第百七十七章 菊子、親睦旅行に参加する
マリが、「紅葉は芸能活動もしている為に、ファンの中に殺し屋が潜んでいるかもしれませんので注意してね。」と警告しました。
霧島外科医は、「おい!マリ!それは、今後も紅葉は狙われる可能性があるのか?そんな事は聞いてないぞ。何故隠していたのだ。結婚も難しくなるのではないのか!」とマリは最初から解っていたようなので怒っていました。
マリは、「最初にそれを言えば、あなたは反対するでしょう。結婚は大丈夫でしょう。私も結婚できたのでね。」とあまり気にしていないようでした。
紅葉は、「お父さんみたいな物好きがいなければ、結婚はどうなるか解らないわよ。」と結婚についてはタレントなので深く考えていないようでした。
霧島外科医は、「マリ、俺が物好きで良かったな!そうでなければ、お前なんか一生結婚なんかできなかっただろうな。」と笑っていました。
マリは、「あなた、自分で物好きだと認めるのね。」と笑いながら言い返しました。
霧島外科医は、「物好きで悪かったな!」と不愉快そうでした。
富士夫が、「まあまあ、良いじゃないか、この記事はそういう事で。紅葉も詰まらない事を言うなよ。誰が撃墜しても良いじゃないか。おかげで夫婦喧嘩になったじゃないか!離婚したら紅葉の責任だぞ。マスコミの目があるから、困るのは女優志願の紅葉だろう。」と余計な発言をしないように忠告しました。
紅葉は、「解ったわよ。私が悪かったわよ。小さい事に拘って。」と納得していました。
富士夫が、「母ちゃん、紅葉は良いらしいから、この記事は、謎のパイロットは富士夫と他一名と訂正して。」と今まで真面目な顔をしていた富士夫が笑いだしました。
紅葉は、「一寸待ってよ!兄ちゃんずるい!」と騙されて怒っていました。
富士夫に笑いながら、「冗談だよ、全くお前はいつまでも子供なのだね。」と笑われました。
マリは、「只の夫婦喧嘩で離婚などしないわよ。紅葉達の名前が公表されると危険だからよ。」と二人の危険意識が低いようなので忠告しました。
紅葉は、「悪かったわね。いつまでも子供で!」と拗ねていました。
一方菊子と陽介は、何事もなく暮らしていましたが、ある日住宅街で土曜日の朝出発して、日曜日の夕方に帰る一泊二日の親睦旅行に出掛ける事になり、菊子達は朝食を済ませて九時に住宅街の広場に集まりました。
鶴岡さんは点呼を取り、「戸締りやガスの元栓などは大丈夫ですね。」などと住民に確認して、貸し切りバスで出発しました。
旅館に到着後、風呂や夕食までの時間にゲームなどをして、親睦を深めた後に、鶴岡さんは、今後の予定を説明しました。
「この後、自由時間となりますので風呂や食事など自由にして下さい。明日は各自朝食を済ませて八時半にロビーに集合して下さい。点呼を取りチェックアウトして、当日の予定と注意事項を説明の上、九時出発で観光地を巡り、夕刻には住宅街に帰ります。」と説明して解散しました。
鶴岡さんは、夕食後窓を開けると、外は涼しく気持ち良さそうだったので、夕涼みに行こうと思いましたが、暗くて怖かった為に、菊子を用心棒代わりに連れて行こうと思い、誘う事にしました。
菊子達の部屋では、陽介が菊子の食欲がなかった為に心配していました。
菊子は、「私は半分肉食だから、野菜や果物が多く肉の少ない食事は苦手です。」等と雑談している所へ鶴岡さんが菊子を散歩に誘いに来ました。
菊子は、「私は、鶴岡さんと散歩に行って来るので、家族水入らずでゆっくりと過ごして下さい。」と鶴岡さんと散歩に行きました。
暫く散歩していると、地元の不良少年二人が、菊子達が女二人で歩いている事に気付いて、尾行して、人気のない場所で遊ぶ金欲しさに、鶴岡さんと菊子を襲いました。
不良少年達は、「おい!金持っているのだろう。可哀想な貧乏人の俺達に少し恵んでくれよ!」と菊子達を脅しました。
菊子は透視力で尾行されている事は気付いていた為に、“矢張りそうか。”と思いました。
鶴岡さんは脅えながら、お金を出そうとした為に菊子がそれを止めて、「私達は観光旅行に来ていて、ただ散歩していただけです。散歩する時には、お金なんか持って来ないわよ。」と笑っていました。
不良少年達はニヤニヤしながら、「本当か?散歩の途中で咽喉が乾いてジュースが欲しくなれば、自動販売機で買うだろうが。そのお金を少し恵んでくれても良いじゃないか。」と菊子達に迫ってきました。
菊子が、「小銭で良いの?」と一円玉を渡しました。
不良少年達は、暗かった為に一円玉だとは気付かずに受け取ると、その軽さや肌触りから一円玉だと気付いて地面に叩きつけて、「一円じゃないか!手前なめやがって、ぶっ殺されたいのか!もっと持っているだろうが、出せ!」と切れました。
菊子は、「あれっ?先程、“少し恵んでくれ。“と言っていたじゃないですか?少しで良いのでしょう?」とからかいました。
不良少年達は、「このガキ!俺達を馬鹿にしやがって、そっちがその気なら、こっちにも考えがある。身体検査して調べてやる。」とニヤニヤしながら迫ってきました。
菊子は、「何か、その笑いは、お金以外に別の目的がありそうですね。」と冷静でした。
不良少年の一人が、「良く解っているじゃないか姉ちゃん、それなら話は早い。今から身体検査するから服を脱いで素っ裸になって貰おうか。何処から検査して欲しい?」と菊子に手を掛けた瞬間、菊子はその手を捩じ上げました。
手を掛けた不良少年は、「痛てて、このガキ!何しやがる!放せ!馬鹿野郎!」と慌てました。
ニヤニヤしていた、主犯格の不良少年が、「このガキ!」と殴りかかりましたが、その不良も腕を捩じ上げられました。
菊子は、「二人とも格好だけで、何もできないのね。」とそのまま突き飛ばすと、二人とも顔から倒れました。
不良少年達は、「このガキ!よくもやりやがったな!今は油断していただけだ!格好だけかどうか見せてやる!」と二人で同時に菊子に殴り掛かりましたが、全然歯が立たず、何度襲いかかっても結果は同じでした。
不良少年達は、鶴岡さんを襲おうとしましたが、菊子の陰に隠れていて襲えませんでした。
不良少年達は息切れして、菊子の強さに驚いて、「覚えていろよ!」と逃げようとしました。
菊子と不良少年達が争っている間に鶴岡さんが携帯で警察に通報していて、駆け付けた警察官に逮捕されました。
菊子は、警察に事情を説明して鶴岡さんに、「鶴岡さん、ああいう類には絶対にお金なんか渡したら駄目ですよ。一度渡せば、何度でも、しつこく毎日のように来ますよ。達の悪いのは、帰りに尾行されて、住宅にまで押しかけて来ますよ。最初にきっぱりと断る事が大事なのですよ。」と助言しました。
鶴岡さんは、「私は菊子さんみたいに強くないですから、追い払えないです。」とそういう場合はどうすればいいのか菊子に相談しました。
菊子は、「その場合は、大声を挙げながら逃げなさい。“三六計逃げるが勝ち。“と言うでしょう。それは、闘う方法は三六通り有りますが、逃げるのが一番良いという意味なのよ。最悪逃げられなかったたら、一度だけ、痛い目に遭うのが良いか、毎日お金をせびられるのが良いかは、鶴岡さんの考え次第です。私はどちらにせよとは言いません。」と返答しました。
鶴岡さんは、「でも最近の不良は昔に比べて乱暴になっていて、重症を負わされたり、最悪殺されたりする場合があると聞きました。」と心配そうでした。
菊子は、「そうね、それは確かに難しい問題ね。それは、その場の雰囲気で各個人が判断するしかないわね。でもお金を渡せば助かる保証は何処にもないわよ。口封じに殺される可能性もあるわよ。撃退する自信がなければ人気のない場所へは一人で行かない事ね。」と忠告しました。
鶴岡さんは、「今回は一人ではなく菊子さんと二人でしたが、襲われました。一人でなくても襲われるのは同じではないですか?」と疑問に感じました。
菊子は、「それは単に確率の問題よ。一人の方が襲われる確率が高いのよ。人数が多くなればなるほど、襲われる確率は減ります。複数人数でも襲われる時は襲われるし、一人でも襲われない時もあります。只それだけの事です。」と説明しました。
鶴岡さんは、「どうしてもその道を通らなくてはならない時に、男の人が後から来たり、前から来たりした時は怖いけれども、そのような時は、どうすれば良いの?」と参考の為に聞いておきました。
菊子は、「今の話に落とし穴があります。以前、女性を油断させる為に女装して近付いて女性を襲った男性がいました。女性だから大丈夫だと思っていると、落とし穴に填まりますよ。誰かに尾行されていると思えば、人の大勢いる所へ行きなさい。先程も言ったように、人が大勢いれば襲いにくいものよ。もう少し若ければ格闘技を習う方法もありますが、格闘技に自信がない場合は、下手すると、相手を怒らせて逆効果になる事もある為に、格闘技は自信がなければ使わない事ね。」と返答しました。
その後、旅館へ帰り、その日は無事に終わりました。
次回投稿予定日は、4月2日です。




