古城へ
バスを降りると森の中の散策路へ入る。
僕は持ってきたお菓子を食べ始めた。
「ユーラ」
僕はユーラの口にチョコレートを入れる。
「今日は普通のお菓子でよかった。」
「失礼だなー。ラクリッツを悪く言わないでよ。」
「…何度もしつこいけど彼氏じゃないの?」
「ルドルフさん…違います。ユーラはお菓子が好きでいつも私のお菓子を欲しそうに見てるんです。」
「…そう…なんだ。」
「あっ!ユーラ!見てあれ、珍しい鳥」
僕はユーラを引っ張って行った。
「エマ…俺、ロマノ君が教室でお菓子を食べてる所なんて見た事ないけど。」
「リネアはちょっと…残念な子なのよ。」
「…なんとなく言っている意味わかったよ。」
古城までのルートはなかなか急な上り坂だった。久しぶりにこんなに歩いたな。少し秋の風を感じる。葉っぱが色づき始めてる。
「リネア、素敵な女性がいっぱいいていいね。」
ルイが嬉しそうに言った。
「来てよかったね、ルイ。サークルに入るの?」
「んー、所属するのはやっぱり面倒な気もするんだよね。リネアは?」
「どうしようかなぁ。迷ってる。」
「リネアは強制参加でしょ。」
エマが後ろから肩を組んできた。
「エマ、そうなの?」
「私たちの頼みを断ったりしないわよね?」
「フリーダまで…。」
「建築ゼミ生が多いからよく建物を見に行ったりするんだよ。」
「ルドルフさんまで?なに?みんなの目的は…ユーラ?」
「…もあるけど、あなたが入ると場が和むわ。キャンプでは主戦力になるしね。」
「…分かりました。入ります。よろしくお願いします。」
まだ他のクラブも見てみたかったけど、まぁいいか。
「よし!」
「えらい!」
「で?ユーラはどうする?」
「…私は忙しいから…。まぁ予定が会えば参加するよ。」
「ルイは?」
「同じく」
「やった!元々これる時しかみんなこないからね、あなた達がたまに参加してくれるだけでも十分よ!」
だいぶ登ったと思ったらまだ半分ほどらしい。
バスを降りてから三時間後、僕たちはようやく古城へついた。
古城は昔他国から嫁いだ王妃の為に建てられたものらしい。王妃が使っていたままに部屋は保存され、当時の暮らしぶりがうかがえる。
エマたちが建築様式についても解説してくれた。
古城はレストランもしていてみんなでそこで昼食をとった。
「あの…同じテーブルにご一緒しても?」
「私も…」
「私も!」
ユーラが次々と令嬢に声をかけられる。
「リネア、こっちにおいでよ。」
ルドルフさんが僕に声をかけてくれた。
「あ、うん、ありがとう!」
ユーラが僕の手を掴む。
「私もそっちへ行く。」
「いいからたまには知り合いをつくりなよ。」
「余計なお世話」
「もー。仕方ないなぁ。」
結局ルドルフさんとエマとフリーダ、ルイとミハイルで同じテーブルに座ることになった。
「ロマノ君は本当にリネアと仲良しなのね。」
フリーダが言う。
「仲良し…かぁ?」
「仲良しでしょ?」
ユーラが僕の手を握る。僕は手を振り払った。
「…そんなことより何注文しようか迷うな。これも食べたいし、こっちも捨てがたい。」
「…じゃあ私がこっちを頼むから分けて上げようか?」
「いいの?やった、ユーラの隣に座った甲斐があったよ。」
「…」
ユーラが僕の頬をつねった。
帰りのバスは今度は僕が疲れて寝てしまった。
なんとなく遠くからみんなの声が聞こえてきた。
「ねぇ、ロマノ君」
「はい」
「苦労してるわね」
「…今はこれはこれで楽しんでいます。」
「今は?」
「ええ」
バスから降りて寮に戻る途中、フリッツに会った。
今日はランチの席で一緒だったメンバーと夕食を一緒に作る話になっていた。
「フリッツ!」
僕は3日ぶりに会ったフリッツに飛び付いた。
「リネア、楽しかったか?」
「うん!すごく楽しかった。」
ルドルフさんとエマが僕たちをみながら小さな声で何やら話している。
「エマ、殿下とリネアは?」
「付き合っているみたいよ。」
「え?!そうなの?俺てっきり…。」
「しーっ、聞こえるわよ。」
「フリッツ、久しぶりだね」
ユーラもフリッツに抱きつく。
「一昨日授業で会っただろ。だいたい何でお前がここにいるんだ?そんな格好して。」
フリッツが嫌そうに腕を振り払った。
「リネアに誘われて」
「リネア?聞いてないぞ」
「誘ってないし。別に言う機会もなかったし。」
「…何もされてないだろうな?」
「されてないよ。いつも通りだよ。」
「フリッツ、嫉妬は見苦しいよ。リネアが僕にもたれて寝ていたりしたくらいで怒ったりしないよね?」
「お前は…。」
フリッツが僕の頬をつねる。
「知らないよー。」
「あの三人なんなの?」
「ルド、本当にあなたは好奇心旺盛ね。」
「だって、なんであの少女は殿下や大統領の長男にあんなに懐かれている訳?」
「…悪い癖ださないでよ。ヴィッキーの弟の彼女なんだから。」
「ルドルフさん、リネアに興味もったりした?」
「ルイーズ君、君は?」
「私は女性なら誰にでも興味ありますよ。」
「気が合いそうだね。」




