モノホンです
「え!」
桃は上を見上げて固まった。
頭の上には、髷を結ったの美男子が。
日の丸鉢巻に陣羽織、日本一の幟を立てた、まさに桃太郎と呼ぶべき姿だ。
沈黙…
自称、桃太郎は桃のことをじっと見つめている。
「何か、期待してます?」
「なんじゃ。今回は叫けばんのか。黄色い悲鳴を待っとるんだが。」
今日は叫びすぎた。
もう、驚くのにも慣れた。
「誰ですか。」
「勿論、初代桃太郎でござる。ご先祖様でござるよ。」
「……ござる?」
「ござるでござる。」
「……………無理してませんか。」
「…………………ばれた?いや〜幽霊になってもう七百年くらい経ってるし、現世の世界も見まくってるし、今時ござる口調なんてはなせねーよ。まあ、そこは俺の演出というか、みんなの期待を裏切っちゃ悪いかなーなんて。」
そう言って桃太郎はちらりと桃を見る。
ずいぶんとお喋りなご先祖様だ。
「それで、桃太郎様がどうしてこんな所へ。」
「あ、信じてねーな。」
おい、ポチ!桃太郎が叫ぶと桃の前に急に犬が姿を現した。
それも空中にだ。
「うわわわ!!い、犬が浮いてる!!?」
「俺のお供の犬だ。」
空中で戯れる犬と桃太郎。
「猿と雉はもう転生しちまってなー。今は犬しかいないんだ。どう?信じた?」
桃はこくこくと頷いた。
「も、も、も、桃太郎様がどうしてこんな所へ参られたのですか?」
桃はしっかりと座り直した。正座だ。
桃太郎は、寺の本殿の欄干に腰掛けている。
「堅ぇなあ。もっとタメでいいのに。」
「無理です。目上の人には敬語!これは基本です!」
「まあ、いいや。俺がここに来た理由は1つ!桃が1人で悪を倒せるか心配だから。」
「ご先祖様…。」
桃はうっとりとその姿を見つめた。
「とか、そんな理由ではなく。ただ、暇だったからだ。」
ずこー!




