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第2話 …というわけで魔法と武術を教えてください。

さて、ここから説得しますよ。


「…つまり、リーヴィはそんな予知になっても大丈夫なように魔法と武術を習って魔法剣士になりたいのか?」

 そのあと、頑張って魔法剣士になりたい理由を話した。さすがに詳細説明をするわけにはいかず、予知夢として自分が崖から落ちる…っという感じで。まあ4、5歳児だから通じるだろう…たぶん。

「なんで魔法剣士なんだ?そんなことしなくても魔法だけ鍛えればいいとは思うが」

 お父様は一生懸命悩んでいる。いくら愛娘だとしても剣など持たせたくはないのだろう。

 そう思うのは当然のことだ。なぜなら魔法剣士は国王陛下から送られる称号の一つだ。お父様は『魔法剣士ジィール』という称号を得ている。その称号を得るには、国王陛下主催の武闘大会に出場して上位入賞するか、武功を挙げるしかない。それが叶い魔法剣士となれば色んな現場に召集がかかる。災害復旧や隣国との小競り合い、戦場にも。そしてそれはたとえそれが侯爵令嬢だとしても例外ではない。それは嫌ってか魔法剣士はおろか、王立騎士団、各爵位領の自衛団にも女性は1人もいない。

 そんな責務を娘には背負ってほしくないのだろう。

 確かに崖から落ちるだけなら魔法を鍛えるだけもいい。

 しかし一体どこまで乙女ゲーム補正、主人公補正が効くか分からない以上、セオドア殿下との婚約は避けられないと仮定した方がいいし、また殿下が主人公であるアリッサ嬢に惚れる可能性も高い。そしてすべての責任を私に転嫁する可能性も高い。そこまで避けられないとしたら、崖イベントで落ちても生き延びるしかない。乙女ゲームで「オリヴィエ嬢は崖から落ちて消えていった」としか述べられていないから生死は不明だ。もしかしたら運よく生き延びて何とか暮らしているかもしれないし、運悪く…息絶えてしまっているかもしれない。

 だったら何とか生き延びて、主人公たちと一生関わらないところで平和に暮らすように今から考えなければいけない。魔法だけではだめだ。もし魔力が何らかの原因で封じられたら、なくなったら、魔法は使えない。そうなったら私は生きていくことはほぼできない。どこまでゲームで、どこまで現実かわからない以上、あり得る可能性のすべてとは言わないが、大体のことは考慮すべきだろう。

 そのためには自分のことはもちろん、様々なものから身を守るために魔法、そして武術を得て、魔法剣士になるべきだ。もし補正が利かないで婚約を避けられたとしても、魔法剣士はどこの世界にも猫の手も借りたいほど必要な人材だ。仕事には困らない。あ、王国騎士団に入団というのもありか…。そしてお父様みたいに武功を挙げて、独身のまま部下に慕われながら目を閉じる。それもいいな。

「はい!お父様!私、自分の身を守れるようになりたいのです!!たとえ1人でも生きて、またお父様、お母様に会うために」

 キラキラした、でも確固たる意志を持った瞳でお父様に訴えかけるように見上げた。例え1人でも生きていけるようにと言ったら、たぶん止められている。溺愛されているのだから、「お父様、お母様に会うため」と言えば認めざるをえないだろう。崖下に落ちたとなれば、救助が来るまで生きるか、自力で戻ってくるかしかない。救助なんて何日後に来るかわからない。自力で戻ってくるといった方が説得力がある…と思ったんだが、どうだろうか。

「そうか。本当なら剣なんて持ってほしくはないんだが…。リーヴィの不安は少しでも取り除きたいしな。…どうだ?テレーゼ」

 私の意志の固さを分かったのか、お父様は私の頭をなでながら、お母様の方を見る。お母様は私を抱えながら、不安そうにしょんぼりしながらも、お父様に向き合う。

「この子がそういうなら私は反対しませんわ。この子の意志ですもの。ただし令嬢としての教育もしっかりしなければこの子が恥をかきます。両方諦めずにできるよう、支えてあげましょう」

「本当!?お父様、お母様、ありがとうございます!!私、頑張ります!」

 どちらからもお墨付きをもらった。やったぜ!!

 心配しながらも私のためを思い、支えてくれるのはうれしい。


 これで少しはバッドエンドに備えることができるだろうか。

 

とても4歳児とは思えないが、中身は大人な主人公なので何とかなるでしょう(笑)

達観した4歳児だなみたいな感じだと思いますよ。まああの両親だから周りも納得しているんじゃないでしょうか。

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