会議
「ところでぇ、お供の仕事ってぇ、なんなのぉ?」
「知らん。」
勢いで仕事を請け負ったが仕事内容は全然知らなかった。
犬養達は目の前でスパゲティとピザをガツガツ食べている桃を見た。
旅のために両親が託した金をみんな、赤十字に寄付してしまったらしく、今まで何も食べていなかったそうだ。
他人のために自分を犠牲にする信念は素晴らしいが、ここまでくると、馬鹿としか言いようがない。
おかげで、犬養の財布もスッカラカンである。
「嬢ちゃん。お供の仕事ってなんなんだ?」
「ほぉふへふへぇー。はほぉへふぁ、ふぁふぁふぃひ「飲み込んでからでいいぞ。」
……ごくん。
「ぷはー。すいません。こんな豪華な食事は久しぶりでして。特にこの薄っぺらい丸いのは絶品ですね!これが噂に聞く、南蛮のぴっつぁというやつですか!」
いつの時代から来たんだよ。というツッコミは飲み込んで、犬養が話を促した。
「で、仕事内容は。」
「そうでした、そうでした。仕事内容はいたって簡単。私について来てくれるだけでいいんです。」
「それだけっすか?」
「はい。」
「悪と戦ったりは?」
「必要ありません。」
ばっさり断られて猿飛はしょんぼりした。
「鬼退治にお供が3人必要というのは、初代の決めた掟のひとつです。ですが、いきなり庶民に戦えと言っても無理な話でして。最近はついて来てもらうだけでいいんですよ。
形骸化ってやつですね。」
「なるほどっす!」
猿飛は納得したようだった。
桃は1人で5人前のピザとスパゲッティを完食した。
しかも、デザートまで頼んでいる。
「ところで、嬢ちゃんの倒す悪ってのは誰なんだ?」
「よくぞ聞いてくださいました!私なりに京都で暗躍している組織を調べてきました。その中の一つを倒そうと思います。」
桃は小さなファイルを渡した。
犯罪者ノートというらしい。
1ページ目を開くとそこに載っていたのは、見慣れた文字だった。
「そのキビキビ団とかいいと思うんですよ。リーダーの犬養ってやつは狡いカツアゲばかりしているそうです。」
「は…、いぬ…よう?」
「はい、犬養です。」
「あ、あー。犬養ね、うん。あいつは悪いやつだと思うよー、うん。」
犬養は動揺を隠しきれていない。
「やっぱりそう思いますよね!犬飼さん!
「でも、このキビキビ団は方向性の違いで解散したらしいぞ。ほ、他のチームにしたらどうだ?」
「そうなんですか。うーん。」
どうやら桃は犬養を犬養と読んでいるらしい。目の前の男がその犯罪者であるとはみじんも思っていないようだ。
馬鹿でよかった。
犬養は、ほっと溜息をついた。
「じゃあ、こっちにします。」
桃が新たに選んだ敵も一筋縄ではいかない曲者だった。
「…これは…ブラックファング…。」




