ヒーロー
「残念ながら、お別れの時間だ。」
そう言うと鬼頭は犬養のポケットに拳銃を差し込んだ。
しかし、縛られているせいで拳銃には手が届かない。
「どうやら、犬養のおっさんは嬢ちゃんに感化されて人助けがしてぇみたいだからな。俺たちの代わりに捕まってくれよ。」
(そういうことか。俺を犯人に仕立て上げるつもりだな。)
「誰がお前らのためなんかに!」
「じゃーな。犬養さん。」
鬼頭が裏口から逃げ出そうとした時、何処からか聞き覚えのある声がした。
「ちょっと待ったぁ!」
見ると裏口の前に仁王立ちしている桃がいた。
「聞かせてもらいましたよ。全部ね。」
「え、聞いてたのか!?どこから!!?」
犬養が叫ぶ。
なかなか恥ずかしいセリフを連発してしまったからだ。
「一本筋の通った正義のところからです。」
よりにもよって一番聞かれたくないところだった。
「犬養さん。疑ってすいません。やっぱり貴方は悪い人じゃなかった!今すぐ助けます。」
桃は腰に差していた木刀を抜いた。
「助けるたって、この人数を相手にどう戦うんだ?」
鬼頭が命令すると、ブラックファングの手下が一斉に桃を取り囲んだ。
「負けません。」
桃はひと息おいてから、一瞬で周りの手下を弾き飛ばした。
鬼神のような強さだ。
「私は初代桃太郎よりつよいんです!」
(??会ったことあるんだろうか。)
その時犬養は耳元でガチャリと嫌な音が鳴るのを聞いた。
鬼頭が犬養に銃口を突きつけたのだ。
それを見て桃が動きを止める。
「たったこれだけで動けなくなるんだから、正義の味方ってのは弱い生き物だな。」
「ぐ!」
「人を見捨てる勇気もないんだろ?滑稽だな。」
ブラックファングの手下達が起き上がってくる。一気に形勢逆転だ。
「嬢ちゃんも、正義の味方なんてしてなければもっと長く生きられたものを。」
その時銀行の外でパトカーのサイレンが鳴り響いた。




