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第百七十八章 菊子、自治会長になる

菊子達は、翌日集合時間の八時三十分少し前にロビーに行くと、朝のニュースで、“一円を恐喝して逮捕された間抜けな不良少年達!”と報道していました。

鶴岡さんは、菊子と二人で大笑いしていると、住民が何故大笑いしているのか不思議そうに確認しました。

鶴岡さんは昨日の出来事を説明して皆で、“一円だと山分けもできないな。”と大笑いしていました。

ある住民が、「先日の銀行強盗の時もそうでしたが、菊子さんは格闘技が強いのですね。鶴岡さんは、用心棒として菊子さんを連れて行って正解でしたね。被害は1円で済みましたから。被害と言えば、その恐喝された1円は戻って来たのですか?」と確認しました。

菊子は、「警察に事情を説明した時に、1円は返さなくても良いので不良達に、“1円を笑う者は1円に泣く”と教えてあげて下さい。と依頼したので戻って来ていませんよ。私はそれを教える為に1円にしたのよ。」と返答しました。

鶴岡さんは、「本当に菊子さんがいてくれて助かりました。菊子さんは、不良達にお金の大切さを教える余裕があったようですが、私なんか怖くてガタガタ震えているだけで何もできませんでしたから、こういう時は頼りになりそうですね。」と感心していました。

一人の女子高生が、「私は塾で帰りが遅くなる時は、お母さんが迎えに来てくれますが、今度から菊子さんに頼んでも良いですか?」と菊子を頼りにしていました。

菊子は、「それは良いですが、親子の絆は大切ですので、私一人ではなく、お母さんと一緒に迎えに行っても良いですか?」と条件を出しました。

女子高生は、「はい、それで良いですのでお願いします。」と安心していました。

その後、住宅街の住民と観光地を巡り、お土産を買ったり、記念写真を撮ったりして、予約していたレストランで昼食を取り、親睦旅行を楽しみ、最後に集合写真を撮り、午後三時に帰路に着いて住宅街の旅行が終わり、菊子達は無事に住宅街に帰って来ました。

自治会の会合で、次期自治会長と役員を決める事になりました。

鶴岡さんは、親睦旅行の時に不良に絡まれて、菊子に助けられた話や、強盗を菊子が取り押さえた話をして、菊子が頼りになると住民に説明しました。

現自治会長である鶴岡さんの推薦で、次期自治会長が菊子に決まりました。

新役員も決まり、次回の自治会から、菊子が中心になり住宅街の自治会を運営していく事になりました。

鶴岡さんは、菊子が一日中、家の中で悩んでいると思い、何かに熱中すれば気を紛らわす事ができると思いましたが、男性として生きて来た菊子に女性の仕事は苦手だと思って、事前に自治会長になるように、勧めていました。

菊子は下手に断り、作り話がばれると厄介な事になると思い、引き受ける事にしたので、鶴岡さんは、自治会で菊子を次期自治会長として推薦しました。

自治会長になった菊子は、亡くなった親友の陽子と通っていた高校でバレーボール部に入っていて、当時、日本の五本の指に入る強豪チームで、指導も徹底していた為に、その経験を生かして、亡くなった親友の陽子を思い出しながら、少年・少女バレーボールチームを住宅街で結成しようと考えました。

自治会の会合で、「最近の子供はテレビゲームやパソコンに熱中して、外で遊ぶ機会が少なくなった為に、住宅街で小中学生を対象にしたスポーツクラブを結成する事を提案します。私はバレーボールの経験がありますので、私が監督になり、少年・少女バレーボールチームを結成しようと思います。」と提案しました。

役員達は、「パソコンに熱中している子供達がバレーボールを始めますかね?男の子は野球だと思いますが、女の子の事を考えると、矢張りバレーボールになりますかね。インターネットで変なサイトにアクセスして、突然現金の振込みを請求されるよりかは、ましですけれどもね。」と菊子の提案に賛成のようでした。

菊子は、「今、インターネットで現金の振込みを請求されたと言いましたが、インターネットでの請求は、そこをクリックすれば有料になる事を明記しなければならず、その表示もなく一度クリックすれば突然現金の振込みを請求される事はありません。それはワンクリックサギで、現金を振り込む必要もなく、こちらから連絡する必要もないので放置しておけば問題ないですよ。そういうのは、相手に現金を振り込ませる方法として、“会員登録が完了しました。”などと表示される事がありますが関係ありません。更に金額も、へそくりで対応できるように、数万円程度です」と助言しました。

役員は、「そうなのですか。履歴で調べて、もう一度クリックしてみれば解りますね?」とそのサイトを調べようとしていました。

菊子は、「もう一度クリックすれば、今度は法律的に、現金を振り込む義務が発生しますのでクリックしないで下さい。問題は、そこをクリックすれば現金を振り込む必要がある事を知っているかどうかです。一度目は知らなかった為に法律的に支払い義務はなく、放置すれば良いのですが、二度目は、一度クリックしている為に、そこをクリックすれば現金を振り込む必要がある事を知っている訳ですから、知っていながらクリックした事になります。」と説明しました。

結局、バレーボールの件は、役員達は賛成でも反対でもなく、暫く様子を見る事になりました。練習場所は、自治会の会合などに使用している会議室がある建物の裏の空き地を整備して、そこで練習し、ネットやボールなどは、自治会の必要経費で賄いました。ユニフォームは少年・少女バレーボールチームの今後の活動を見て決める事になり、当面各自、体操服などで練習しました。

菊子は、子供達の体を鍛える一つの方法として、家庭のゴミを、各家庭を回り集める事にしました。

住宅街は、平坦ではなく坂や階段が有り、早朝トレーニングには最適でした。重たいゴミは菊子が全て処理しました。

住民の反応は、“ゴミを出しに行かなくても良いし子供達は、早朝トレーニングで朝食が美味しいと食欲が出て元気になって来ました。”と反応が良く、ゴミ回収業者も“住宅街で一箇所に集められている為に、回収が早く済み大変助かります。”と大人気でした。

菊子の指導の成果もあり、チームはメキメキと力をつけて、練習試合でも勝つ事が多くなって来ました。そして地区大会で優勝して、遂に全国大会に出場するまでになりました。

自治会では、「全国大会に出場するのだから、ユニフォームを作ろう。」という事になり、子供達も自治会に参加してデザインを決めて業者に依頼して作成しました。

子供達はユニフォームに喜び、全国大会に出場しました。

住民が応援する中、順調に勝ち進み決勝戦にまで進みましたが、決勝戦で敗退して準優勝になりました。

住民は優勝しなくても準優勝で大喜びしましたが、菊子には気になる事がありました。

何故か、こちらの作戦が相手チームに読まれているようでした。逆に菊子も相手チームの作戦が何故か読めました。それが気になり、相手チームの監督に声を掛けました。

相手チームのメンバーは監督の事を松田監督と呼んでいました。顔は高校時代、菊子の監督でした松田監督にそっくりでした。まさかとは思いながら、後日、市役所で透視力を使い確認すると、孫でした。

師匠が同じだったので、お互いに相手の作戦が良く解ったのだと納得しました。

また、自治会の会合で色々な課題が出て来ても、テレジア星の科学力で次々と解決していきました。

しかし、アヤメの血が流れている菊子はドジな事をする事もありました。

例えば、住宅街の一角に公園を作る話が出ると、その会合で大体のレイアウトを話し合い、次回の会合で、小型UFOに透明シールドを張り、会議室の上空で待機させ、意思波で操作し、公園の立体映像を会議室に出力したので、図面に比べて大変解りやすく、変更も直ぐできるので、変更後の立体映像を即座に出力しました。

最後に納期と金額の話になりましたが菊子は、「納期は直ぐにできます。金額は知合いの業者に頼むので、安くして頂きます。」と説明したので決定しました。

小型UFOで立体映像を元に作成して、工事中、子供達が近付くと危険なのでと説明して、外部からは見えないように鉄板で覆っていました。数日後、立体映像と全く同じように完成しました。

それには皆、驚きましたが、前自治会長の鶴岡さんは、立体映像も含めて、菊子が男性だった頃の仕事上での付合いの関係者だろうと判断して、菊子の事がばれないように住民にうまくフォローしてくれました。

市の監査が入り色々と確認した所、「このような作り方は見た事も聞いた事もない。何処の業者に依頼されましたか?」と聞かれました。

菊子は、“しまった、監査の事まで考えてなかった!”と後悔して、「企業秘密だそうです。」と誤魔化しました。

監査官は、「企業秘密なのに公園を作ったのですか?納得できませんね。それでは安全性の確認ができない為に許可できません。」と指摘されました。


次回投稿予定日は、4月5日です。

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