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第百七十章 渚、格闘技の達人とばれる

渚は小百合と逃げながら、「鉢合わせした時は、エレベーターの方が危険だと言ったのよ。これが階段ではなくエレベーターだったら、小百合は今頃トラの、お昼ご飯になっているわよ。階段だったからこれだけ逃げる時間があったのではないですか?この間に何か対策を考えられると言ったのよ。でも小百合は不平不満ばかりで何も考えていないようなので、もう時間の問題よ。」などと喋りながら、売り場へと逃げ込みましたが、トラの早さには敵わず、追着かれました。

渚は小百合を守る為に突き飛ばして、トラを投げました。

その後、トラと格闘しようとしましたが、小百合が巻き添えになる可能性があった為に、渚のすぐ横に陳列していた商品のドライバーで、トラのノドを一突きしました。

トラは呼吸困難になり、もがき苦しみ出したので渚は、「私は小百合と違い、トラと闘える武器がある場所に逃げたわよ。今の間に逃げよう!」と渚は小百合と逃げました。

デパートから出ると、パトカーでトラを捜していた警察官が、血だらけの渚を見て声を掛けてきました。

渚と小百合が今の出来事を警察官に説明すると、警察官は本部に無線連絡しました。

暫くすると、警官隊が銃を構えてデパートへ突入しました。トラはまだ苦しんでいた為に、麻酔銃で眠らせ捕獲後、獣医師が手当てしました。

その後、小百合は、「私が大きい方をしていた事まで説明する事ないでしょう。トイレに入っていたので逃げ遅れたと説明すれば良いのに。」と怒っていました。

渚は、「警察に職務質問されたのは始めてだったので緊張していたのよ。でもお尻を拭かずに慌てて飛び出したとは説明しなかったわよ。」と返答しました。

小百合は、「ちゃんと拭きました!でも何故私に聞かずに渚に聞いたのだろうね。偶然かしら?」と考えていました。

渚は、「私の服に血がついていたからよ。」と返答しました。

この一件はテレビや新聞で大きく報道されて、学校でも噂になりました。

このニュースをテレビで見た丸東組組長の茂は、陽子の時と同じように、渚の護衛の為に学校の近くに組事務所を構えました。

渚は母と同じ事にならない様に、大人しくしていましたが、結局、同じ事になり、ショックを受けていました。

学校では、渚がトラを投げたと噂が広まり、運動神経が抜群だと判断した各スポーツクラブから勧誘されました。

クラブ活動はしないと断ると、バレーボール等のチームワークが必要な団体戦は無理ですが、格闘技などの個人戦は試合だけでも力を貸して欲しいと頼まれて、柔道・カラテ・剣道については試合のみ出場する事になりました。

大日本高校は有名な受験校で授業のレベルも高水準で、毎年脱落する生徒がいますが、その中で毎年一人か二人程、ぐれてしまう生徒もいました。

渚のクラスメートがぐれてしまい、「丸東組に行く!」と下校途中に焼糞になっていました。

渚が、「辞めときなさいよ。どうせあんたなんか使い物にならないわよ。」と止めました。

「五月蝿い!女は黙っていろ!」と渚に馬鹿にされたので怒って、丸東組に飛び込んで行きました。

渚は、「手の掛かる子ね。」と組員に電話しました。

「今飛び込んで行った高校生は私の同級生なので乱暴せずに、一寸脅かしてやれ!腰抜けなので直ぐに尻尾を巻いて逃げ出すから。」と指示しました。

暫くすると、組員から渚の携帯に着信があり、「姉さん、腰を抜かし失禁して立てなくなりましたが、どうしますか?」と相談しました。

渚は、「しゃーないな!本当に手の掛かる子ね。今行くから、そこで待たしておけ!」と丸東組の事務所に向かいました。

渚が組事務所へ入ると、全員総立ちになり、「姉さん!」とお辞儀して挨拶しました。

渚が組員の胸倉を掴んで、「誰が失禁するまで脅かせと言った?このタコ!それにあんたもあんたよ。一寸脅されたくらいで子供みたいに失禁して立てなくなるなんて、情けないわね。そんなのだから、一寸先生に叱られたくらいで駄目になるのよ。ほら、もっと確りしなさい。」と腕を引っ張り立たせようとしました。

生徒は、「えっ!梅沢さん、このやくざの事を知っているの?」と予想外の事実を信じられなくて確認しました。

渚は、「此奴は私の子分よ、あんた、本当にやくざになるつもり?それだったら、私が仕込んでやっても良いけれども、商売柄命の保証はしないわよ。どうする。顔が真っ青だよ。」と笑っていました。

組員は、「姉さん、こんな腰抜けにやくざは無理ですね。」と助言しました。

渚は、「確かに私もそう思います。うちの組員に殺される前に早く帰りなさい!」と脅すと、その生徒は慌てて逃げて行きました。

組員は、「姉さんの同級生は、あのような腰抜けばかりですか?」と呆れていました。

渚は、「そうね、学校自体受験校で、勉強一筋の青二才や常盤早苗のようなブリッコのお嬢さまばかりよ。今の生徒がその良い例よ。」と説明しました。

ある日、格闘技の試合の協力依頼があった為に、渚が出場しました。勝ち抜き戦では、渚は順調に勝ち進み、近畿大会で優勝して、全国大会に出場決定しました。

渚は全国大会でも順調に勝ち進み、受験一色の高校なので、格闘技の全国大会において決勝戦にまで残ったのは始めてで、学校あげての応援の中、優勝しました。

高校一年の女子高生が、柔道・カラテ・剣道の試合で優勝したと学校内部で話題になりました。

しかし渚は、花咲姉妹が試合に出場していなかった為に不満でした。

そんな中、先輩から、「私達の高校には有段者はいませんが、あなたなら段を取れるかもしれませんので、一度挑戦してみれば、どうですか?」と勧められました。

渚は、「私、柔道二段、カラテ二段、剣道二段です。」と返答しました。

先輩達は、「えっ!?渚さん有段者だったの?それも二段?」と驚いて再確認しました。

渚は、「中学生でも何人も有段者はいるわよ。二十歳までは二段までしか取れないから、高校生は全て二段以下ですけれども、実力では三段や四段の高校生もいるわよ。あまり勉強ばかりしていると将来後悔するわよ。若い間に鍛えてついた筋肉は一生ものよ。歳をとってから鍛えると、確かにその時には筋肉がつくけれども、直ぐに元に戻りますよ。肝心な働き盛りの時に体力がなくて、階段を昇れば息切れして、本を読もうとすれば視力も落ちていて、書類も読めないような状態になるわよ。勉強して良い大学に入学するのは良いけれども、その後に何もできなくなり、何の為に今迄勉強してきたのか解らなくなります。その時に気付いても手遅れですよ。医者である私の母の説明によると、スポーツで老化現象はある程度遅らせる事が可能だそうです。スポーツが苦手みたいですけれども、水泳でもマラソンでも一年に一度だけでしたらできるでしょう?例えば、今年は何キロ走れたとか何メートル泳げたとか記録しておけば、老化現象が始まれば直ぐに気付くので、それから毎日スポーツをすれば違うらしいですよ。それをそのまま放置しておくと、老化現象は雪だるま式に加速していき、スポーツをしたくらいでは止まらないらしいですよ。」と説明しました。

ある朝、渚が登校すると、同級生の一人が、「柄の悪い不良高校生らしい数人に、“受験校は黙って勉強だけしていろ!格闘技の試合で優勝なんかされると、俺達の目立つ場所がなくなるだろうが!“と脅されて何人か連れて行かれた。やくざみたいな人と一緒だったので、先生や警察に通報すると、”チクッた。”と仕返しされそうで、怖い。ドラマで見た事があるけれども、落とし前だとか言うのでしょう?どうしよう。」と格闘技の達人と解った渚に相談しました。

渚は、「そのやくざみたいな人の特徴は解りますか?車のナンバーとか、バッジを着けていたとか。」と不良高校生は使い走りで、そのやくざの事を知ろうとしていました。

一度胸倉を掴まれて助かった女生徒が、「バッジは、確かこんな形をしていました。」とノートにバッジの形を書いて説明しました。

渚は、“銀竜会だわ“と思い、携帯で丸東組に連絡して、「私の同級生が銀竜会に拉致された可能性があるので、確認して!」と指示しました。

同級生達は、「何故、銀竜会だと解るの?近くには丸東組もあるわよ。でも、こそこそと調べてチクッたと言われたらどうするのよ。」と心配していました。

渚は、「そのバッジは銀竜会のバッジよ。丸東組のものではないわよ。もし、チクッたと言われれば、チクッたのは私だと言えば良いわよ。後は私に任せて、この事は忘れて。」と助言しました。

同級生達は、怖くて、何故渚が銀竜会のバッチを知っているのかまで気が回らず、渚が電話したのは、格闘技の道場仲間だと思っていました。まさか丸東組に連絡していたとは夢にも思いませんでした。

下校途中に、組員から渚の携帯に着信があり、「銀竜会の本部は敷地が広く特定できませんでしたが、高校生が数人連れ込まれたと目撃情報がありました。」と報告しました。

渚は、「確証はないが、早くしないと危険で拉致された同級生の中には女性もいるので、性的悪戯をされる可能性もあります。当って砕けろよ、皆!喧嘩仕度して銀竜会に集合しろ!殴り込みよ!」と組員に指示しました。

喧嘩が三度の飯より好きな組員は、もし違っていればどうするのか等は考えずに、「おい、野郎ども!喧嘩だ。行くぞ!」と全員喧嘩仕度して、組事務所を飛び出して行きました。


次回投稿予定日は、3月2日です。

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