prologue バッドエンドはこちらです。
ゆっくりですが、書いていきます。
誤字脱字色々あるとは思いますが、よろしくお願いします。
「お前との思い出は、ここで終わらせてもらおう。…さらばだ」
そういって彼は手に持っていた本を後ろに投げ捨てた。彼の後ろは崖。必然的に本は崖下に落ちていく。
私はその投げられた本を追いかけて崖下に飛び込んだ。
あの本は、あの絵本は、私と彼を繋いできた大切なもの、大切な思い出なんだ。小さいころ、彼に婚約の誓いとして渡された絵本だった。騎士が命を懸けて姫を守り、そのお姫様と騎士が結ばれる御伽噺。そのお姫様を私に例えて、自分は姫を守る騎士になるという誓いを込めて渡された一番の宝物だった。
それは私の全てだった。私が王太子である彼――セオドア・シィークウィズ殿下の婚約者として立派な王太子妃になるための教育を受け、彼を支えるために必な政治や外交のことを幼いころから学んできた。彼の顔が広がるように様々な人たちにいい顔をしてきたし、彼が学んでいない外国語を学んだり、爵位持ちの人たちの把握を完璧にしてきた。全ては彼を支えるため、彼を愛しているからこそできた事だった。
しかし彼と同じ学び舎、王立魔法学園で魔法やマナーをはじめとする様々なことを学び、あと1年で花嫁修業に入ろうとする時期に事件は起こった。転入してきた光の魔法の使い手、アリッサ・アドルディ子爵令嬢に有力貴族の子息たちが熱を上げ始めたのだ。もちろん、彼も例外ではなかった。アリッサ嬢は彼らに婚約者がいると知りながらも彼らとともに行動し、学園の運営にまで我儘をいい、その我儘が押しとおってしまうようになっていた。
私は彼やアリッサ嬢に注意は何度もした。婚約者の方々にも気をお配りください。婚約者のいる方と四六時中共にすることはご令嬢としてはしたないことなのです、お控えなさって、と。しかし、彼らは忠告を聞くどころか、アリッサ嬢が勝手にすっころんだことや陰口、果てまでは勝手に魔法暴走したことを全て私の責任に押し付けた。
そして卒業式後、私は学園裏にある崖近くに呼び出され、断罪を受けた。アリッサ嬢の自作自演の責任を私に転嫁して、彼から婚約破棄を突きつけられ、爵位剥奪され、国外追放を言い渡された。そして冒頭のように私の部屋にあった思い出の絵本を勝手に持ち出され、崖下に投げ捨てられた。
崖下に落ちていく私は何とか、先に落ちていた絵本をつかんで、両手でぎゅっと抱きしめる。
最後に彼の顔でも見ようと、崖上の方に向きを変えた。
そこには私を心底憎く感じているように顔をしかめる彼がアリッサ嬢と抱き合っていた。アリッサ嬢はざまあみろとでもいうようなひどい顔をしていた。
あぁ、私は彼に憎まれたまま死ぬのか…。
そう思って私はゆっくりと目を閉じた。
さすがにやりすぎたと思いますよ、この立太子。
でもアリッサ嬢を溺愛しすぎるとこのようなバッドエンドになってしまうようです。