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第百六十二章 菊子、地球へ向かう

ある日、菊子の亡くなった親友の芹沢陽子の孫になる陽介が、悪質詐欺に全財産を騙し取られて、一家心中しようとしていました。

芹沢陽子は医者の家系でしたが、レイプされてできた子供の事は、家族や親戚にも隠していて、子供がいる事を知っていたのは菊子だけでしたので、芹沢家との付き合いもなく、陽介自身、芹沢家が何の仕事をしていて何処に住んでいるのかさえ知らず、当然孫の陽介の事も芹沢家では知りませんでしたので、助けてくれる親戚はいませんでした。

何もない家を整理していると、陽子お婆ちゃんから貰った箱が出て来ました。

“困った時に開けるようにと言っていたが、この状態では何の役にも立たないだろう。”と思って、そのまま捨てようとしました。

陽介から説明を聞いた妻が、死ぬ前に何が書いているのか読んでみようと提案した為に、二人で読みました。

そこには、“陽介、この手紙を読んでいるという事は、何か困った事ができたのね。自分の力で解決できなければ、私の親友に宇宙人がいます。その宇宙人の寿命は地球人よりずっと長い為に、陽介より長生きします。この通信機は、その宇宙人と直通の通信機なので、助けを求めれば必ず力になってくれますのでね。その宇宙人の名前は菊子です。”と書かれていました。

その内容に驚き陽介は、「宇宙人と親友だなんてとても信じられない。この通信機の受信機は、何処かの相談窓口にでも置いていて、相談に乗ってくれるだけだろう。」と全く信用していませんでした。

妻は、「騙されたと思い、一度連絡してみればどうなの?」と提案しました。

陽介は、「この上、まだ騙されろと言うのか!宇宙人だなんて嘘に決まっているだろう。僕がこの箱を貰ったのは、小さい子供の頃だった為に、子供に聞かせる、おとぎ話のつもりで書いたのではないか?宇宙人だなんて馬鹿馬鹿しい。」と全く信用していませんでした。

妻は、「どうせ死ぬのだから、騙されても関係ないでしょう。」と連絡する勇気がないのかしらと感じました。

陽介は、「確かに、それはそうかもしれないけれども、この箱を貰ったのは何十年前だと思っているのだ?見た所、コンセントはないようなので、バッテリーか乾電池だろうが、どちらにせよ、もう使えないよ。コンセントだったらまだ可能性はあったと思うけどな。」と無駄だと主張しました。

妻は、「そんなの解らないじゃないの。ここに宇宙人って書いているでしょう。バッテリーや乾電池とは違い永遠に使える電源なのではないですか?」と少しでも可能性があるのでしたら、連絡させようとしていました。

陽介は、「そんな都合の良い電源が何処にあるのだ!」と宇宙人だったら何でもできると思っているのかと馬鹿にしました。

妻は、「あるわよ、太陽電池も知らないの?遅れているわね。」といつまでもごねずに連絡すればいいのにと思っていました。

陽介は「何を言っているのだ?ここに菊子と直通だと書いているだろうが。その通信先を何処に記憶しているのだ?押し入れの奥に仕舞っていたのだぞ、太陽電池も役に立たないだろう。もう、お婆ちゃんの親友の菊子さんとの連絡先は消えているよ。」としつこいなと感じていました。

妻は、「あなたEEROMやフラッシュROMも知らないの?CMOSのバッテリーバックアップだと何故勝手に決め付けるのよ。それに先程も言ったようにこれは宇宙人の通信機でしょう?もっと凄い構造かもしれないわよ。陽介さん、本当は宇宙人と聞いて怖くなったのではないですか?」と馬鹿にすれば連絡するかな?と考えました。

陽介は、「死ぬ時に、怖いもないだろう。」と怒りだしました。

妻は、「それじゃあ、それを証明して見て、通信して見て!」と強調しました。

陽介は結局、妻に押し切られて、恐る恐る通信機で通信しました。

テレジア星の衛星で一人淋しく生活していた菊子のUFOに、陽子から通信が入った事が菊子の携帯端末で確認できた為に、菊子も驚いて、“何故死んだ陽子から通信が入るのよ!陽子は誰かに通信機を渡したのかしら?という事は葬式前?そう言えば陽子は私にも内緒で孫の陽介ちゃんに会っていたみたいだから、まさか陽介ちゃん?”と思いながら、サクラとフジコに意思波で連絡して、通信機で陽介と話をしました。

フジコは、「そんな通信機を何故陽介さんが持っているの?」と確認しました。

菊子は、「御免なさい。私が陽子に渡していた通信機です。最後陽子が寝たきりになっても、その通信機を取り上げてしまうと、陽子との縁が切れて、そのまま陽子が亡くなるような気がして、そのままにしていましたが、陽子が亡くなったショックですっかり忘れていました。」と返答しました。

意思波でフジコやサクラと連絡しながら、通信機で陽介と話をしなければならず、菊子は目の回る忙しさでした。

フジコとサクラが到着するまでの間に、陽介から色々と説明を聞き、その内容に驚いた菊子は、「早まらないで!騙されたと思い、一家心中するのは、数時間だけ待って!」と頼みました。

陽介は、「数時間では、何もできない。それに菊子さんの今の説明では、アンドロメダ星雲にいるのでしょう?銀河系とどれだけ距離が離れていると思うのですか?銀河系の端から端まででも光速で十億年かかるのですよ。それがアンドロメダ星雲からだと天文学的数字になります。天文だから当たり前か。アンドロメダ星雲から数時間で地球に到着するだなんてそんな夢物語はとても信じられない。今から皆で死にます。」と聞き入れて貰えませんでした。

通信内容は、フジコとサクラにも転送していた為に、到着した頭の良いフジコに相談しました。

フジコは、「今の状況では、このまま話を続けても無理ですね。地球人の血が半分流れている菊子ちゃんには無理ですが、一瞬の間に地球に到着する方法はあります。」と助言しました。

菊子には、宇宙旅行だと説明して地球へ行っているアヤメの代理として来ていたサクラが、「気休めは辞めて!私は女神ちゃんから菊子ちゃんの事を頼まれているのよ!期待持たせないで。」と怒りました。

フジコは、「気休めではなく、以前、女神ちゃんのドジで、ワープエンジン同士が干渉して地球に一瞬にして飛ばされた事を覚えていますか?呪縛の原因になった、あの事故です。私は、それを独自に研究して、空間を曲げる事により、一瞬にして地球へ行く事に成功しました。実は昨日も地球へ行って来ました。しかしまだ研究段階の為に、空間を飛び越える時に、強いショックがあります。テレジア星人には絶えられますが、地球人の血が混ざっている菊子ちゃんには無理です。」と地球に滞在しているアヤメかコスモスに依頼する方法もあるが、フジコは自分が堂々と地球に行きたくて自分が行く事にしました。

菊子は、「母の、そのドジのお陰で私が生まれたのですね。兎に角、陽介が一家心中する前に早く地球に行って助けてあげて。私も後から行くので。」とフジコに依頼しました。

陽子との通信機で、「フジコという私の仲間が直ぐに行くので、あと数分だけ待って下さい。」と陽介に連絡しました。

陽介は、「先程は数時間と言っていたのに、今度は数分ですか?そんな説明では全く説得力がありませんよ。益々信用できなくなりました。」と菊子の説明を拒否しました。

菊子は、「どうすれば信用して頂けますか?」と何とか一家心中を止めようとしました。

陽介は、「本当に数分で来られるのでしたら、それを証明して下さい。私達が一家心中する前に来れば信用します。もう二度と返信しません。」と通信を切られました。

その話をフジコに伝えて、「二度と返信しないのは、今から死ぬという意味かもしれません。準備をして覚悟を決めるのが数分掛かるので、それまでに来れば信用すると私には聞こえました。」とその通信機をフジコに渡そうとしました。

フジコは、「その通信機がなければ菊子ちゃんも困るでしょう?菊子ちゃんが陽介ちゃんと通信している間に、その周波数を確認しました。私の大型探査艦で通信可能です。」とフジコは大型探査艦でテレジア星を発ちました。

その後、菊子は、宇宙戦艦ヴィツール号は、現在母が宇宙旅行で使用している為に、サクラの大型多目的艦を借りて、地球に向けて発進しました。

火星に到着したフジコは、そこから近距離用小型探査艇に乗り換え、陽介の持っている通信機から所在地を特定して、陽介の家の庭先へ着陸しました。

フジコは窓から、お互いに包丁を持って、刺し殺そうとしている様子を発見して、玄関から入っていると間に合わないと判断して、窓ガラスを割って家の中へ飛び込みました。

窓ガラスを割って突然固体とも液体とも言えない流動体の物体が飛び込んで来て、包丁に巻き付き、一瞬にして包丁を陽介夫婦から取り上げ、流動体の物質は、見る見る人間の形に近付いて、やがては人間の若い女性の姿になった為に、陽介夫婦は腰を抜かして驚きました。

フジコは、「あなたがた夫婦が死のうとしていたという事は、まさか子供はいるの?殺してないわよね!」と透視力で、家の中を確認していました。

二階に子供が倒れている事に気付きました。娘を苦しませないように、包丁で刺されたり、首を締められたりせずに、睡眠薬を大量に飲まされていた事が幸いして、まだ息はあるようでしたので、UFOのタイムマシンで治療して、元気になりました。

陽介夫婦は、もう助からないとばかり思っていた娘が、一瞬の間に元気になった為に、その科学力に驚きました。


次回投稿予定日は、1月30日です。

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