2話 怯えた少女の顔はたまらん
「いやー、まいったな。」
俺たちはアパートに帰ってきた。時差の関係で日本の10時は、こちらの17時だからだ。すっかり忘れていた。
「ホントにまいったわ!何でお前あそこから逃げたんや。」
「だって仕方ないだろ、恥ずかしかったんだから。」
こいつ、言い訳しやがって。でも俺も逃げたしなぁ。まいったな。
「とりあえずプランBや、ニューヨークに行くぞ。」
大学に行かないんだったら、もう一つの作戦を進めておくべきだろう。
「WSOの本部か?」
神影が聞いてくる。
「ああ、俺、ヒーローになるわ。」
「はぁ!?お前がヒーローだと?ふん、笑わせんな。」
「ほんまやって、まあ今からいくのは、その上層部やけど。」
次にやることはすでに決めている。
俺たちは転移してニューヨークのWSO(世界安全機構)本部に来た。
「テレビで見たことあったけどやっぱくそでかいなぁ。」
目の前にはとてつもなくデカイ建物が広がっている。
「そりゃあ、ここが世界で一番安全なところって言われているからな。でさっきの話の続きだがお前本当にヒーローになるのか。」
神影がまた聞いてくる。しつこいやつだな。
「ほんまやってゆうとるやろ。悪いやつからみんなを守る。、誰でも一度は憧れるやろ。」
ヒーローと言うのはその名前の通り人々を守る人たちの事を言う。自分達のもつ能力を使って人々を助ける、子供達がなりたい職業ランキング毎年堂々の一位のTHE仕事のようなものだ。もちろん危険が付きまとうので給料も良いし、人々からも慕われる。ただ、ヒーローとして仕事をするにはWSOに登録されなければなく、試験を合格しなければならなくこれが結構難しいらしい。試験は各国のWSO支部でも受けれる。合格しヒーローと認められたもの達は日本人なら日本支部、アメリカ人生なら、アメリカ支部に配属される。例外もあるらしいが。任務の際にあまりにも力の差があるといけないのでヒーローには5つのランクがある、ランクA~ランクEに分けられそれぞれのレベルにあった任務が課せられる。月に一度世界ランキングと各国のランキングが出されヒーロー達は凌ぎを削っている。
「てゆうのを昔本で読んだ。」
「でもお前上層部がなんとかって。普通のヒーロー関係じゃないだろ。」
「ふふん、当たり!とりあえずえらいやつらと会わんとあかん。ちょっと、待っとけ、」
俺は受け付けにいる女性に向かっていく。明るい顔の女性だ。
「ヒーロー登録ですか?でしたらあちらの道を「すみません、この建物の上の方ってどうなってるんですか。僕、行ったことないんだけど教えてください。」
ぶりっ子になったつもりで話しかける。拳を口の前において。
すると女性の顔がにやけてきた。
「僕、この建物の上の方にはね、えらーい人たちがたくさんいるのよ。」
ふーんソウナノカー。えらい人たちねぇ。
「ありがとうお姉ちゃん!」
そう感謝を述べて受付から去り、玄関前まで戻って来た。
「上の方やって。やっぱりえらい人らって高いとこにおるんやなぁ。」
神影をに会話の内容を伝える。
「・・・・・。お前気持ち悪っ!なんだよあのしゃべり方。」
あれっ?気持ち悪いかな。ただ5歳くらいのクソぶりっ子野郎の真似しただけやけど。
「まあエエわ。とりあえず一番上からいくか。」
そう言って俺は神影とともに転移した。
「うおっ、高ぇー。何メートル位あるんやろ。」
俺達はビルの一番上にやって来た。上からお偉いさんの部屋探すほうが、効率良さそうやし。
「とりあえず中に入るぞ。床に穴を開けないとな。」
「任せとけって。」
腕時計を屋上の床に向ける。
「レーザーカッター。」
ジュ 先端から赤い光が出てくる。腕を円を描くように回し一周させた。 ベコンッ カットした部分が落ちる。これが気持ちいいんですっ。
「きれいに切れたな、さっさっと入ろか。」
ピコンピコンピコン アラーム音が、本部に響き渡る。 あっ、やべ、警報装置発動してもた。
「おいっ!どうすんだよ。さっさっと用事済ませるぞ!」
神影が慌てながら話しかけてくる。
「そっそやな。よっと!」
穴から中に入る。落ちた天井の上に着地し、辺りを見回す。大きな部屋のようだ。窓ガラスの前にある机に向かう。高級そうな椅子に高そうな机、
「なあ神影、ここもしかして司令長官の部屋かもしれん。」
「それはよかったな。さっさと要件済ませちまえよ。ここの天井が壊れたことはもう伝わってるんじゃないか?」
「ああ、たぶんな。」
ドンッ。扉がおもいっきり開いた。武装している警備員達が突入してきた。
「動くな!能力を使おうとすると射殺するぞ!」
おーおー、元気のいい挨拶だこと。ここで殺してもええんやけど、そしたらめんどくさそうやし。
「すみません。ダリス司令長官とお話したいのですが。どこにいらっしゃるのでしょうか?」
両手を上げ戦闘の意思がないことを伝え、ここに来た目的を伝える。
「ダリス司令長官は、今いない!貴様らおとなしく捕まれ!」
あっそうなのね。じゃどうしよっかな。そんなことを考えていると警備員達が飛びかかってきた。手には警棒のようなものを持っている。なんだがやばそうだな。
「うおぉぉぉぉぉぉ!」
すぐに体をずらしてかわす。弁解の余地なしやな。
「神影!逃げるぞ。」
俺がそう言って 転移を発動させようとした瞬間、
辺りになにもなくなった。
えっ?どうなってるんだ。辺りにはなにもない。間違えたところに転移したのか?いやでも、あれは一度行ったことあるか見たことのある場所にしか行けない。 ここはどこなんだ?! 俺が脳内で思考しているとふと声が聞こえて来た。
「無駄よ、いくら考えたってあなたがそこから出ることは不可能。」
!脳内に女の声が響く。 お前は誰だ。
「別に今から死ぬあなたに教える必要なんてないわ。まぁどんな能力かだけは教えてあげる。ヴァーチャルスペース それが私の能力よ。」
仮想空間ってことか。どうゆう攻撃を仕掛けてくるんやろ。気になるな。
そんなことを考えていると、急に目の前が光だした。どんどん近づいてくる。マズイ!爆発攻撃か。すぐに後ろに走り出すが思うように体が動かない。
「残念だったわね。ヴァーチャルスペースに長くいればいるほど、もとの感覚を失なってゆくのよ。」
また脳内に声が聞こえた。いればいるほどヤバいっつーことか。ならえっか。
俺は転移を使ってさっきの部屋まで戻ってきた。感覚なくなる前に出れたらええんかな?
見ると先ほどはいなかった黄緑色の髪の毛をした女の子が増えてた。
「なっ!?」
帰ってきた俺を見て目をまるくしている。
「どうゆうことよ!あなたいったい何をしたの!?」
大声で叫んでいる。うるせぇーなークソガキが。
「俺の能力はお前の能力とは、相性が最悪ということや。」
どうゆう原理であの空間に飛ばされたのかは知らんけど転移したらどこでも帰ってこれるねんなぁ。
「おい御影、こいつもう一回能力使うかもしれんから、殺すか。」
神影を呼び出し話しかける。
「そうだな、敵は早めに潰しておくに限る。」
少女を神影が睨む。その目には殺意がこもっていた。
「ヒッ!」
怯えた声を出す少女、警備員達はどこかに逃げてしまった。万事休すやな。にしてもこうゆう恐怖に怯えた女の顔見るのも悪ないな。
「そこまでにしておいてください。」
俺達の前に突如男が現れた。
「誰だ!」
神影が問いかける。
黒いスーツを着ている、30代位の男だ。
今、こいつどこから出てったんや?
俺達の前には女しかいなかったはずだ。透明人間か?
「そう焦らないで下さい。私はあなたたちと争うつもりはないです。この部屋に侵入したとゆうことは何か理由があるんじゃないですか?」
こいつ、上層部の関係者か?なら話してもエエか。
「平和監理局に用があって来ました。こちらも争うつもりはなかったんですが。.....」
申し訳無さそうに言い、女を見る。
男は俺の視線の先に気付き、少しため息をついた。
「はー。また勝手に独断で攻撃したんですか。駄目ですよいくら相手が侵入者だからって、殺さずに確保が優先と言ったでしょう。」
そう女を叱る。
「でも、勝手にじじいの部屋に入った。」
なんかさっきよりだいぶシュンとして女が口を開ける。
「、、、まぁ仕方ないですかね今回は。不法侵入は犯罪ですし。」
男がこちらに向く。
「平和監理局にいったいどのようなご用ですか?」
「俺をWSAに入れてくれませんか。」
本題を切り出す。WSAとは平和監理局の総称だ
「ほう、平和監理局に入りたいだなんて、なにか特別な理由があるんですか?」
こちらに問いかけてくる。
「別にそこまで大事な理由じゃありません。殺したい人間がいるんです。俺の手で。」
拳を握りながら相手の目を見る。
「・・・わかりました。まぁミアが相手にされないんじゃ私にはどうもできませんし、付いてきてください案内します。ミア、戻りますよ。」
そう言って部屋から出ていく男、ミアという女も付いていった。
「どうするんだ、罠かもしれないが。」
神影が聞いてくる。 うーん、まぁ他にすることないし。
「よしっ、いくか!」
俺たちは二人の後に付いていった。