この世界に、まともに小説が書ける人はどのくらいいるのだろうか?
「小説を書こう!」と思い立ったことのある人は、この国にどのくらいいるのだろうか?
10人に1人だろうか?5人に1人だろうか?
もしかしたら、2人に1人くらいはいるかもしれない。
その中で、最後まで1作の小説を書き通したことのある人は?
ストーリーは支離滅裂。キャラクターの言動もムチャクチャ。文法は間違いだらけで、誤字脱字も山ほどある。
そんなものでも、ちゃんと最後まで完成させたことのある人。それは、何人くらい?
小説を書き始めた人の中の10人に1人?
あるいは、100人に1人くらい?
さらに、完成した作品を長編小説に限るとしたら?
もっともっと数は少なくなるだろう。
もっと条件を厳しくしてみようか?
“おもしろい”とか“ツマラナイ”とかに関係なく、読者に伝わるような文章が書ける人は?
最初から最後まで、ほとんど意味のわからない部分がないように伝えられる人は、どのくらいいる?
まして、読者になんらかの感情を抱かせることができる人は?
「ああ~、おもしろかった!」でなくてもいい。
「とても悲しい気持ちになった」でも「心の底から怒りがわいてきた!」でもいい。あるいは、「心がポカポカあたたかくなった」でも「遠い昔を思い出した」でも構わない。
とにもかくにも、読んでくれた人に何かを感じさせることができた人は?
ここまでできただけでも、もう選ばれた人間なのだ。
これが、小説の難しい所。“間口は広いけれども、奥は深い”と言われるゆえん。
誰もが簡単そうに思えるから、ついつい手を出してしまう。けれども、途中で思い知る。ここがどんなに広く、絶望的に深い世界なのかということを。
けれども、ほんとうはこのくらいまでは、訓練しだいでどうとでもなる。そこまで、能力を引き上げてあげる。それが、私、ミカミカの役割。
そこから先は、人それぞれ。それぞれの人の才能と努力と運しだい。
よい作品を書けるかどうかもそうだし、読者に認められるかどうかに関しても同じコトが言える。
ここから先、私ができることといえば、わずかな道を示してあげることくらい。いくつかの選択肢を示し、小説を書いている人たちに選んでもらうことだけ。どの道を選びたいのかを。
それによって、人々の未来は変わってゆく。
おっと、また誰かが呼んでいる。新しいお客さんだわ。
さあ!いそいで行かなくっちゃ!