すっごいピンチ
「よく、此処がわかったなー?まさか、強盗先がバレるとは思ってなかったぜ。犬養さんよぉー。」
「俺は天才だからな。」
犬養はドヤ顔をする。
「その格好でドヤ顔されてもなー。」
鬼頭のニヤニヤ顏を見ていると殴りつけたくなってきた。
たが、それはできない。文字通り、手も足も出ない。
犬養はブラックファングの手によって縄でぐるぐる巻きにされていた。
ようは、銀行にやってきて捕まったのだ。
「まだまだだな。鬼頭。お前さっき言ってただろ。」
そういってアジトでの鬼頭のセリフを思い出した。
『俺はこれから仕事があるからな。そこでゆっくりしといてくれ。戻ったら始末してやるよ。ついでにお土産にきび団子でも買ってきてやるよ。』
「きび団子とお前は言ったな。この京都できび団子なんてマニアックな物を購入できる店はただ一つ!温暮露薬局だ。その近くの銀行に来てみたらズバリだ。」
「捕まってちゃあ、元も子もないけどな。」
「ぐ。」
桃も来ていると思って、正面から突入したのがいけなかった。
まさか、桃がいないとは。
そして、ものの3秒でつかまってしまった。
もともと、キビキビ団の参謀担当なので戦闘力は雉羽田より低い。
銀行には犬養の他にも数人の銀行員がいた。
全員目と口を塞がれて拘束されている。
「お前ら、チンケな盗みしてるな。たしかに、閉店した銀行を襲えば、事件に気づかれにくい。だから、警察が来る頃にはとっくに逃げおおせてるって寸法か。」
「ちんけな盗みとは酷い。頭を使っているといってほしいね。それに、犬養さんのカツアゲじみた犯罪よりずっと、高尚だ。」
「高尚な犯罪なんて、ない。犯罪は犯罪だ!こんなことはやめろ!」
「!!。まさか犬養のおっさんに説教されるとはなぁ。」
鬼頭は犬養の襟首をつかんで持ち上げた。
「前までは弱小ながらも、立派な犯罪者だっただろ。自分の欲に忠実な。」
「俺は気づいたんだ。桃と出会ってから。あの子の真っ直ぐな目を見ていると、本当に大事なのは金じゃないって気がしてくる。」
「金が一番に決まってるだろうが!!金さえあれば、なんでも手に入るんだぜ?物も人も地位も名声も夢もな。」
その言葉を聞いて犬養は笑い出した。
「くくくく。それを本気で言ってるなら、本気で馬鹿だな。」
「何!?」
「金で手に入れたものなんか、所詮偽物なんだよ。今日…たった半日にも満たない僅かな時間、あの子と過ごしてみてわかったよ。あの嬢ちゃんの中には一本筋の通った正義があって、それを守るためならどんな事も顧みない馬鹿だってことがな。あんなかっこいいやつ見たことねぇぜ。それこそ全財産ほっぽってでも本当の仲間にしてほしいくらいな。」
「しょぼい願望だな。見たところお前は一人のようだが、嬢ちゃんとは仲違いしたらしいな。似合わねぇことはするもんじゃない。所詮俺たちと嬢ちゃんとは住む世界が違うのさ。」
その時、ブラックファングの手下の一人が鬼頭に話しかけた。
「ボス!詰め終わりました!」
「そうか。」
鬼頭は立ち上がると、意地の悪い微笑みを浮かべて犬養を見た。




