入学前の僕たち
入学の準備と犯人探しであっという間にすぎた。
僕たちがこの半年で分かったのは、父や国王に反発してきた貴族の名前と、事件当日のフレーデル王国から来た国賓の名前。
こどもの僕たちが内政について調べることは簡単じゃなかった。
父や国王からも残念ながら何も情報を得ることができなかった。
「本当に難しいね。」
「下手に派手に動くと僕も君も危ないからね。慎重に時間をかけて長期戦でいくしかないね。ねぇ…」
「ん?」
「君の正体、もう誰にも言ったら駄目だよ。」
「誰にも言うつもりないけど…、なんで?」
「君は自分がまだ狙われているかもしれないって考えたりしないのか?犯人の目的はカールソン家の可能性が高い。君を潰せば今度こそ君のご両親は立ち直れなくなるだろうからね。君の正体がばれたらさらにまずいだろう。僕たちも入学したら学校以外で会うのはなるべくやめるよう父にも言われている。」
「どうして?」
「今回の事件、君の父が僕の父の重臣であることが原因かもしれないって言っただろ?つまり、僕が君と近づくということは、君の父を疎ましく思う奴らにとってさらに憂いの種になる。だから誰の目があるかわからないところでは気を付けろってことだよ。父ははっきりは言わなかったけどね。」
ヴィルはここまで考えてたんだ。
でもあまり会えなくなるなんて…寂しいな。
「だから僕は父上に頼んで裏技を使うことにした」
「裏技?」
「そう、君をスクールの特待生にして本来王家の者と限られた側近しか入れない専用の場所に君が入れるようにしておいた。特待生であるが故の側近だからね、成績は全教科3位以内に入るように。」
「はぁっ?!なんだよそれ!?」
「君は数学が少し弱いからね、さすがに点数を偽装したりはできないから気をつけるんだよ。裏技が使えるのは最初の一度だけだから。」
「なんで君の父はそんなこと許したんだ?!」
「僕の人格形成のため、かな?父は君が側にいないと僕は冷血でろくな人間にならないと思っているようでね。間違ってないけど。リネアといると安心できるっていったら承知してくれた。」
とんだ親バカじゃないか!!何が厳しい父だ!!
「母も賛成してくれてね、変な虫がつかなくてちょうどいいって、この意味わかる?」
「…なんとなく、分かりたくないです。あ、説明もいらないんで。」
「犯人の情報が欲しがったらがんばるしかないよね。」
こいつ…。




