解散…し…
「うーん。せっかく都に来たのに。良いお供が見つからないなぁ。」
門をくぐってきたのは高校生くらいの少女だった。
しかし、その姿は珍妙だった。
腰に刀をぶら下げ、赤い羽織に下駄を履き、背中に幟を背負っている。
まるで、物語から出てきた桃太郎のようであった。
「あれは…なんすかね、ボス。」
「見た目的にはぁ〜桃太郎?みたいなぁ。」
「ま、まだ桃太郎と決まったわけではない!」
犬養は草むらを飛び出してその少女に近づいた。
雉羽田、猿飛も後に続く。
「そこのお嬢さん。ちょっといいかな?」
犬養はその少女に話しかけた。
「はい!なんでしょう?」
少女は屈託のない笑顔で答えた。
「いやー、この現代にはあまり見ないような格好をしてるもんで、何者なのかと。」
「ああ!これのことですね!私、桃田家28代目桃太郎の桃田桃です!」
…沈黙。
桃の言葉にキビキビ団はぽかんとするしかなかった。
「あ!それだけじゃ分かりませんよね。代々桃田家は17歳になると、悪を倒す旅に出るという掟があるのです!これは初代桃太郎が決めた掟です。私も今年17歳になりまして、岡山から上京してきた次第です!」
「…つまり、あんたは桃太郎なんすね?」
「はい!28代目ですけど!」
「ボス、どうやら賭けは私たちの勝ちみたいですねぇ。」
雉羽田は満面の笑みだ。
「…約束したことはしょうがねぇ。勝ちは勝ちだ。キビキビ団は本日をもって、解散する。」
お世話になりました。と雉羽田と猿飛が言う。
それぞれの事情があってキビキビ団を辞めたいと言っていたが、やはり解散するのは寂しいのだろう。
「うおー!!犬養さん離れても、俺があんたを慕う気持ちは変わらないっす!!」
「私も!アイドルになって有名になっても、犬養さんのことは忘れませぇん!」
感動の別れをしている時に、誰かが口を挟んだ。
「あの、ちょっとよろしいですか?」
「ん?なんだ、嬢ちゃん。」
「実は私、旅のお供を探してまして。お供には3人必要なんです。あなた達になってほしいなーと。」
誰も、私の話に耳を傾けてくれないんです。
と、桃はしょんぼりした。
「残念だが、俺たちは今方向性の違いで解散したところなんだ。他当たってくれ。」
「そうですか…。」
「すまんな。」
そして、犬養達はそれぞれの帰路を歩き出した。
「協力していただけたら、桃田家秘伝の食べると世界一大切なものを手に入れられるきびだんごをあげようと思っていたのに…。」
その言葉に犬養達は反応した。
一瞬で桃の前に戻ると、3人で相談を始めた。
ごにょごにょ。
「世界一大切なものを手に入れられるきびだんごってなんすか!!」
「何がもらえるんだろぉ!」
「馬鹿か、お前ら!金に決まってるだろ!」
「興奮します!金さえあれば…!」
そこでおのおの、金を手に入れたときの妄想を始めた。
「とにかく、これは手に入れない手はない!最後に一仕事してから解散しても遅くないんじゃないか。」
『はい!』
「お嬢さん。その仕事承ったぜ。」
「ほ、本当ですか!なんて優しい人たち!ありがとうございます!」




