河合秀俊
空から人が落ちてくるのをただ真下で見ていた。そんな事どうでもよかった。
ラ◯ュタの女の子みたいにゆっくりじゃない。人がビルの上から落ちてくるのはとても速い。その気になれば避けられる。だけど避ける事すらしない。
「ぶつかれば死ねるのかな?」
たかが23年生きてきたが大した過去は持ち合わせていない。そのせいなのか走馬灯は流れない。
その一言を呟いた時秀俊はぐしゃりと潰れた。地面のアスファルトは脳みそだか内臓だかを二人分派手にブチまけて人気のない路地を真っ赤に染め上げた。
河合秀俊はごく普通の家庭に生まれた。
親は初めての子供。そのせいか沢山の習い事を始めさせた。
秀俊は一言で言えば天才だった。何をやらせても才能を発揮した。もちろん勉強面でも。
私立の小学校、中学校、高校と進学した彼だが周りに友人と呼べる存在はなかった。秀俊は周りと合わせるのが嫌だった。何故自分のわかっている事を学ばなければならないのか不思議で仕方なかった 。そしてそれを必死に解いているクラスメイトも何故こんな事が分からないのかがわからなかった。
そんな姿からか目立つ存在の秀俊は上級生からイジメもあった。
彼は学校に行く事が無くなった。もっともイジメが原因ではなく学ぶ事が退屈になってきた事からだ。イジメも秀俊にとっては学校へ行かなくなる為のいいきっかけになった。
自分の好きな事をする毎日を5年間続けた。だが両親はそれを許さなかった。
父親から胸ぐらを掴まれ頬を殴られた。
「どこかに働きに行くか学校に行け。行かなかったらこの家からでていけ」
脅されその言葉に反抗するとこもなく
秀俊は家から飛び出た。
「なんだよあの親父…クソ痛え」
不満が溢れる。
「飯食わずに出て来ちまったな。とりあえずコンビニにでも…ん?」
不穏な音が空から聞こえてくる。
秀俊は不意にビルを見上げると、男が空から降ってきている。
そして…