河合秀俊の転生
真っ白な部屋の次は真っ黒な世界か。だけど話し声が聞こえる。俺の知らない言葉だ。何を話してるんだろ?だがその世界はすぐに終わった。
「奥様。産まれました。男のお子さんでございます。」
「あなた、産まれた…産まれたわ」
「あぁ、産まれ…たな」
周りがよく見えない。産まれたばかりて見えてくるのはこんな感じなのか。
お、目が慣れて来たのかベッドの隣で腰を抜かしているイケメン男が俺の父親かな?俺より若い感じがするが…こっちが母親かな?こっちも若いし美人だな。で俺を抱いているのはメイド服か?じゃあメイドさんか。
「旦那様。お子さんを抱いて上げてください」
「ターチス、抱いて見せて」
「お、おう」
おぼつかない足取りで俺を抱く。イケメンが無様だな。なんて考えても声が出ない。イケメン、俺を抱く権利をやろう。
「俺の…子ども。ミラット、俺たちの子どもだ」
「えぇ、見ていますわ」
ここは子どもらしく泣いとくか。子どもは泣くのが仕事って言うし。そう考え大声を出してみる。
部屋の中は赤ちゃんの泣き声が響き渡る。しかしみんな嬉しそうだ。
「やはり奥様がいいのですかね?」
ボソッとメイド
「ミリス、聞こえてっぞ」
「これは失敬」
泣きながら耳を傾けるがやはり言葉がわからない。日本語ではない。てか聞いたこののない言葉だ。
「ターチス、いいからその子を私に」
父親らしき人から母親らしき人へ俺が渡る。
…ふむ、デカイ。抱かれてわかる。貧乳はステータスです。希少価値です。とは言うもののやはりデカイに越した事は無い。いつしか泣く事も忘れていた。
「ターチスほら見なさい」
デカイ胸を張る。胸が顔で押される。
天国への扉は開かれる。のだが、不思議と興奮しない。やはり親だからか?
「奥様に抱かれている顔は旦那様そっくりでございます」
「やっぱり血か!胸が?その胸がいいのか?その胸はすでに俺様のものだ」
「ターチス黙りなさい」
ピシッと叱る。ターチスは肩を落として落胆している。
「奥様。ご子息のお名前は?」
テレサが息子の顔を見て告げる
「この子の名前は…ダイナット・ムスタング」
その日河合秀俊はダイナット・ムスタングとして新たな人生を歩み始めた。