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逃亡勇者  作者: 利
1/1

放棄逃亡

名前が決まれば変えていきます。

とりあえず忘れないためのメモみたいな物なので、かなり読みにくく、細かいところは端折っています。




まあ俺は運が良かった方だ。


孤児、恵まれた容姿でもない、人質とされる人もいない。

他の奴らはまず家族を人質にされる。

逃げれば一生追われる身となる。そうなったら逃げ場がない。


俺は育ちのお陰で現実主義でお人好しなんてモノにならなくて済んだ。


お陰で逃げるのにはかなりの葛藤をしたが、こうやって逃げる事は出来たのだ。


その結果、お尋ね者として、こうやって森の中を彷徨っているわけだ。


魔物の唸り声が聞こえる。

その姿が見えない分、恐怖が高まる。

俺は木の上に登り身の安全を確保する。


男「さむ、」


肌寒い、こんな薄着で逃げてきてしまった。

そういえばもうすぐ冬季が来るではないか。


やばい、明日、朝から衣食住について考えなければいけない。


そういえばあの、お偉いの魔術師は、俺の能力を言っていた。


たしか、サポーターと斥候両立できる珍しい型だったっけか、魔力を消すことにも特化し、道具や武器防具の能力向上による仲間の強化。戦闘型か魔法型ばかりの勇者達の中ではごく稀らしい。


ただ、戦闘には向いていないということだ。


スラムで育った俺には、この能力のことなんて最低限しか知らない。そういう教養がない。


勇者がもつ特有の能力


今まで沢山の勇者が魔王を打つべく、旅に出た。


アホな話だ。


長期化した戦争で魔王に対処する戦力がないから勇者を使って魔王侵略を阻止し、打ち勝つ。


まあ俺も少し前までは俺もそう思っていた。


実際は違った。


戦争で金が回る。だから戦争は終わらせたくない。でも勇者を使えば戦争がすぐに終わってしまうかもしれない。


ならあるかもわからない未開の地、魔王の国に向けて勇者達を向かわせよう。駄目なら死ぬだけ、よければ貴重な素材が手に入り、領土も確保できる。


魔王なんてものは迷信に近いものだった。


お偉いのクソみたいな理由で死地へ送られるなんてまっぱらごめんだ。


だから俺は逃げた。もともと勇者なんて反吐がでるほど嫌いだった。


それが自分がなる?ふざけんな、


まあ、とりあえず眠い。

今は眠ろう。




ふと目を冷ます。


男(・・・まだ夜か・・・)


遠くに松明の光がいくつも見えた。


男(あの女早いな)


さすがはエリートだ。

そして、あの松明の数、村人全員を使って俺を探してるのか。

使われている村人が可愛いそうだ。

まあ道場なんてしてやれない。とにかく逃げるか、


足の速さもスタミナも自信がある。


問題はこの暗さだ。

魔物に鉢合わせる可能性が不安だが。松明の光はそこまで迫ってきている。



村人「魔物だぁーー!!!」


遠くで村人がそう叫んだ。


一緒にいた兵士も一緒に殺させれた悲鳴と音が聞こえる。


男「・・・・バーカ、夜にくるからだ」


ザン!!と斬撃の音が森に響き渡ると次に村人のどよめきと兵士の歓声が聞こえた。


男(・・・・・多分、あの女だ)


あの女騎士が一太刀で魔物を殺ったのだろう。


男(相変わらず怖え女)


俺の護衛を名目に見張りとして同行した女騎士。

俺を縛るものがないために、国の中でもかなりの精鋭を俺に就かせやがった。

そんなに俺の能力は珍しいということか。


他のパーティと組ませることでそのパーティの戦力がぐっと上がるということだ。現にこの旅はあるパーティと合流するという目的だった。


国としても俺を手放したくはないのだろう。


最初は、金と貴族の称号に目が絡み、喜んでパーティに参加するという嘘の人間を演じたお陰で・・・、いや、最初はそう浮かれていたか、


まあ、そのお陰であの女や兵士の警戒もかなり薄く、こうやって逃げられたわけだが。



ーーーーーーーーーー



「ふう・・・・このくらい離せば」


どうにか気付かれることなく距離を取ることができた。

山の稜線から微かに光が漏れている。

いつのまにか朝になっていた。


逃げる時に村からちょろまかした。食料を齧る。


(食料がなくなるまでに色々と用意しないとな)


ちなみに言うと、国からもらった高価な防具は捨ててきた。


軽く動きやすい、とてもいいものだったが、俺の本能、いや能力がそうしろと言っていた気がする。


今思うとあれには逃げた時に追うための魔付がつけられていたのかもしれない。


村からどうにか盗めたのは少ない食料とこの薄着と粗悪なナイフだけだった。


遠くで微かに松明の光が見える、かなり距離は稼いだ。


(保険としてもう少し進むか)


これからの行き先をゆっくりと考えなければ。



……………



(・・・・・・・駄目だ)


この森から抜けることができない。

少ない食料も等々そこをついてしまった。


スラム育ちの俺には森の勝手がわからない


(このままじゃ餓死まっしぐらか)


(いや、その前に魔物の餌かも)


逃げ出したことに今更後悔している。


いかん、腹が減ってこの場から動けない

俺の人生もこれで終わりか。


意識が遠のいていく。


と、その時視界のあるものに気づいた。

一瞬意識が覚醒する。


そこにいたのは人だったからだ。

しかも、矢をこちらに向けている。


(やばい盗賊か、・・・・にしては老けてるな)



俺に矢を向けた老人が徐々に近づく。


逃げれるか、、いや無理だな限界だ。

身体が動かなかった。


そして、そこで俺の意識は途絶えた。



ーーーーーーーーー


?「起きたか」


目を覚ました俺に老人がそう話しかけた。

俺に矢を向けた老人とは違う。


?「危なかったな、腹減りと寒さにやられたな。こんな季節にそんな薄着でどうした?」


俺は警戒を警戒を消さずにあたりを見回した。


男「いや。ちょっと魔物に追われて、逃げてるうちに・・・・」


我ながら嘘がスラスラと出てくるもんだ。


?「そいつは災難だったな、起き上がれるか?まあとりあえず飯食いな」


そうやって差し出された肉鍋に警戒したが、

食欲に負け俺は貪り付いた。


?「ははは!!ゆっくりくいな、火傷するぜ」


ガサリと外で音がした。器を置き警戒する。


そして入って来たのは俺を石弓で狙ってきたあの老人が入ってきた。


?「お、目覚ましたぞガキ、先に食ってた」


??「・・・ああ」


老人はぶっきらぼうに返事をするとちらりと俺を見て、自分も鍋を食べだした。


?「こいつは昔から無口でよ。まあなんだ、俺は猟師2、この無口が猟師1だ。よろしくな」


男「・・・・・・」


男(本名は流石に不味いか・・・)


偽名を名乗ることにした


男「・・・仮男だ」


猟師2「おう、仮男だな、ああそれでよ猟師1、こいつ、魔物に追われてこんなとこまで来たんだそうだ。」


猟師1「・・・・そうか」


猟師1はギロリと俺をみるが何も言わず、再び食事を始めた。


どうする。隙を見て、こいつらを殺して荷物を奪うか。

待てよ、ここはどのあたりだ。

また森で迷っちまうかもしれねー、あの女騎士達は?下手したら近くまで来ているかもしれねー


猟師2「なあ仮男、お前行くあてあんのか?」


仮男「行くあて?ああ・・・・・・」


なんて答えるのが正解か、迷っていた。


猟師2「見たとこ一文無しだろ?よかったらこれから東に行くんだが一緒に来ねえか?」


男「は?」


猟師2「いやな、せっかく町から道具やらなんやら調達したはいいんだけどよ、思ったより重くてな、うちの馬ももう年寄りでよ、荷物持ちが欲しかったところでよ、兄ちゃんが手伝ってくれるならわざわざ雇いに町に戻らなくてもいいしよ・・・まあ他に用があるならいいんだが」


男「東って、町とかあんのか?」


猟師2「残念ながらねえな、一、二カ月はずっと森ん中だ。ちゃんと金はだすぜ、まあ、毛皮やらを換金したあとだがな」


どうする?あながち悪い提案ではない。


人目を避けてしばらく隠れることができるし、

こいつらは猟師だ、俗世のことに関しては疎い、だから俺の正体にも気づいてない。


スラム育ちで、森の知識なんてほとんどないが、こいつらと行動すれば、技術は盗める上に物資も調達できる。


俺はこの提案を受け入れた。


ーーーーーーーーーーーー


それか二日が立った。


森を少し出て山道を歩く。

この二人は元は兵士だったらしい。

退役後こうやって猟師を続けているそうだが。

まず足腰の強さに驚いた。


荷物を抱え、馬と荷物の補助をしながら山道をを進んで行く。

俺はというと老人2人の荷物よりも明らかに軽いにもかかわらず、彼らの後ろを追うことで精一杯だった。


足がきつい。しかし今更、逃げる、もしくはこの二人を殺したとして、見渡す限りの山と森を抜ける自信がないなかった。


今はきつかろうともこの仕事をしなければならないと、必死後を追った。


しかし、いい面もある。


新鮮な肉だ。素人から見てもわかるが、この二人はかなりの手練れだ。

食料に関しては事欠くことはなかった。


朝と晩、新鮮な肉をたらふく食べられた。

カビの生えたパン、腐りかけた肉、臭い魚の塩漬け、そんなものが普通だった俺には、何よりのご馳走だった。


猟師2「よく食うな、これはどうだ」


猟師2は味付けが上手い。

人に食わせるのが好きなようで、心臓、レバー、脳みそ、腸、なんでも俺に振る舞った。


その中には臭くて好みが分かれるような部位もあったが、俺にはただの風味の違うただのご馳走だった。


1週間経った頃には、逃げるという選択はあったが、殺すという選択は消えていた。


そんなに時間が経つと、2人の事も大分わかってきた。何より聞かずとも猟師2が一人で話し続け、嫌でも情報が入ってくる。


無口で、人相が悪いが猟師1は温厚で優しい奴だと言うこと。

二人は猟師2はこちらが止めなければずっと話し続ける陽気な奴で。昔戦で、猟師1に助けられ、退役後、恩を返すべく付いてきたが、ズルズルとなりたいわけでもなかったが、いまこうして猟師をしているという事。


猟師1の優しさというのが垣間見れたのは、俺用の弓矢を作ってくれたことだ。



その後も旅を続けながら、端的に使い方、狩の技術を教えてくれた。

猟師1は、わかった、ああ、のような返答ぐらいしか声を聞くことはなかった。


俺に教える時だけはいつもよりは言葉が多かった気がする。


後で猟師2に聞いた話だが、俺が死んだ息子と同じくらいの年齢だからだったそうだ。


2カ月経った頃には、俺も狩に参加した。

足腰も強くなり置いていかれることはなくなった。

俺を追う、女騎士も諦めただろうか。


そう思う中、大型の魔物に出くわした。

なかなか強い熊型の魔物。


これに関しては俺の能力の魔付が役にたった。

1.2ヶ月自分なりに試行錯誤し、できるようになった付け焼き刃だが、厚い皮と骨をを貫通させることができた。


まあこの魔付がなくとも、この二人の爺さん達なら狩ることができだろうが。


毛皮や素材が溜まった頃、一番近い町に進路を向けた。

ある程度の技術も知識も身につけた。

もう少し技術を盗みたいが、そろそろ潮時だ、町に下りれば俺の手配書を見ることだろう。


そうすればこいつらも。

この2カ月、共にいたが、殺すのは少々手間がかかりそうだ。

この二人は単純に強い。返り討ちになる可能性もあるからだ。

最初にその選択をしなくて良かったと思う。


猟師2「もうすぐ町だな、お前どうするんだ?町に下りたら」


男「さあな、行ってから決めるよ」


金のためには降りるしかないが、下りれば正体がバレる。


猟師2「お前もまあまあ、狩できるようになったからよ、どうだまた俺らといくか?」


男「だから、町に行ってからきめるって」


猟師2「しかしよ、付いてくだけでヘトヘトだったお前が、逞しくなったもんだな、なあ猟師1、まあ、まだまだ未熟だがな」


猟師1「お前より上達は早い」


猟師2「かはははは!!そりゃないぜおい!」


猟師1は少しだが口数が増えた気がする。

猟師2は相変わらずだが、


そして町が見えたころ、近くにテントを張った。もう町が近い、このジジイ二人とももうすぐお別れだ。

最悪の場合、殺すことも選択肢に入れなければいけない。情なんてかけない、そんなもののために危険に晒されるのだけはごめんだ。


猟師1「換金に行ってくる。逃げるなら金を貰ってからにしろ」


男「は?」


猟師2「んだよ、バラすのかよ、まあ町に下りたらわかることだもんな」


男「・・・・知ってのかよ」


ナイフを持つ、女騎士から逃げる時に盗んだ粗悪なナイフが折れた時、猟師1がくれた大型のナイフ、それでこの二人を殺す覚悟を決める。


猟師1「お前のことは話さん、仕事した分は払わせてもらう」


男「義理堅いもんだな」


猟師2「仮男ちゃん、そう怖い顔すんじゃねーよ、どうこうするなら、最初倒れてた時に兵に渡してるよ」


男「・・・・じゃあ、なんで匿った」


猟師1「逃げない人手としては丁度良かった、それだけだ」


猟師2「・・・・つうことだ、あれなら少ないが先に少しだけ金渡しとこうか?」


男「ああ、そうさせてもらう」


猟師2「おいおい、2カ月も一緒にいたのに信用ねえもんだな、ちょっとまてよ・・・・おらよ」


俺の警戒を無視して猟師2は相変わらずの陽気さで、俺に少ない金を渡した。


猟師2「待ってりゃ、残りの仕事分もやるよ」


ああ、わかる、こいつら裏切らない、しかし小さな可能性を疑うわけにもいかない。

俺はナイフを持つ手の力を緩めることはなかった。


猟師1「夕方には戻る。猟師2行くぞ」


猟師2「あいあい、じゃあ仮男、留守番頼むな」


そう言って二人は平然と毛皮を積み、町へと下りていった。


二人の後ろ姿を弓で狙った。しかし二人は振り返ることもなく町へ向かった。


俺は矢を放すことはなかった。

二人が見えなくなってから、急いでテントや荷物を漁った。

逃げる為に必要な物を、食料、道具を、手当たり次第に


ーーーーーーーー



空が赤くなる頃、猟師1と猟師2は換金を終えテントへと戻っていた。


猟師2「あいついると思うか?」


猟師1「さあな」


猟師2「素直に言えばいいのに、死んだ息子にそっくりだったって」


猟師1「・・・荷物運びに使えると思っただけだ」


猟師2「そういうことにしときますよ、でよ、もしいなかったらよ、金どうする?新しく馬でも買うか?今のヨボヨボだしよ、無理もできねーし」


猟師1「馬より先に俺らが死ぬかもしれんぞ」


猟師2「確かにな!!そいつは考えてなかったわ!!」


坂を登り終え二人はテントに帰ってきた。

見えたテントには人影はなかった。

少し荒らされた形跡があった。


猟師2「あー、やっぱ逃げたか、散らかしやがっって」






















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