかい?」
ヴィルは笑ってるけど目が怖い。
「あのっ、別に私はかまわないですよ。フェルセンさまはオスカルの友人でしたし。」
「ほら。本人もかまわないって言ってますよ。リネア、俺のこともカールって呼べよな!」
こいつ、僕以上に空気よまないやつだな。
ヴィルがめちゃくちゃ怒ってんの気づかないのか?
ていうかヴィルも心狭すぎだろっ!
「まぁ!!カールソンさまをめぐって殿下とフェルセンさまが争いに?!」
「カールソンさまって、あの、双子の?!」
いつの間にかたくさんの生徒がこちらに集まってあれこれ言いはじめた。
ただでさえこの男は殿下というだけで目立つのに。
目立たないようにって言ったのはヴィルだったじゃないか!
「行こうリネア、父を待たせると面倒だ。フェルセン君、失礼する。」
…面倒なのはお前だろ。
「またな!リネア!俺たち同じクラスみたいだ、よろしくな!」
「…はい、よろしくお願いします。」
「僕も同じだからね。リネア」
…だろうね。
「行きましょう、殿下。」
僕は必死でみんなの前から立ち去ろうとしたのにカールがヴィルに食い下がる。
「殿下、あなたは親を使ってリネアを同じクラスにしたんじゃないですか?」
…そうだろうけどね。でもそれをはっきり本人に言えちゃう君を尊敬するよ。
「どうせなら君を違うクラスにしてもらうようにしておけばよかったよ。今からでも間に合うかな。」
やばい、ますますギャラリーが増えてる。
「殿下、行きましょう!陛下をお待たせする訳にはいきません。」
ヴィルは腕を絡めると僕の耳元に顔を近づけた。
「リネア、殿下だなんてよそよそしい。いつもどおりヴィルと呼んでくれない?」
ヴィルの今まで聞いたことない甘い声、しかも周りに聞こえるようにはっきりとそう言った。
「きゃー!!」
女子がきゃーきゃー騒ぎだした。
こいつー!!まじで後で覚えてろよー!!!




