信じたい
なのに。
彼らは犯罪者だった。
悪だった。
人を傷つける人間だった。
信じていたのに。
「人ってのは、自分のエゴで生きる動物だからなー。」
桃太郎が言った。
尤もだ。
「信じても、裏切られるのがオチさ。」
「でも、ま、誰も裏切らない人間なんているはずないんだけどねー。だれかの言うとうりにすれば、別の誰かを裏切ることになるから。」
「でも、桃。いいこと教えてやるよ。」
「確かに。犬養という男はおまえを欺いた。たとえ、口に出してはいないとしてもだ。」
「でも、それは、許されないほど悪いことか??」
「犬養ってのは、聞きゃあ桃に飯をおごってくれたんだろ?それに、話を聞いてくれて、お供になってくれて、それに何より桃の話を信じてくれた。」
「その良いことが帳消しになるくらい、犬養は悪いことをしたのか?」
「人は誰だって裏切るんだ。それでも、人が信じあうのは、そいつのことを信じたいと思ってるからだ。あいつは悪い奴じゃない。きっと本当は良い奴だってな。」
「だから、人は道を踏み外しても、また前を向いて歩いていけるんだ。誰かが自分を信じ続けてくれている限りな。」
「知ってるか?信じてもらえない奴は、誰の期待にも答えられないんだぜ?」
「それに。せっかく手に入れた仲間だ。たった一回騙されたからなんだってんだ?
それだけで、切り捨てられるほど仲間ってのは安くない。」
「犬養は、おまえの言うことを信じてくれたんだろ?じゃあ、おまえがすることはひとつだ。」
「信じるんだ。仲間を。」




