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第百八十二章 猪熊先輩の弟子、入院する

陽子は、「確かに私だけ平気だった事はあります。電撃ですが、それは一度に放電するのですか?少しずつ放電するのですか?」と心当たりがありそうでした。

マーガレットは、「どちらでも可能ですが、何か心当たりがあるのですか?」と何があったのか知ろうとしました。

陽子は、「電池の入ってない懐中電灯を知らずに使っていた事がありました。いやに軽い為に中を見ると、電池は入っていませんでしたが、何故か点灯しました。しかし解らない事もあります。私の体重は数百キロあるようですが、健康診断で体重測定すれば六十Kgほどです。何故ですか?」と不思議そうでした。

マーガレットは、「懐中電灯の件は間違いなく電気を自由に扱えるアヤメさんからの遺伝ですね。体重については、テレジア星人は空を飛べます。陽子さんは無意識にその能力を使い、体を半分宙に浮かしたようにしていたのだと思います。話は変わりますが、修さんはどうしていますか?愛と美貌の女神ヴィーナスと結婚できたと浮かれていましたが、大丈夫ですか?」と心配していました。

陽子は、「ヴィーナスさんが女神様として崇められたのは、死人を生き返らせたからだと聞きました。ヴィーナスさんやアヤメさんが死人を生き返らせる事ができるのは本当ですか?」と信じられない様子でした。

マーガレットは、「それは一部のテレジア星人しか知らない事です。何故陽子さんが知っているのかしら。でも陽子さんや菊枝さんにもその能力が遺伝しています。死人を生き返らせる事はできませんが、死にそうな人を死なないようにする程度の能力はあります。オペ中に陽子さんが切開した所から手を入れるだけで患者の容態が良くなるなど、何か心当たりはありませんか?」と確認しました。

陽子は、「そうですね。確かにそうです。」と納得していました。

マーガレットは、「明日大学病院に行きます。私の病気も、この能力で治療してね。私は半分宇宙人なので、説明できない事は意思波で説明してね。」と依頼しました。

陽子は、「それは、私もそのつもりでした。」と返答しました。

マーガレットは、「私はこの治療で強くなったという事にして、次回のオリンピックでは渚ちゃんを少し焦らそうと考えています。私がオリンピックに出場したのは、渚ちゃん一人がオリンピックで強すぎると、薬物使用を疑われないかと思ったからです。簡単に渚ちゃんに負ければ意味がないからです。でも最終的には私が負けて渚ちゃんに金メダルを獲得させますから。」と今後のマーガレットの考えを教えました。

陽子と話をした翌日、マーガレットは大学病院で検査を受けました。検査結果を見て陽子はマーガレットに、「手足の痺れ以外に最近、尿失禁しませんか?」と問診しました。

マーガレットは驚きながら恥ずかしそうに、「何故解るのですか?」と意思波で、「そんな事は意思波で聞いてよ。通訳を通じて聞かないでよ。恥ずかしいじゃないの。」と不満そうでした。

陽子は、「ここは病院よ。何も恥ずかしがる事はないのよ。」と返答しました。

陽子は、意思波の会話を終了させて、レントゲンやMRなどの検査結果を見ながら、「首の骨の内側に出来物があります。それが神経を圧迫しています。この白い塊がその出来物です。こちらの正常な写真と比べると良く解るでしょう?正常な写真には、その白い塊はないでしょう?神経自体には、異常はなく、レントゲンも骨の陰になり発見しにくい場所にありましたので、他の専門医は、見落としていたようです。生命に関係する心臓や肺などは直ぐに麻痺せずに、生命に関係ない所から順に麻痺していきます。最後には、心臓や肺などが麻痺して、心肺停止で死にます。しかし手術でこの出来物を切除すれば、柔道はできるようになる為に、できるだけ早く入院して下さい。」と説明しました。

陽子は、検査前の診察時に母から聞いた場所を中心に透視力で確認して、原因は把握していた為に、その出来物を中心に検査し、検査結果に明確に現れていました。他の専門医も首のレントゲン撮影もしていましたが、角度により骨の陰になり、見落としていて、MRも輪切りと輪切りの間に出来物があり見落としていたようです。

陽子は意思波で、「テレジア星人の血を引くあなたでしたら、体の形を変える能力を生かせば、治る可能性はあります。今迄は、出来物の場所が解らなかった為に治せなかったのでしょう?看護師の手前、今のような説明をしましたが、どうするのかは、任せます。」と伝えました。

マーガレットも意思波で、「先日真夜中に意思波で説明したと思いますが、陽子さんの治療で治った事にして、次回のオリンピックで、渚ちゃんを少し焦らせてやろうと思いますので、ここで治療する方向で監督と相談します。」と返答しました。

マーガレットは、猪熊監督と相談の上、今日から入院する事になりました。

マーガレットが通訳と入院の説明を聞きに行っている間に陽子は猪熊先輩を呼んで、「マーガレットさんには出来物だと説明していますが、癌の可能性があります。入院して精密検査の上、手術が可能であれば、また柔道ができるようになります。彼女を暫く私に預けて下さい。このままにしておくと、一年以内に確実に死亡にます。」と説明しました。

猪熊先輩は、「この出来物を取るのでしたら、精密検査せずに、直ぐに手術できないのですか?」と確認しました。

陽子は、「今説明したように、癌の可能性が高いだけで、癌であるかどうかは精密検査で、はっきりさせます。それに癌にも色んな種類があるので、それも同時に調べます。手術が必要であるかどうかは、その検査結果で判断します。手術が必要なく内科的治療で充分対応可能な場合は内科的治療にします。手術は多かれ少なかれ危険は伴うので、確実で安全に治療できる方法で治療します。」と説明しました。

猪熊先輩がショックを隠せずにいると陽子に、「大丈夫、彼女は必ず私が助けます。先輩、私を信じて下さい。悪いようにはしませんので。先輩の大事な飯の種を奪ったりしませんので安心して下さい。」と励まされました。

今迄原因不明だったマーガレットの病気の原因を特定した陽子を信じて、マーガレットを陽子に預けました。

入院後、陽子が入院について説明後、「通訳が不在の場合は英語でも通じますか?」と確認しました。

猪熊先輩は、「ええ、この娘は、母国語と英語の二ケ国語が話せます。今迄でも通訳に知られたくない事は英語で喋っています。」と説明しました。

陽子は、「解りました。今後私との会話は英語にするかどうかは患者と相談しますが看護師は殆ど英語が喋れない為に、それも含めて患者と相談します。」と今後のコミュニケーションについて考えていました。

猪熊先輩が帰った後に、陽子が入院の補足説明を英語で本人に直接しました。

「先程は猪熊先輩がいたので説明しませんでしたが、恥ずかしいでしょうがオムツを着用しておいて下さい。人前で失禁するよりか良いと思うのでね。それと歩行時に、ふらつくようでしたら、看護師に伝えて下さい。車椅子を準備させます。それ以外に自覚症状が出る可能性もあります。何かあれば、看護師に伝えて下さい。」と説明しました。

マーガレットは意思波で、「だから、オムツとかは意思波を使ってよ。そこには男性の研修医もいるから。看護師と違って研修医は英語を喋れるのでしょう!」と不満そうでした。

陽子は、「この事は研修医にも知らせる必要がありますし、外来で診察した時も説明したように恥ずかしがる事はないわよ。しかしマーガレットさんは英語も喋れるのですね?」と感心していました。

マーガレットは、「自動翻訳機を英語に固定しただけよ。」と地球の言葉を話せる種を明かしました。

陽子は、「そうですか。ところで先程の猪熊先輩との内緒話は、テレジア星人の血をひくあなたには聞こえたでしょうが、自動翻訳機を携帯しているのでしたら、日本語でも理解できるわよね。一年で死ぬというのは嘘ですから。テレジア星人の血を引くあなたは、こんな事では死なないから安心して下さい。地球人だったら、その程度かなと思い説明しましたが、猪熊先輩には少し刺激が強過ぎたみたいですね。」と伝えました。

マーガレットは、「そうよ。監督は、私に大丈夫だと言いながら真っ青で、丸でこの世の終わりみたいな顔をしていたわよ。もっと別の言い方はなかったの?」と確認しました。

陽子は、「あまり、もっともらしい説明をしても疑われるだけですのでね。それに重症だと言う事にしておかないと、治った時に急に強くなれば不自然でしょう?」と説明しました。

マーガレットも、「それもそうね。」と納得しました。

一週間の検査入院後、矢張り癌であることが判明しました。

陽子は、猪熊先輩を陽子の研究室に呼び出し、「マーガレットさんの両親は亡くなったと聞いています。親代わりの猪熊先輩に説明します。」と前置きして癌である事を説明し、「まだ転移していない為に、手術で除去すれば完治します。マーガレットさんには告知しますか?どうしますか?」と確認しました。

猪熊先輩は、「私はマーガレットを肉体的だけではなく、精神的にも鍛えて来ました。癌である事を告知して潰れるような、ひ弱な選手に育てた覚えはありません。今後再発など彼女自身に注意して貰わなければいけない事も考慮して、告知して下さい。」と依頼しました。


次回投稿予定日は、4月19日です。

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